Photo Recipe(フォトレシピ)
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ズームレンズを持って旅に出かけよう
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撮影・解説 : 斎藤 巧一郎
2024年9月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
はじめに
カメラを連れ出す旅の場所は熊本。九州に育った私は両親に連れられ何度も出かけた天草や阿蘇。今でもお気に入りの場所で、夏には魅力を増して素敵な場所だ。
旅を楽しみつつ、気軽に作品を残せればいいと、レンズは高倍率ズームのED 12-200mm F3.5-6.3を選ぶ。美しい風景が待ち構えているので広角が要るし、遠くの風景の中で、遠くに何かを見つけるかもしれないので望遠も必要。撮影機材を少なく軽くするならこれこそベストレンズである。
熊本 - 天草へ渡る
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まずは鹿児島出水からフェリーで熊本の天草へ渡る。好天で穏やかな海を行く船のデッキで、これからの撮影の旅にワクワクしていた。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
24mm相当*
Aモード F8.0 1/640秒 ISO 400 -0.3EV
ライブGND(ND04/Soft)
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まずは海沿いに教会のある崎津集落から。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
140mm相当*
Aモード F8.0 1/1250秒 ISO 400 -0.3EV
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教会の近くを歩くと人懐っこい猫たちが寄ってくる。この地域は優しい人たちが多いことがわかる。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
24mm相当*
Aモード F5.0 1/800秒 ISO 400 ±0.0EV
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カメラのモニターを引き出しローアングル、広角端(24mm相当*)にセットして、路地を案内してくれる猫について行った。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
24mm相当*
Aモード F5.0 1/500秒 ISO 400 ±0.0EV
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移動中に田んぼにアオサギを見つけ、望遠端(400mm相当*)にして撮影。周囲の様子も分かりコチラをにらんでいるのも十分に伝わる。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
400mm相当*
Aモード F8.0 1/1000秒 ISO 400 -0.7EV
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天草の北側でイルカウォッチングに参加した。乗合の船に乗せてもらい沖に出ると、イルカの群れに出会った。イルカは船に近寄ったり離れたりするので、広角にも望遠にもできるED 12-200mm F3.5-6.3はとても好都合。やはり潮風が舞う船上でレンズ交換は避けたいところ。
船の近くにイルカが来たところを撮影。連写で複数枚撮影したなかの1枚。シャッター速度を速めに設定して、迫力ある水しぶきが上がるシーンを撮ることができた。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
62mm相当*
Aモード F10 1/2000秒 ISO 1600 -0.7EV
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この日の最後にと、海岸で夕暮れを撮影。ここでも波のしぶきを撮ろうと速めのシャッター速度になるようにした。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
24mm相当*
Aモード F5.0 1/1250秒 ISO 400 ±0.0EV
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天草のグルメは「クルマエビ」。島の沿岸にはクルマエビの養殖場がたくさんあって、新鮮なクルマエビを提供する料理店も多い。
エビを箸に取って、カメラを片方で持って撮影。レンズの近接能力も高く、かつ片手で持てるカメラとレンズなのでこんな写真が撮れる。私のような食いしん坊カメラマンには最適だ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
68mm相当*
Aモード F6.3 1/50秒 ISO 400 +0.3EV
熊本 - 阿蘇の風景
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海も山も絵になる熊本、次は緑に覆われる夏の阿蘇山周辺にやってきた。
今がちょうどフォトジェニックなシーズン。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
112mm相当*
Aモード F7.1 1/1250秒 ISO 400 -0.7EV
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阿蘇の山の風景は、木々が生い茂るような山ではなく多くが牧草地。
毎年春に草原を焼いてしまう野焼きが行われ、リセットされて同じような背丈の草が生えそろう。そこには牛や馬が放牧されて、夏の阿蘇の光景が完成される。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
50mm相当*
Aモード F7.1 1/1600秒 ISO 400 -0.7EV
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遠くから草を喰む阿蘇のあか牛を望遠端(400mm相当*)で撮影。あか牛と呼ばれ乳製品など大人気だ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
400mm相当*
Aモード F7.1 1/500秒 ISO 200 -0.3EV
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この日はタイミングよく火山活動が収まっていて火口を覗くことができた。大きな火口を広角端で撮影しているが、火口に溜まった雨水をマグマが水蒸気に変えているのがわかる。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
24mm相当*
Aモード F7.1 1/1600秒 ISO 200 -0.3EV
超広角レンズで風景をより躍動的に
合わせてさらに広角のレンズED 8-25mm F4.0 PROを携行していた。広く美しい景色があることは分かっていたので、この2本のレンズで撮影にのぞんだ。
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草千里とよばれる広い草原には、馬が放牧されている。馬と空の明暗差が大きく、空は白飛びしてしまいがちだが、OM-1 Mark IIのライブGND機能で空をND08 暗くしている。広角レンズでの撮影では、空が大きくなりがちだがライブGND機能がいい仕事をしてくれる。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
16mm相当*
Aモード F5.6 1/100秒 ISO 200 +0.7EV
ライブGND(ND08/Soft)
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そして、阿蘇の火山活動で出来た谷に、阿蘇に降った雨水が流れる菊池渓谷にカメラを持ち出した。川の水量が多く、谷に陽が差し込む初夏がベストシーズン。ちょうど撮影のタイミングにあっていた。
早朝から長靴を履いて川に入り撮影ポイントに立った。
水の中に立ち撮影をするのだが、ED 12-200mm F3.5-6.3は防塵・防滴機構のレンズのため多少濡れるくらいなら平気で、もちろんカメラも同じように防塵・防滴性能がある。このような場所での撮影には持ってこいである。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
140mm相当*
Aモード F6.3 1/2500秒 ISO 1600 -0.3EV
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川の中を歩きつつ、遠くに目をやると川面を光芒が照らしていた。
光芒だけを切り撮れるよう少しズームして撮影。思うような1枚になった。
そして、川面に近いところまでカメラアングルを下げ、流れの勢いとはっきりと見える光芒を捉え、ダイナミックな写真に仕上がった。
こちらも防塵・防滴性能搭載のレンズだからこその1枚。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
18mm相当*
Aモード F6.3 1/200秒 ISO 1600 +0.3EV
まとめ
この旅のような風景撮影では、広角はもちろんだが、望遠を使う場面も多い。それでいて近い距離での撮影もできるこのレンズは1本で全てを叶えてくれる。これに1つくらいレンズを足すだけでカメラ機材は十分である。持ち歩く距離があるので軽さも大事。防塵・防滴性能を持つ軽量なレンズのおかげで、川を歩いて遡っていくようなシーンでもカメラは気にせずに歩けたので有り難かった。
軽量、コンパクトばかりを伝えてきたが、最後に写真を見ていただければ分かるように、なかなかの高画質であることをお伝えしたい。
*35mm判換算焦点距離
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斎藤 巧一郎(さいとう こういちろう)
1968年鹿児島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。
広告写真業に携わり、人物、料理などを撮影している。1999年よりオリンパス(現 OMデジタルソリューションズ)カメラのPRに従事、以来カタログ、web広告の写真撮影を務める。旅に題材を求め、訪れた国は50を超えた。また日本の食を追うことをライフワークとしている。