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Tough TG-1 開発ストーリー:Toughストーリー

f2.0 Tough TG-1 Development story タフ TG-1 開発ストーリー ユーザーと共に切り開くToughの未来|聞き手:フリーランサー 伊藤 僑

高度な機能と洗練された美しさを融合 -第二世代Toughの新たな血統がここから始まる-

  • アスリートたちに愛されるスポーツギアは、機能面だけではなくデザイン面でも優れているものが多い。競泳選手の水着、マラソンランナーのシューズ、ゴルファーのクラブ、トライアスリートのバイク……無駄を削ぎ落したデザインと最先端テクノロジーが融合した機能は美しい。
    新世代Toughシリーズのフラッグシップ TG-1も、アスリートが求める高度な機能と洗練された美しさを兼ね備えている。スポーツギアと呼ぶにふさわしいそのデザインは、スポーツシーンばかりでなく、おしゃれな都会の生活にもよく似合う。

だが、コンパクトなボディーの中にF2.0のレンズを搭載し、高度な防水、防塵、耐衝撃性まで備えねばならないTG-1のデザイン作業は、これまで以上に難しかったに違いない。第二世代Toughのプロダクトデザインが、いかにして創造されていったのか、とても気になるところだ。

また、TG-1では新たにシステム化を図っていることにも注目したい。Toughシリーズで人気の防水プロテクターや保護ケースなどに加え、表現の可能性を広げる2種類のコンバーターレンズをラインナップした。システム化により、今後ますますToughの世界は広がっていくことだろう。

F2.0のレンズにふさわしいデザインを!

  • TG-1では、光学系や電装系などの設計部門とほぼ同時にデザインセンターも作業を開始している。

    野原氏によれば、「通常の開発手順では、搭載する光学デバイスが決まってからデザイン部門は動き始めます。今回のように開発着手と同時にデザイン作業を始めるのは、かなり異例なことでした」という。このことからも、開発当初からデザインに力を注いでいたことが分かる。

    同ジャンルで初めてF2.0のレンズを搭載するTG-1は、第二世代のToughと位置づけられ、「これまでのデザインの流れにとらわれることなく、ゼロから自由に発想することができました」と高橋氏。2006年から脈々と受け継がれてきたToughシリーズの血統(デザインイメージ)を、大きく変化させるチャンスが到来したわけだ。

    「TG-1のデザインに着手するにあたり、私が注目したのはダイバーズウォッチでした。時計メーカーは、同じ“丸”の中に独自の世界を創りあげようと激しく競い合っています。私はデザインのキーとなるTG-1のレンズ周りにも、ダイバーズウォッチのような独自の世界観を演出したかったのです」

  • プロダクトデザイン担当 高橋

製品のイメージを膨らませるために、野原氏は世界中からダイバーズウォッチのカタログを集めまくったという。F2.0という口径の大きなレンズの採用が、ダイバーズウォッチのイメージに繋がったのだろう。

とはいえ、将来のシリーズ展開も見据えて、これまでとは異なる路線のプロダクトデザインをゼロから創造することは容易ではなかったようだ。試行錯誤するうちに、一時は拳銃をイメージしたデザインなどもあったという。

実は、野原氏が最初に描いた“絵”では、まだレンズはToughの伝統通り右上に位置していた。しかし、F2.0のレンズにふさわしいデザインを模索するうちに、レンズはボディー中央へと移されていった。
高橋氏によれば、「F2.0の採用が決まった時から、漠然としたイメージではありますが、開発者の多くがレンズはボディーの中央がいいと考えていた」そうだ。

不可能を可能にした光学系開発者たち

「レンズをセンターに置きたい」というデザイナーの意向には、開発陣の誰もが賛同した。しかし、光学ユニットを設計するチームにとって、それは衝撃的なデザイン変更だったという。

「TG-1のように、高度な防水、防塵、耐衝撃性を必要とするカメラの場合、レンズがボディーからせり出してくるような構造を採用することは難しかった。そこでToughシリーズでは、薄いカメラの本体内にズーム機構を格納できる“折り曲げ光学系”を最初のモデルから一貫して採用してきました」と語るのは光学系の設計を担当した早川氏だ。

折り曲げ光学系では、外から入ってくる光を、プリズムを使うことにより折り曲げてイメージセンサーまで導いている。光学ズームによって画角を変化させるためには、レンズを移動させなければならない。そのため、焦点距離に応じた奥行きが必要になるが、折り曲げ光学系の場合、その奥行きをボディー内部に確保しなければならなかった。

カメラで撮影する画像は普通横長なので、光をプリズムで折り曲げる場合、縦に折り曲げた方がレンズを小さくすることができた。従来のToughシリーズがレンズを縦に並べる構造を採っていたのはそのためだ。

