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写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影した梅の花とメジロの写真

野鳥撮影をはじめよう
〜その6 春の野鳥の楽しみ方〜

菅原 貴徳

撮影・解説 : 菅原 貴徳

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2023年3月公開

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レンズをご紹介

春に見る鳥たち

冬が過ぎ、梅が咲くようになると、平地の公園を賑やかにしてくれていた冬鳥たちは、少しずつ姿を消し、繁殖地である山地や北の国へと渡っていきます。入れ替わるように姿を見せるのが、夏鳥、旅鳥と呼ばれる鳥たちです。

夏鳥は、その地で繁殖するために南から渡ってきた鳥たちのことです。鮮やかな見た目のものも多く、人気が高い種類もいます。一方の旅鳥は、冬を過ごした南の地から、北にある繁殖地を目指す途中でその地を通過する鳥たちのことです。そのほかにも、1年中渡らずに過ごす留鳥がいますが、彼らの行動や、映り込む背景の色にも春らしさを感じるようになります。

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROで撮影したカワセミの写真

カワセミ

冬の間からよく止まる枝を調べておき、瑞々しい新芽が出てくる時期を待って撮影しました。カワセミは小さいので、テレコンバーターレンズも活用すると良いでしょう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROMC-20
1200mm相当*
Aモード F8.0 1/125秒 ISO 320 -0.7EV

春らしい要素

「春」「鳥」と聞けば、梅や桜にやってくるメジロを思い浮かべる方も多いでしょう。メジロは多くの場所で1年中姿を見せる留鳥ですが、春がもっとも多く写真を撮られている季節ではないかと思います。

メジロが梅や桜にやってくるのは、蜜が大好物だから。特に、早咲きの寒緋桜などは、ほかの桜が咲く前ということもあり、頻繁に姿を見せます。

このように、鳥がやってくる明確な理由がある場合には、鳥は戻ってくるものです。また、鳥たちは追うと逃げますが、静かに待てば驚かさずに近くで撮影できることもあります。動きの素早い鳥ですが、一度去ってしまっても、焦らずに静かに待ってみると良いでしょう。

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影した梅の花とメジロの写真

メジロ

梅の蜜を舐めにきました。素早く動き回るのでつい焦ってしまいますが、背景が抜けている花に狙いを絞って待ち伏せて撮影しました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*
Aモード F4.5 1/250秒 ISO 400 -0.3EV

春に「さえずる」鳥たち

春は多くの鳥たちにとって、求愛の季節です。それぞれに求愛の興味深い行動を持っていますが、「さえずり」という、小鳥の雄が出す複雑で響く声もそのひとつです。「ホーホケキョ」と鳴くウグイスのように、姿よりも声がよく知られている例もあります。

鳥たちがもっともよく囀る(さえずる)のは、日の出の前後1時間ほどの間です。少し早起きしてひんやりした空気の中、森を歩くと、多くの鳥たちの声に囲まれることでしょう。さえずりは縄張りを宣言するために出す声でもあるので、比較的目立つ枝で鳴いていることも多くあります。声がするあたりを双眼鏡で丹念に見ていくと、姿を見つけることができるでしょう。経験を積んで、声で種類が分かるようになれば、よく止まる高さを絞ることができて、発見のヒントになります。葉が茂るにつれ発見も難しくなっていくので、渡ってきた直後が最も狙い目です。

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROで撮影したオオヨシキリの写真

オオヨシキリ

春に川辺に渡ってくると、葦原(あしはら)で昼夜を問わず「ギョギョシ」と賑やかな声を響かせます。葦の成長は早いので、日に日に姿を認めるのが難しくなっていきます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
600mm相当*
Aモード F4.0 1/640秒 ISO 500 ±0.0EV

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROで撮影したキビタキの写真

キビタキ

春に日本に渡ってくる鳥で、鮮やかな色彩と、美しい声で人気があります。葉が茂る前の季節に、声を頼りに林で探すと良いでしょう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROMC-20
1200mm相当*
Aモード F8.0 1/50秒 ISO 400 +0.3EV

