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星空を一番撮りやすいカメラ OM-D E-M1 Mark II

レリーズケーブル

オリンパスのカメラであれば、低振動モードをうまく使えば、レリーズが無くても振動の無い状態でシャッターを切れるので、レリーズケーブルは必須というわけでは無い。また、シャッター速度も60秒まで設定できるため、星景撮影でタイマー付きのレリーズもまず必要ない。(他社製品の場合は、30秒以上のシャッター速度で撮影使用するとタイマー付きのレリーズが必要になる)そのため、星空撮影でレリーズケーブルを必要とするのは、比較明合成撮影を行うためにカメラを連写に設定してレリーズをロックさせるような撮り方をする場合だが、この場合もライブコンポジット撮影で代用できることが多い。

三脚

星空を撮影するときには長秒露光をするので三脚が必要になる。オリンパスカメラの手振れ補正も強力だが、手持ちでの長時間撮影だと撮影者のほうが先に疲れてしまう。三脚はできるだけ軽いものが嬉しいが、軽すぎてぐらついてしまうものだと、わずかなブレでも目立ってしまう星では致命的だ。また、縦構図に切り替えられるような三脚にしておくことも、星空と地上の風景を一緒に納める星景写真では重要だ。三脚に設置するときには、最初にバリアングル液晶を開いておくと良い。このようにしておくと、低めの三脚を使ったときにも画面を見やすくなる。

三脚でよく使われるものにスリーウェイ雲台と呼ばれるパン棒の付いたタイプがある。このタイプの雲台は、水平・垂直を出しやすいためよく使われる。写真は一般的な使い方だが星空を撮るための三脚の使い方としてはダメな点がある。ダメな点がわかるだろうか?

正解は、エレベータを伸ばして使っているのでバランスが悪い。パン棒が後ろにあると、真上を向けることができない。できれば液晶は開いて使いたい。という3点だ。

参考までに、カメラに貼ってあるのは蛍光テープ。これが光ることにより、暗闇でもレンズ交換やケーブルの接続ができるようにしている。

これがスリーウェイ雲台でのお勧めの使い方になる。エレベーターを伸ばしておくとバランスが悪く、撮った写真に振動が伝わりやすいので、伸ばさない状態で使うのが基本だ。どうしても伸ばさざる得ない場合もあるので、その時はバランスに注意して伸ばす。パン棒が前になるようにカメラを取り付けると、カメラを真上にまで向けることができる。超広角や魚眼レンズではたまにパン棒が写りこんでしまうことがある。そのような場合は、パン棒の向きを工夫するか、自由雲台を使おう。三脚を使うときにはバリアングル液晶を引き出した状態にしておくとさらに使いやすくなる。

筆者が好んで使うのが自由雲台だ。3ウェイ雲台より軽く、向ける方向に制約が無いので星の写真ではよく使われる。ただし、縦構図にするとバランスが悪くなるので、その場合三脚の足の向きなどに注意して、バランスが崩れないようにするとよい。星空の撮影では、見晴らしがよいところで撮ることが多いので、風が強い時など三脚が倒されそうになることもある。そのような時は、写真のようにエレベータを伸ばさず、三脚の足を広げてできるだけ低重心にすること。三脚についているフックに何か重しをつけるのも有効だろう。ただしブラブラさせるとそれによって振動するので注意したい。三脚の中には携帯性を良くして高さを稼ぐため、エレベーターが伸びた状態になったまま使う三脚があるが、バランスを考えると筆者としてはお勧めしかねる。

天の川のパノラマ撮影中、写野に写りこんだミニ三脚での撮影シーン。登山などでは軽量化のために、このようなミニ三脚を使って撮影することもある。

照明器具

星空を撮影するときには暗いところで作業するため、手元や足元を照らすための照明器具が必要だ。できればヘッドライトなど、手を使わずに手元を照らせるものが良い。ただし、点灯するときには、周囲で撮影などしている人の邪魔をしないように注意すること。照明器具を使う時には、周囲に一声かけてから使うようにしたい。ヘッドライトが無ければ百円ショップのLED照明を、首からぶら下げるように改造するだけでも、使い勝手は良くなる。

