モノ作ったほうが早い!
通常は、周到に準備された商品化計画に基づいて作られるカメラだが、「モノを作ってしまったほうが早い!」と語る森は、同じメカ系開発の仲間たちと一緒に、いきなり試作品を作ってしまう異例の行動にでた。
試作品ができたところで、森はこのカメラを他の開発者に見せてまわった。最初に興味を持ったのは、ファームウェア(電気系統)の開発者川口である。デジタルカメラは家電製品でもある。すべての機能や動きは電気によって制御される。もちろん、試作品も同様である。「メカ屋(メカ系開発者)さんが、試作品を実験・検討するうえで、いかに確実に前倒ししてファームウェアを開発できるか・・・」と、自らの過酷な使命を淡々と語る川口。
強力なメンバーを得て稼動する状態の試作品を作った森は、社内の実験施設では満足がいかず、自費で沖縄に行き海に潜って実写したのである。実写を通して彼らはこのカメラの商品性に強い自信を持つことができた。