OM-D E-M5 Mark IIIで撮る旅写真

豊富な撮影機能:デジタルカメラならではの機能を活用しよう

オリンパスのデジタルカメラにはデジタルならではの機能が多く搭載されている。ボディー内手ブレ補正やハイレゾショットもデジタルならではだが、それ以外にも可動式のバリアングルモニターが搭載されているので超ローアングルやハイアングルでの撮影もフレーミングが容易だ。アートフィルターや比較明合成した結果をボディー内で生成しプレビュー確認ができるライブコンポジットなど様々だ。特に私が普段からよく使う機能を紹介したい。

ライブコンポジット

通常のバルブ撮影では露出オーバーとなってしまうシーンを適正露出を維持したまま時間経過により変化したハイライトの部分のみ合成して光跡を表現できる。明るい街灯りを背景に星の日周運動を撮影したり花火や蛍の光跡を撮影するのに適している。工夫をすれば日中でも使うことができるので紹介したい。

ライブコンポジットでよく使われるシチュエーションとして星空の撮影がある。長時間露光で星が流れている写真を撮る場合に便利だ。街明かりがある環境で星空の撮影をすると通常の長時間露光で撮影すると街明かりが明るすぎで露出オーバーとなってしまう。ライブコンポジットを使うことで適正露出のまま長時間露光の効果を得ることができる。

一見なんともない池に見えるがシャッタースピードをスローにすることで肉眼には見えないものが見えてくる。日中に長時間露光で撮影すると露出オーバーとなってしまうが、ライブコンポジット機能を使うことで露出オーバーすることなく長時間露光の効果を得られる。

ライブコンポジットで長時間露光の効果を再現した。肉眼では見えなかった水面の動きが軌跡となって映し出された。軌跡の元になっているのは水面に浮かんでいる落ち葉や気泡だ。

海岸に打ち寄せる波をライブコンポジットを使って視覚化した。ただのスローシャッターとは違い、合成の元となる一枚一枚は0.5秒のシャッタースピードであるため波のしぶきなども軌跡として写すことができる。通常撮影ではここまで白波が映らないためデジタルならではの表現だろう。

アートフィルター

アートフィルターを使うことで写真表現の可能性が大きく広がる。名前の通り写真をアートとして楽しむ機能で、彩度を通常よりも高く鮮やかに表現したり大きく色調やトーンを崩して表現したり今までレタッチソフトなどがなければ再現できなかった一枚がカメラ内で仕上げることができる。RAWで撮影しておくと撮影後にアートフィルターを選ぶことができるためアートフィルターで撮影する場合もRAWで撮影しておくと便利だ。私の場合は風景写真でも積極的にアートフィルターを使うことが多く、様々なシチュエーションでフィルターを通して世界を見ることで新たな写真表現との出会いが楽しめる。

アートフィルターを使うことで作品のイメージを大きく変えることができる。ネオノスタルジーは明部に暖色を暗部に深みのあるグリーンを乗せて仕上げてくれる。フィルター効果のおかげで夕日の赤とヒマワリの黄色が印象的に仕上がった。

夏の積乱雲が夕日で赤く染まっていた、ポップアートを使うことで彩度を通常よりも高く鮮やかに仕上げてくれる。ポップアートIIと使うことで暗部のコントラストを高めてくれまるでポジフィルムで撮影しているような仕上がりになる。アートフィルターの中でも使いやすく汎用性が高いのでオススメだ。

ブリーチバイパスはフィルムや印画紙の現像表現である銀残しを再現したフィルターだ。彩度が低く渋目の仕上がりになり暗部が引き締まりコントラストが全体に上がる。光が弱いシーンでもメリハリをつけることができる。

