ハイレゾショットの底力
小型で携行性に富み、ここぞというショットを逃さない機動力では圧倒的優位を誇るOM-D。でも「私は車両や駅舎、施設などをきっちりと・最高の画質で撮っておきたい」という方も当然おいでだろう。「形式写真」は鉄道写真の大事なジャンルである。このためだけにフィルム時代、普段は35mmを使いながら67や、はては4×5までに手を出した人もたくさんいる。
ここはOM-D「ハイレゾショット」の見せ所だ。センサーが0.5ピクセル毎に微小にシフトして8回の露光を行い、最高8000万画素(E-M1 Mark II、RAW、OLYMPUS Viewer 3 Ver.2.0<64bitOS環境で生成>)という現行コンシューマー機最高の画素数の画像を生成する。4点、夜の作例をご覧にいれたい。ぬめるように描写された質感が圧倒的迫力だ。
三脚必須、動いているものは撮れない、など…という制約はあるが、思えばこれは「4×5」の制約とほぼ同じもの。かつて「大事なカットは最も大きく重い機材で撮る」のがなかば常識だった形式写真。あまたある機材を差し置いて、最も小さく・軽いOM-Dが一番の後継の名乗り上げだというのも面白い。
- 絞り値:F4.5
- シャッター速度:20秒
- 焦点距離:17mm
- ISO感度:400
- OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
- ※補助光使用
白熱灯照明がひときわ暖かに感じられる、冬の夜。その場の清冽な空気までも閉じ込めたような、ハイレゾショットの超高描写。
- 絞り値:F4
- シャッター速度:1秒
- 焦点距離:26mm
- ISO感度:200
- OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
夜、静まり返った構内で憩うラッセル車。昭和9年生まれの重厚な存在感こそハイレゾショットで対峙したい。
- 絞り値:F2.8
- シャッター速度:8秒
- 焦点距離:26mm
- ISO感度:320
- OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
インドネシアにわずかに残った産業用蒸機。主燃料は藁くずのようなバガスだ。時折吹上げる花火のような火の粉が常夏の国の夜空を彩る。