また、光学ズームの倍率を稼ぐためにカメラの高さ(縦の長さ)を使っていたため、レンズ位置を高くする必要があった。レンズ位置が右側だったのは、左側にレンズをもってくると、右手でカメラをつかむ際に邪魔だったからだ。このような理由からレンズ位置は必然的にボディー右上になっていた。

  • 「ところがTG-1の場合には、レンズが中央にくるため従来の手法を採ることができませんでした」と早川氏は語る。

    レンズを横に並べる構造にすると、どうしてもレンズのサイズが大きくなってしまうが、カメラのサイズを大きくすることはできない。加えて、同ジャンルでは前人未到のF2.0という明るさも、同時に実現しなければならなかった。「そんなの不可能だよ」とさじを投げてもおかしくはない状況だ。だが、光学系開発チームは諦めなかった。

  • 光学系がボディーの大半を占めるTG-1

「長い試行錯誤の末、プリズムを小型化するなどの工夫によって、ついにTG-1の光学ユニットは完成しました」(早川氏)

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水中でも脱着可能なコンバーターレンズ

レンズ位置をセンターに置くことは、TG-1に思わぬ副産物をもたらすことになった。表現の可能性を広げるコンバーターレンズ・システムだ。

レンズをボディー中央にもってきたので、レンズ周りをいろいろとデコレーションすることが可能になった。そこで、森氏ら開発スタッフが意見交換するうちに、「レンズの周りを囲むリングを着脱式にしたら、そこにコンバーターレンズを付けることもできるね」と盛り上がっていったという。

  • 水中で脱着可能なコンバーターレンズ

  • コンバーターアダプター CLA-T01
    CLA-T01は、FCONやTCONの装着に使用する。40.5mm径のフィルターを取り付けて使うことも可能。

早川氏も、「F2.0を実現するために、従来型では5倍だったズーム倍率を、TG-1では4倍に落としていたので、コンバーターレンズの採用は、私たち光学系開発者にとっても朗報でした」と語っている。

TG-1用のコンバーターレンズには、1.7倍の望遠効果が得られる“テレコンバーター”と、遠近感を強調したワイドな表現が可能になる“フィッシュアイコンバーター”の2種類がラインナップされた。コンバーターレンズには温度差等による結露を防ぐため窒素が封入されており、水中でも脱着できるというから驚きだ。

なお、コンバーターレンズをカメラに装着するには専用の“コンバーターアダプター”が必要になる。このアダプターを装着すると、各種フィルターやレンズキャップを利用することも可能だ。

「コンバーターレンズや各種フィルターを駆使することで、過酷な環境下でも多彩な映像表現が可能になるTG-1は、カメラ好きのアスリートにとって最高のスポーツギアといえるでしょう」と開発責任者の高須氏は胸を張る。

GPSを進化させ電子コンパスやロガー機能も

  • 「カメラの開発時にデザインで揉めることは日常茶飯事です。私たちデザインセンターの出したデザイン案が、そのまま通ることは、まずありません。ところがTG-1の場合には、デザインのモックアップを見てもらってから、変えて欲しいという要望が一度もきませんでした。しかも、国内だけでなく、海外の営業担当からも全くなかったのです。これには驚きました」と野原氏。

    誰もが認める優れたデザインだっただけに、各分野の設計者も自分の都合で変更するわけにはいかないと苦労したようだ。

    「それぞれの部品には最適な位置というのがあります。GPSの場合なら、アンテナは性能が出しやすい場所に置きたいのですが、デザインを優先すると、そうもいっていられません」(高須氏)

    TG-1の場合、GPSは中央上部にあるが、「中身はシンメトリーではないので、実は真ん中ではない方が楽だった」という。

  • 測位情報画面

  • 移動軌跡

GPSでは外観だけでなく、ユーザーが操作するGUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)のデザインにもこだわっている。

新たに搭載した電子コンパス機能では、分かりやすい3D表示の測位情報画面を使って、フィールドでの方位確認や、登山での高度・緯度・経度の確認を容易に行うことができるようになった。また、アシスト型のGPSを搭載することにより、測位精度や起動時間も大幅に向上し、さらに撮影していない状態でも移動軌跡を記録するロガー機能も搭載している。

森氏によれば、「GPSの精度や新機能を確かめるため、休日に家の周辺を歩き回ったり、遠出するスタッフも多い」そうだ。

TG-1の魅力を引き出すプロダクトデザインの力

  • F2.0のレンズや高性能GPSなど最先端の機能を満載し、防水12m、耐衝撃2.0m、耐低温-10℃、耐加重100kgf、防塵という卓越したタフネスさまでをも併せ持つTG-1。だが、プロダクトデザインの完成度が低ければ、ここまで大きな人気を得ることはできなかったに違いない。

    高度な機能と洗練された美しさの融合こそが、第二世代Tough“TG-1”の魅力といっていいだろう。Toughシリーズの明日を切り開くプロダクトデザインの力に今後も期待したい。

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