バリアングルモニター

最高の一枚を求めて地べたに這いつくばったり、高いところに登って撮影したことはないだろうか?猫や虫と同じ目線で撮影したい、でもローアングルすぎでファインダーを覗くのが大変…そんな時に活躍してくれるのがバリアングルモニターだ。背面モニターが稼働するためハイアングル、ローアングルはもちろん自撮りだって簡単にできてしまう。ファインダーとバリアングルと撮影に合わせて使い分けることで新しい世界が開けるだろう。

水面に浮かぶ水草で日向ぼっこしていたカエルと撮影。バリアングルを使って水面スレスレまでカメラを下げてカエルと同じ目線で撮影した。目線を下げることでカエルの見ている・住んでいる世界を体感しながら撮影できた。

夏の青空に向かって咲くヒマワリをローアングルで撮影した。ファインダーでも撮影できそうなアングルだが実際にはヒマワリの葉の隙間にカメラを仕込んで撮影しているのでファインダーを覗いてでは撮れない一枚だ。街中に咲いていたヒマワリだがローアングルで撮影することで周りの景色をフレームに入れずに撮影できた。

雨上がりの森の中を歩いていると足元に水たまりと青々とした葉っぱが落ちていたのでバリアングルを使って俯瞰から撮影した。ファインダーを使って撮影すると水たまりに自分が写り込んでしまうためバリアングルを使って片手を伸ばして撮影した。

ローポジションで瀬戸内海の海岸をハイレゾショットで撮影した。カメラの位置は膝より少し低いくらいの位置で構えている。無理な体勢をせずにフレーミングの確認ができるので体への負担も軽減されるのは嬉しい。

バリアングルモニターを使って水面ギリギリの高さから撮影した。激しい水の動きを生かしてスローシャッター設定にして躍動感を出した。E-M5 Mark IIIは小型軽量であるため無理な体勢での撮影でも体への負担が少ない。防塵防滴のおかげもあって安心して撮影できた。

ローアングルの楽しさは普段見ている景色が一変するところだろう。大胆にアングルを変えることで効果もより大きくなるが撮影体勢もそれだけ大変になるということだ。ファインダーを覗いて撮影できない環境でもバリアングルモニターを駆使することで確実な構図で収めることができるのだ。

まとめ:正統進化を遂げたOM-D E-M5 Mark III

初代OM-D E-M5が発売されたのが2012年。それまではオリンパスのミラーレスシステムはPENシリーズが主流でありOM-D E-M5はまさにオリンパスユーザーが待ちに待った一台だった。コンパクトなボディーに強力な手ぶれ補正に画質の向上、防塵防滴とオールラウンダーなカメラとして多くの風景写真家に愛されて来た。特に5シリーズは新機能が搭載されることが多くE-M5 Mark IIはハイレゾショットやOM-D MOVIEなど実験的な機能が多く搭載されユーザーをワクワクさせてくれた。今回登場したE-M5 Mark IIIはOM-Dの正統進化と言っていい仕上がりで、ボディーサイズは初代E-M5からそのままにプロフェッショナルモデルであるE-M1 Mark II同等のスペックが凝縮されている。まさにOMシリーズのコンセプトを引き継いだOM-Dの正統進化である。

PROレンズもラインナップが揃っているので全体のシステムとしても完成度は高い。マイクロフォーサーズセンサーならではの設計レンズも多く、ユーザーに写真を撮る楽しみを提供してくれる。画質もシリーズが更新されるたびに向上され風景写真やスタジオ撮影でも安心して使えるクオリティだ。更にハイレゾショットを使うことでダイナミックレンジや色の深みも向上するためよりハイクオリティな作品も楽しめる。

小さなボディはそれだけでワクワクする。もっと気軽に写真を楽しみたい、でも画質にはこだわりたい。そんな願いを叶えてくれるのがまさにE-M5 Mark IIIである。写真はカメラがなければ写すことはできない。明日は近所を散歩してみようか、ちょっと早起きして遠出してみようか、どこに出かけるにしてもE-M5 Mark IIIを片手に肩の力を抜いてシャッターチャンスと出会う旅に出かけてみよう。