OM-D E-M1 Mark IIが与えてくれた表現世界
小型軽量システムの恩恵
言うまでもなくマイクロフォーサーズはミラー構造を持たないため、ボディーのみならずレンズも含めたシステム全体が小型軽量化する。このことは実は非常に大きなメリットなのだが、カメラやレンズは大きいほうが良いという、神話や都市伝説にも似た感覚に囚われて、知ろうとしない向きが案外多い。小型軽量のメリット、それはどこへでも行けること、その先の風景を見に行こうという気持ちにさせてくれること、安全に撮影地に行き集中力をもって撮影し、そして安全に帰ることができること、これに尽きる。
筆者も含め写真を楽しむ層が高齢化する現代において忘れてはならないことは、安全が確保しやすいカメラシステムを使ってほしいということだ。そのためにはマイクロフォーサーズシステムはベストチョイスである。本格的に風景写真が撮れるOM-D E-M1 Mark IIを選び、2年以上使い続けて得た実感と願いである。
絶対三脚思考からの解放
OM-D E-M1 Mark IIには絶えずM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO(以下12-100mm)が装着されている。この組み合わせならシャッタースピードにして約6.5段分の防振効果が得られる。筆者の感覚では約1/4秒までなら、プロの目で見たとき「ブレ度ゼロ」の写真が作れる。これは何を意味するかと言えば、場合によっては三脚を持たずに撮影地へ入れるということ。もっと言えば滝や渓流の撮影にも挑めるということである。滝や渓流は時に険しい山道を分け入ってようやくの思いで撮影が叶うわけだが、そんな場所へ三脚を持って行くだけでも苦行を強いられる。しかし両手がフリーの状態ならどれだけ楽で安全なことか。そんな撮影行がOM-D E-M1 Mark IIと12-100mmの組み合わせなら可能になるのである。
風景写真は三脚が必須であるという絶対三脚思考から解放されると、前述のほかにもメリットを享受できる。手持ち撮影ならどんなアングルにも対応しやすい。風景の劇的変化にも即応できる。三脚禁止の場所でも撮影ができ、また三脚によって通路やスペースをふさがないので周囲への配慮もできるなど、メリットは決して小さくないのである。
筆者が三脚中心ではなく、手持ち撮影を中心に風景を撮るようになったきっかけを与えてくれたのは、OM-D E-M1 Mark IIと12-100mmのコンビを使うようになったことであることを付け加えておきたいと思う。
ダストリダクション&防塵防滴の信頼性
今では当たり前になっているため忘れかかっているかもしれないが、オリンパス機にはダストリダクションというゴミ取り機能が搭載されている。センサー面に付着したゴミを超音波振動で振るい落とす機能だが、この機能があるおかげでアウトドアでのレンズ交換も安心して行える。風景写真にはなくてはならない機能で、とくにオリンパスのゴミ取り機能は優秀で、これまでの長い経験の中でゴミが画像に映りこんだのはたったの2回。その時も電源のオンオフ操作だけでゴミは除去できた。
もう1つ、忘れてならないのは強力な防塵・防滴構造。激しい雨の中の撮影でも、傘をささずとも撮影を行い、なんの不具合も起きない。これも風景写真によっては極めて重要な機能だが、案外軽視されているかもしれないので、あらためてここに記したいと思う。