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Tough TG-1 開発ストーリー:Toughストーリー

f2.0 Tough TG-1 Development story タフ TG-1 開発ストーリー ユーザーと共に切り開くToughの未来|聞き手:フリーランサー 伊藤 僑

次世代Tough TG-1のイメージカラーは「赤と黒」-Le Rouge et le Noir 赤と黒の世界に魅せられて-

炎のような熱い情熱を表す「赤」と、夜の闇のように寡黙な印象の「黒」。この対照的な有彩色と無彩色の組み合わせは、いにしえの昔から人々を魅了してきた。
「赤と黒」というと、多くの人が思い浮かべるのは、スタンダールが19世紀中期に著した長編小説「Le Rouge et le Noir」だろう。フランスにおけるリアリズム小説の出発点といわれるこの作品では、赤は軍人を、黒は聖職者を表し、主人公の野心に満ちた人生を象徴しているとされる。
日本にも赤と黒の文化は息づいている。伝統的な工芸品である「漆器」における赤と黒の組み合わせは、日本独自の価値観「粋」にも通じるもの。その高貴な美しさは世界に誇るべきものだ。
そんな「赤と黒」の世界に魅せられてしまった男が、TG-1開発陣の中にもいた。

伝統の「赤」でTG-1の世界観を表現したい!

  • アクセサリーのデザインを担当する内藤氏は、TG-1のデザインを初めて見た時、ボディーにToughのロゴが赤く描かれていることに驚いたという。その「赤」は、Toughシリーズの防水プロテクターが、暗い水中でも優れた視認性が得られるようにと、ずっと使ってきた伝統の赤だったのだ。

    防水プロテクターでNo.1シェアを誇るToughシリーズにとって、この赤は特別な色。内藤氏も、そのデザインに関わってきただけに、思い入れはとても強かった。そこで、「この赤を活かしたい!」と考え、TG-1の世界観を表現するキーワードとして、機能性や高級感をイメージさせる黒と、水中や暗闇でも視認性が高い伝統の赤を組み合わせて使うことを思いつく。「まず、TG-1のカタログやWebサイトにおけるイメージカラーに、赤と黒を使うことを提案しました」。

  • アクセサリー担当 内藤

パワーポイントで赤と黒の世界を表現した社内プレゼンを行うと、小川本部長(現社長)から予想以上の高評価を得ることができた。そして、全世界で展開するPR戦略のキーワードとして、赤と黒の世界を使うことが決まったのだ。

開発者たちに次々と伝染してゆく「熱い思い」

各分野の開発者にインタビューしていて驚くのは、すべての人たちがTG-1に並々ならぬ思い入れを持っていることだ。言葉の端々から彼らの製品にかける情熱が伝わってくる。

「私もTG-1の最終デザインとスペックを見た時に、これはすごいものを作ったなと、スタッフの情熱をひしひしと感じました。初代のデザインを担当して以来、Toughシリーズからは6〜7年離れていましたが、TG-1はToughの新たなページを開くエポックメイキングな製品として、大きく飛躍できる可能性を秘めていたのです」と内藤氏。

こうして、アクセサリーも含めて、Toughシリーズのイメージを一から再構築していく作業が始まった。これまでのイメージ戦略を一旦白紙に戻すことで、TG-1からToughの新たな世代が始まったことを表現しようというのだ。

キーワードはもちろん「赤と黒の世界」。コンバーターレンズやボディージャケットなどのシステムアクセサリーを含め、総合的に赤と黒の世界を展開していく方針が固まる。

既にファンも多いToughシリーズのイメージを、このタイミングで刷新した理由を内藤氏は、「製品にかける開発陣の情熱を、ユーザーに伝えたかったのです」と語った。

  • 開発陣の熱い思いが伝わってくるエピソードがある。それは、TG-1に同梱されている赤いストラップへのこだわりだ。

    「TG-1の利用シーンを考えると、ストラップはダイビングや登山などの過酷な状況下でも抜けにくく、しっかりホールドできなければなりません。しかし、機能面だけを考えれば、ある程度細くても問題はなかったのですが、ユーザーの安心感につながる“しっかり感”も欲しかったので、かなり時間がかかってしまいました」

    素材感や堅さなど、多くのサンプルを調べる中で森が行き着いたのは、意外にも“犬の散歩に使っているリード”の素材だったという。
    「ストラップのデザインにこだわり過ぎてしまい、カメラ本体のデザインよりも時間がかかってしまいました」と照れ笑いする内藤氏。
    満足できる水準に達するまでは絶対に諦めない、開発者魂がここにある。