水辺の旅鳥

水辺にやってくる旅鳥の代表格が、シギやチドリの仲間です。海が近くにある場合は、干潟や砂浜を探すと、波打ち際を走り回る姿を認めることができます。ひとつの群れに、複数種類の鳥が混ざっていることも多く、見応えがあります。

淡水域では、水を張った水田でもよくシギ・チドリ類の姿を見ることができます。地域によりますが、ちょうど渡りのピークに当たるGWの頃は、農繁期でもあります。農家の方の迷惑にならないような心がけが大切なのはもちろんですが、場合によっては潔く観察を諦めることが必要な時もあります。その時は残念な思いをしても、長い目で見ると、農家さんとの関係を大事にすることが、次回以降、来シーズン以降も観察できることにつながるのではと思います。

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影したオオソリハシシギの写真

オオソリハシシギ

オセアニアから北極圏への長い渡りの途中、日本の干潟に立ち寄ります。姿勢を低くして待ち伏せると、近くで撮影できるチャンスも来るでしょう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Mモード F5.6 1/2500秒 ISO 320 ±0.0EV

写真家菅原貴徳がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影したムナグロの写真

ムナグロ

おおむねGW前後の約2週間にわたり、旅の途中に日本全国の水辺に立ち寄ります。農作業の邪魔にならないように観察させてもらいましょう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROMC-14
1120mm相当*
Mモード F6.3 1/400秒 ISO 200 ±0.0EV

おわりに

いかがだったでしょうか。春は冬鳥との別れが寂しい時期ではありますが、身近な留鳥の行動に季節を感じたり、日に日に賑やかになる鳥の声にワクワクする季節でもあります。また、渡りの時期でもあるので、身近な公園でも、渡り途中の思いがけない鳥を見つける可能性もあります。OM SYSTEMをお供に、身軽に鳥探しを楽しんでみてはいかがでしょうか。

*35mm判換算焦点距離

写真家 菅原 貴徳

写真家 菅原 貴徳(すがわら たかのり)

1990年、東京都生まれ。幼い頃から生き物に興味を持ち、11歳で野鳥観察をはじめる。東京海洋大学、ノルウェー留学で海洋学を、名古屋大学大学院で海鳥の生態を学んだ後、写真家に。様々な景色に調和した鳥たちの暮らしを追って、国内外を旅する。近著に写真集『木々と見る夢』 (青菁社)、『散歩道の図鑑 あした出会える野鳥100』(山と渓谷社、写真担当)、『図解でわかる野鳥撮影入門』(玄光社)などがある。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

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カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

野鳥撮影のマナー

野鳥撮影時の注意点

  1. 撮影のために餌付けなどの環境の改変をしたり、録音した野鳥の声を流して誘引することはやめましょう。
    野鳥たちの自然な行動や生活を妨げてしまいます。
  2. 営巣中の野鳥たちはとても敏感です。
    大勢で巣を囲むことや、巣やひな、巣立ち直後の幼鳥などの写真の撮影・公開は控えましょう。
  3. 撮影地周辺の住民や、他の公園利用者への気遣いも忘れないようにしましょう。
  4. 撮影地の情報の取り扱いは慎重に行いましょう。特に巣やねぐらのように、逃げ場がない状況では注意が必要です。
    (画像に付加されたGPS情報は、OM Workspace で現像時に削除することが可能です。)
  5. 野鳥たちは自然の中で暮らす生き物です。彼らの生活を邪魔しないよう、ゆとりをもって撮影しましょう。
    また、双眼鏡などを使ってよく観察することが、よりよい撮影に繋がります。
  6. 野鳥撮影でフラッシュを使用すると、野鳥たちを驚かせてしまいます。
    暗い場所では、フラッシュ使用を避けて、ISO感度を上げて撮影しましょう。

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