Photo Recipe(フォトレシピ)
野鳥撮影をはじめよう
〜その6 春の野鳥の楽しみ方〜
2023年3月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
春に見る鳥たち
冬が過ぎ、梅が咲くようになると、平地の公園を賑やかにしてくれていた冬鳥たちは、少しずつ姿を消し、繁殖地である山地や北の国へと渡っていきます。入れ替わるように姿を見せるのが、夏鳥、旅鳥と呼ばれる鳥たちです。
夏鳥は、その地で繁殖するために南から渡ってきた鳥たちのことです。鮮やかな見た目のものも多く、人気が高い種類もいます。一方の旅鳥は、冬を過ごした南の地から、北にある繁殖地を目指す途中でその地を通過する鳥たちのことです。そのほかにも、1年中渡らずに過ごす留鳥がいますが、彼らの行動や、映り込む背景の色にも春らしさを感じるようになります。
春らしい要素
「春」「鳥」と聞けば、梅や桜にやってくるメジロを思い浮かべる方も多いでしょう。メジロは多くの場所で1年中姿を見せる留鳥ですが、春がもっとも多く写真を撮られている季節ではないかと思います。
メジロが梅や桜にやってくるのは、蜜が大好物だから。特に、早咲きの寒緋桜などは、ほかの桜が咲く前ということもあり、頻繁に姿を見せます。
このように、鳥がやってくる明確な理由がある場合には、鳥は戻ってくるものです。また、鳥たちは追うと逃げますが、静かに待てば驚かさずに近くで撮影できることもあります。動きの素早い鳥ですが、一度去ってしまっても、焦らずに静かに待ってみると良いでしょう。
春に「さえずる」鳥たち
春は多くの鳥たちにとって、求愛の季節です。それぞれに求愛の興味深い行動を持っていますが、「さえずり」という、小鳥の雄が出す複雑で響く声もそのひとつです。「ホーホケキョ」と鳴くウグイスのように、姿よりも声がよく知られている例もあります。
鳥たちがもっともよく囀る(さえずる)のは、日の出の前後1時間ほどの間です。少し早起きしてひんやりした空気の中、森を歩くと、多くの鳥たちの声に囲まれることでしょう。さえずりは縄張りを宣言するために出す声でもあるので、比較的目立つ枝で鳴いていることも多くあります。声がするあたりを双眼鏡で丹念に見ていくと、姿を見つけることができるでしょう。経験を積んで、声で種類が分かるようになれば、よく止まる高さを絞ることができて、発見のヒントになります。葉が茂るにつれ発見も難しくなっていくので、渡ってきた直後が最も狙い目です。
水辺の旅鳥
水辺にやってくる旅鳥の代表格が、シギやチドリの仲間です。海が近くにある場合は、干潟や砂浜を探すと、波打ち際を走り回る姿を認めることができます。ひとつの群れに、複数種類の鳥が混ざっていることも多く、見応えがあります。
淡水域では、水を張った水田でもよくシギ・チドリ類の姿を見ることができます。地域によりますが、ちょうど渡りのピークに当たるGWの頃は、農繁期でもあります。農家の方の迷惑にならないような心がけが大切なのはもちろんですが、場合によっては潔く観察を諦めることが必要な時もあります。その時は残念な思いをしても、長い目で見ると、農家さんとの関係を大事にすることが、次回以降、来シーズン以降も観察できることにつながるのではと思います。
おわりに
いかがだったでしょうか。春は冬鳥との別れが寂しい時期ではありますが、身近な留鳥の行動に季節を感じたり、日に日に賑やかになる鳥の声にワクワクする季節でもあります。また、渡りの時期でもあるので、身近な公園でも、渡り途中の思いがけない鳥を見つける可能性もあります。OM SYSTEMをお供に、身軽に鳥探しを楽しんでみてはいかがでしょうか。
*35mm判換算焦点距離
記事内で使用した
レンズをご紹介
野鳥撮影のマナー
野鳥撮影時の注意点
- 撮影のために餌付けなどの環境の改変をしたり、録音した野鳥の声を流して誘引することはやめましょう。
野鳥たちの自然な行動や生活を妨げてしまいます。 - 営巣中の野鳥たちはとても敏感です。
大勢で巣を囲むことや、巣やひな、巣立ち直後の幼鳥などの写真の撮影・公開は控えましょう。 - 撮影地周辺の住民や、他の公園利用者への気遣いも忘れないようにしましょう。
- 撮影地の情報の取り扱いは慎重に行いましょう。特に巣やねぐらのように、逃げ場がない状況では注意が必要です。
(画像に付加されたGPS情報は、OM Workspace で現像時に削除することが可能です。) - 野鳥たちは自然の中で暮らす生き物です。彼らの生活を邪魔しないよう、ゆとりをもって撮影しましょう。
また、双眼鏡などを使ってよく観察することが、よりよい撮影に繋がります。 - 野鳥撮影でフラッシュを使用すると、野鳥たちを驚かせてしまいます。
暗い場所では、フラッシュ使用を避けて、ISO感度を上げて撮影しましょう。