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ぶつかり合いの中から最良の答えを導き出す

「デザインと設計がぶつかるのは、よりよい製品を作っていく上では健全なことです。お互い顔を見るのも嫌になり、一ヶ月ぐらい口をきかないこともありますが」と笑うのは森氏。
TG-1の場合にも、開発が後半戦に入ったころに「ダイヤルを入れたい」とデザイン担当者がいい出してかなり揉めたようだ。

最近のコンパクトカメラでは、操作の大半を十字キボタンに集約している場合が多い。しかし、「TG-1はToughシリーズのフラッグシップなので、視認性に優れたダイヤルをなんとしても入れたかった」と高橋氏。
とはいうものの、コンパクトなボディーサイズの中にダイヤルを組み込むことは簡単ではない。最初は当然ながら断られるが、あきらめずに根気よく説得を続けることにより、開発の人が知恵を絞って実現してくれたという。

TG-1の場合には、コスト面で揉めることも多かった。「最初の開発費見積もりの段階から、とんでもない、これでは商売にならないと相手にしてもらえませんでした。そこで、ひとつ一つの部品処理まで細かく見直しながら、着地点を模索する話し合いを何度も繰り返しました」(高橋氏)

コンバーターレンズやフィルターを装着する際に使用する“コンバータアダプター”の色でも、コスト計算とデザイナーの思いがぶつかっている。「ここは赤と黒の世界を表現するキーポイントとなる部分、同じ赤を使いたかった」と、語る。

しかし、アダプター全体を赤に塗ってしまうと、映り込んで十分な光学性能が得られないため、内側は黒く塗り、外側だけ赤に塗る方法が採られた。
この小さなオプションパーツのために、「防水プロテクターのアルミ製パーツと同じ質感を出すため、黒の樹脂を一度銀色に塗り、その上に赤の塗装をするという手間をかけています」というから、なんとも贅沢な話だ。
開発を指揮していた高須氏にとって、苦労の連続だったことだろう。

水中写真愛好家の要望に応える機能の数々

徹底してユーザー視点に立った開発者たちの思いは、TG-1の驚異的なマクロ機能にも結実している。
Toughシリーズの愛好者にはダイビングを楽しむ人が多いため、水中写真をもっと美しく撮りたいという要望が数多く寄せられている。最も多かったのはレンズの明るさに関するものだったが、接写性能の改善を求める声も少なくなかった。

そこでTG-1では、なんと1cmまで被写体に寄れるスーパーマクロ機能を搭載。この距離ではフラッシュが使えないため、照明用にマクロ専用LEDまで装備している。優れたマクロ性能は、四季の植物を楽しむ登山愛好家にも嬉しい機能だ。

このほかにも、水中ホワイトバランスや、水中専用撮影モード(水中スナップ、水中ワイド2種、水中マクロ)を搭載。オプションのカラビナ付きフロートハンドストラップでは、ダイバーが慌てることのないよう、ゆっくりと浮かび上がるよう工夫されている。

水中で交換可能なコンバーターレンズもオプションに揃えられており、水中写真ファンには、まさに至れり尽くせりのカメラといえるだろう。

“タフ”だからこそ、“ラフ”に使うことができる"

過酷な環境下での使用に耐えうるタフネスさにばかり目がいきがちなTG-1だが、「日常的に使用するカメラとしても最適です」と内藤氏は語る。
「タフ(Tough)であるということは、ラフ(Rough)に扱えるということでもあります。高さ2.0mの落下テストをクリアしているTG-1なら、小さなお子さんが使うような場合にも最適でしょう」

  • おしゃれな街中での利用を想定して、TG-1には本革製のボディージャケットやネックストラップも用意されている。
    黒の本革に赤のステッチを施した高級感あるボディージャケットをTG-1に装着すれば、ドレッシーな装いにもよく似合う。海や山だけでなく、日常的な生活シーンを切り取るカメラとして、オールマイティに使うことができるわけだ。

    コンパクトでスタイリッシュなTG-1なら、ファッションにこだわる女性にも最適だろう。
    強靱さを売り物にするタフなカメラの常識を覆し、優れた表現力を備えたTG-1を使って、どんな作品が生み出されてくるのだろう、楽しみだ。

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