まずは自分が欲しくなるカメラを作りたかった開発メンバーではあるが、これは上からやれと言われてやるのが嫌なだけで、実際にはユーザーの反応を知りたくて仕方なかった。それも、アンケート調査などによる間接的なものではなく、生の声を直に聞きたかったのである。「俺をアテンドに立たせろ!」と、あるダイビング関連の展示会で森は熱望する。
これらのことを通して、μ720SWの後継機種であるμ725SWは幾つかの改善が試みられた。まずは、レンズ表面の撥水コーティング。水中での撮影にこだわって開発したμ720SWではあるが、水中から出た直後での撮影までは考えていなかった。水滴がレンズ表面に残ってしまい、水滴をふき取らなければならない。μ725SWではレンズの表面に撥水コーティングを施し、森がこだわり続けたレンズバリヤーの開閉によって水滴を弾くことができる。また、海やスキー場などは明るすぎて液晶の映像がよく見えないことがある。μ725SWはボディ右下のボタンを押すだけで液晶を明るく表示できる。ささいなことだが、これらはお客様の声を真摯に受け止めなければできないことである。また、多くのお客様の要望からカメラの防水構造の変更と、生産設備を見直すことで、耐水圧を3mから5mへ上げたのである。
こうしてSWシリーズの2号機となるμ725SWは、さらなる進化を遂げた。