ヘッドライトはビクセンの星空用のものが使いやすい。明るさの調整が可能で、最初に付けた時に一番暗い状態で点灯するなど、星空用としては最適だ。欠点は値段で、ちょっとお高め。もちろん山用のヘッドライトも使えるが、できれば赤い光にも切り替えられるタイプが便利だ。赤い光だと暗いところに慣れた目を、暗いところに慣れたままにできるメリットがある。100円ショップのものでも良いので、予備のLEDライトも持っておくと安心。

8.ライブコンポジット

街明かりや月明りがあるような、空が明るいところで星を強調するにはライブコンポジットが使える。ライブコンポジットは比較明合成と呼ばれる処理を、カメラ内で行ってくれるとても便利な機能だ。

  • 絞り値:F2.0
  • シャッター速度:1/2秒
  • 焦点距離:12mm
  • ISO感度:800
  • ライブコンポジット使用
  • OM-D E-M1
  • M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0

非常に明るい浅草寺前で、ライブコンポジットを使ってふたご座流星群を捉えた一枚。シャッター速度1/2秒なので、流星の中にコマ間による途切れがあるはずなのに、その跡切れが見えないという、ライブコンポジットのメリットを生かして撮影した。

ライブコンポジットのメリットとしては、カメラ内で自動的に合成してくれることにより、とても手軽に比較明合成ができることだけではない。

  • ・最適なノイズリダクション処理を行ってくれるのでノイズが少ない
  • ・RAWで撮影可能であり、合成した状態で1枚のRAWとして撮影される
  • ・合成後の星の軌跡が途切れにくい

という、他では得られないメリットがある。特に、最後の合成後の星の軌跡が途切れにくいという点に関しては非常に強力で、広角レンズで撮影した時だけでなく、標準から望遠レンズで撮影した時にも星の軌跡が途切れない。また、流れ星の撮影でも、流れ星が途切れにくいというライブコンポジット以外では実現しにくい能力を持っている。さらに、OM-D E-M1 Mark IIでは、最初にライブコンポジットを搭載したOM-D E-M10に比べて、中間ぐらいの明るさの星や雲などが、より途切れにくくなるような改良が行われている。いわばライブコンポジットVer2.0である。このように、同じ機能であっても最新機種・フラッグシップモデルの最新バージョンではより改良されていることが多い。

ライブコンポジットで撮影する場合のシャッター速度・F値・ISO感度の決め方は、一枚撮りの場合と全く同じだ。まずシャッター速度を決め、F値は解放、ISOを決めて撮影する。具体的には次の手順になるだろう。

  • ① ピント合わせを行う。
  • ② 一枚撮りの試し撮りを行い、再生画面のヒストグラムを見て撮影設定を決める。
  • ③ 構図を決める。BULBにしてライブビューブースト2で構図を決めるのがお勧め。
  • ④ LiveCompに切り替える。そして、MENUキーを押して、決めたシャッター速度に切り替える。
  • ⑤ ライブコンポジット撮影を始める。
  • ⑥ 画面を見て、ヒストグラムが左に張り付いていないかを確認する。
  • ⑦ 星の軌跡がいいところでもう一度シャッターを押し、ライブコンポジットを止める。

3で紹介した、都市部の撮影の作例の撮影直後にライブコンポジットで撮影した。
そのため撮影設定は同じである。みなとみらいの赤レンガ倉庫での撮影の場合、強烈なオレンジ色の照明が被るため、RAW現像で調整するのが望ましい。撮影後に1枚のRAWファイルになるライブコンポジットの場合、画像処理は圧倒的に楽である。ただし、飛行機の軌跡を消すのは大変。飛行機の飛ばない時間帯に撮影するか、従来のパソコンでの比較明合成のやり方で対応しよう。

ライブコンポジットの止め方にもコツがある。
ライブコンポジットで合成された直後のタイミングにシャッターボタンに触れば、シャッターボタンを押した振動が撮影画像に反映されない。そのため、撮影コマ数がカウントアップした直後にシャッターを押すようにしよう。
写真例は、4秒周期撮影していて、ちょうど4回目のコンポジットが終わった直後である。このタイミングなら次のコンポジットまで3.5秒の余裕があるので、その間にシャッターボタンを触っても振動は記録されない。なお、ライブコンポジットの秒数を2秒以下に設定している場合には、シャッターを押している間に合成が進んでしまう可能性が高い。このような場合には、レリーズケーブルでシャッターを押せばシャッターを押す瞬間の振動を抑えることができる。

