落下を想定するなんてあり得ない話
ボディ厚は20ミリを切ること。森が新たに決めた目標のひとつだ。そのためには、従来にはない薄型のレンズユニットが必要となる。 光学設計の城田に対して、森は厚さ10ミリ以下の鏡枠(レンズ)を作るよう命じた。
ただ単に、薄い鏡枠を作ればよい訳ではない。防水であり耐衝撃構造でなければならない。しかも、大前提として高画質を得るための高精度・高解像度が求められている。普通、カメラ自体に強い衝撃が加われば、当然レンズにも悪影響を及ぼす衝撃が伝わる。城田は、ミクロンレベルの精度が要求されるデジタルカメラのレンズにおいて、「落下を想定するなんてあり得ない話」と当時を振り返る。