4秒周期撮影していて、ちょうど4回目のコンポジットが終わった直後。

ライブコンポジットの最長時間は3時間となる。電池切れになると、それより短い時間でライブコンポジットが打ち切られてしまう。できるだけ満充電の状態で撮影を始めたい。なお、ライブコンポジット撮影中に電池切れになった場合も、電池切れになった段階までが保存されるようになっている。しかし、低温で電池容量が減ったり、電池が劣化している場合はうまく保存できない場合もある。電池切れになりそうなときはいったんライブコンポジットを打ち切る方が安全だ。

連続撮影での比較明合成の場合、星を綺麗につなげるため、シャッター速度を10秒より短くした方が良いという経験則が知られている。しかし、RAWの段階で合成するライブコンポジットではそのようなシャッター速度の制約はない。また、星の色もよく出るのが特徴だ。オリンパスのカメラではHαを比較的よく通すため、IRフィルターを外さなくても、オリオン大星雲のピンク色が良く表現できている。

9.インターバル撮影

ライブコンポジット撮影しようとしたときに、雲がもくもく。そんな場合にはインターバル撮影に切り替えてみるのもお勧めだ。もちろん、ピント露出の合わせ方は、一枚撮りやライブコンポジットと同じ。最後にインターバル撮影を設定してシャッターボタンを押すだけでよい。カメラ内で4kのタイムラプス動画を作成したり、無料の編集ソフトOlympus Viewer3でもタイムラプス動画を作成できる。注意したいのは長秒時ノイズ低減の設定だ。これをAUTOにしておくと、インターバル撮影を行うたびに長秒時ノイズ低減が行われてしまい、撮影間隔が開いてしまう。そのため、インターバル撮影を行うときにはOffにしておくのがお勧めだ。

インターバル撮影を始めた時の1枚目。見ての通り、雲があったのでインターバル撮影を行った。インターバル撮影では、雲があった方がダイナミックで面白い。逆にライブコンポジット撮影などを行っているときには、星の軌跡が途切れる原因になるので雲は無い方が良い。そのため、筆者は雲の有り無しで撮影を切り替えている。

インターバル撮影は、撮影メニュー1から入る。

この中のインターバル撮影設定Onを選択して、インターバル撮影設定を行おう。

コマ数は特に計画が無い場合は999に設定すればいいだろう。インターバル撮影を途中で止めることは可能なので、999コマに設定しておいても特に問題ない。撮影開始待ち時間は、4秒もあれば十分だ。撮影間隔は、星の撮影であれば最短の1秒で良い。ここで、0秒を設定できる場合は、最短のインターバルで撮影できるので便利だが、それは次のバージョンに期待したい。タイムラプス動画のOn/Offは好みに設定すればよい。Offにしておいても、Olympus Viewer3で後から作成することが可能だ。星空をインターバル撮影する場合には、高い解像度のタイムラプス動画に仕上げた方が細かい星まできれいに見える。できれば4k、最低でもFull HDで作成することをお勧めする。

  • 絞り値:F3.2
  • シャッター速度:1.3秒
  • 焦点距離:300mm
  • ISO感度:1600
  • 赤道儀
  • OM-D E-M1 Mark II
  • ZUIKO DIGITAL ED 300mm F2.8

フォーサーズの一番古いレンズZUIKO DIGITAL ED 300mm F2.8と今のフラグシップのOM-D E-M1 Mark IIで撮影した1枚。地球照まできれいに写っている。インターバル撮影を利用してとても楽に撮影できた。フォーサーズ時代のレンズも、最初からデジタル専用とうたっていただけのことはありまだまだ使える。特にSHGシリーズの性能と明るさは今のM.ZUIKOのレンズラインナップの穴を埋めているところもあり、まだ手放せそうにはない。PROレンズシリーズの充実で、さらなる高みを目指してほしい。