Photo Recipe(フォトレシピ)
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初めての超望遠レンズ(野鳥撮影編)
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撮影・解説 : 中村 利和
2024年10月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
はじめに
秋から冬にかけては、野鳥の観察、撮影を始めるのにとてもよい季節です。
近所の都市公園など身近な場所でも山から降りてきた鳥たちや、海を渡ってきた冬鳥たちなどが増え、林の中も木の葉も落ちて鳥たちを見つけやすくなるからです。
・野鳥の撮影に興味があるけど、どんなレンズを使えばいいかわからない
・今持っている望遠レンズだとちょっと物足りない
・もう少し長い焦点距離のレンズが欲しい など
今回はそのような方に、どのような望遠レンズを選べば良いかをお話します。
野鳥撮影と望遠レンズ
まだデジタルカメラがないフィルムカメラの頃、野鳥撮影には35mm判換算で焦点距離500mmや600mm の超望遠レンズが必要と言われていました。当時の超望遠レンズは高価な単焦点レンズが主流で、なかなか手に入れにくいものでした。しかし、カメラがデジタルカメラになり、さらにミラーレスカメラが主流になりつつある近年は比較的安価で高性能な超望遠ズームレンズも増え、選択肢が広がり手に入れやすくなりました。
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明るいレンズは暗い場所の撮影などに有利ですが、その分重く、高価になります。ミラーレスカメラはレンズの開放値の暗いレンズでもファインダー内の像が暗く見えにくくなることもないので、手軽にズームレンズで野鳥撮影を楽しむことができるようになったのです。カメラの性能も上がり、ISO感度を上げることができるのも、野鳥撮影には助かります。
初めての超望遠レンズ
ここ数年、野鳥の観察や撮影を楽しむ人が増えてきました。
フィールドでも大人数の人と一緒に鳥を見る機会も多いと思います。そのような状況では、なかなか自由に動いて撮影することは難しいので、より焦点距離の長いレンズが有利になってきます。昔は500mmや600mmが必要であると言われていましたが、今は600mmや800mmくらいあるとより楽しめるのではないかと思います。
初めての超望遠レンズや今あるレンズからのステップアップに最適な超望遠ズームレンズとして、M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISを紹介します。35mm判換算で800mmの野鳥撮影に使いやすい焦点距離をカバーしていて、焦点距離を最大で2倍の1600mm相当*にすることができるテレコンバーターも使用可能なのです。超望遠撮影もでき、またレンズ内手ぶれ補正も搭載されているので、手持ち撮影も十分可能です。
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カイツブリ
公園の池を泳ぐカイツブリ。水面が全面グリーンになる位置に来るまで待って撮影しました。AI被写体認識AF搭載のカメラでは、カメラが自動的に鳥を認識し、簡単にピントを合わせ続ける事ができます。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
800mm相当*
Aモード F6.3 1/1600秒 ISO 3200 -1.0EV
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カワセミ
お気に入りの止まり木に止まって羽繕いをするカワセミ。都市公園でもよく見られる人気者の鳥です。静音の連写モードを選択して、羽繕いした瞬間を捉えました。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
800mm相当*
Aモード F6.3 1/250秒 ISO 800 +0.3EV
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シジュウカラ
水場に水浴びに来たシジュウカラです。水場や食べ物の木の実など鳥たちが集まる場所では静かに驚かせないように待ちます。シャッタースピードは1/100秒ですが、カメラとレンズの手ぶれ補正のおかげでブレずに撮影できました。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
614mm相当*
Aモード F6.3 1/100秒 ISO 1600 -1.0EV
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ツミ
公園で巣立ったツミの幼鳥を観察していると、不意に目の前の枝に飛んできました。慌てず、少しワイド側にズームして35mm判換算749mmで撮影しました。
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
749mm相当*
Aモード F6.3 1/250秒 ISO 2000 -0.7EV
鳥たちのより自然な表情を捉える
もっとズームをしたいという方には、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS、もおすすめの1本です。このレンズ望遠端が35mm判換算で1200mm相当と、M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 ISと比べて、さらに余裕のあるレンズです。
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焦点距離の長いレンズは鳥を大きく写すことができるだけでなく、鳥との距離を詰める必要がないので、鳥に対するプレッシャーを軽減することにもなり、鳥たちのより自然な表情を捉えることが出来るのです。そしてズームレンズは思いがけず鳥が近くに寄ってきた時にもレンズ交換なしに対応できるので、とても便利です。こちらのレンズも1.4倍や2.0倍のテレコンバーターが使用可能で、最大で2400mm相当*の超望遠撮影を楽しむことができます。
シンクロ手ぶれ補正機能対応のレンズでもあるため、シャッターボタンを半押し中はファインダーを覗くときっちりと像が止まって見えます。手ぶれ補正が強力に機能しているのが実感できるので、撮影中の手ぶれが気になる方にもおすすめです。
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ホシガラス
35mm判換算1200mmで撮影したホシガラス。1200mmという焦点距離は鳥との適切な距離を保ったまま、鳥も大きく写すことができます。
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS
1200mm相当*
Aモード F6.3 1/1000秒 ISO 1600 -0.3EV
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ダイゼン
最近のズームレンズはテレコンバーターも使用できるので1.4倍のテレコンバーターを使用。35mm判換算1680mmという超・超望遠撮影でダイゼンのアップを狙いました。
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS + MC-14
1680mm相当*
Aモード F9.0 1/1000秒 ISO 400 -0.3EV
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コオバシギ
海岸で休息中のコオバシギを青い波を背景に撮影。35mm判換算1200mmはコオバシギの姿をくっきりと浮かび上がらせてくれました。
M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS
1200mm相当*
Aモード F6.3 1/400秒 ISO 400 +1.0EV
まとめ
いかがでしょうか。
野鳥を撮影するための初めての超望遠レンズは35mm判換算800mmをカバーしている小型で手持ち撮影もできるズームレンズが使い勝手もよく便利です。自分のニーズに合ったレンズを見つけて、野鳥の撮影を楽しみましょう。
*35mm判換算値
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写真家 中村 利和
神奈川県生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、アシスタントを経てフリーランス のフォトグラファーとして活動。高校生の頃、野鳥の観察、撮影を始めて以来、身近な野鳥を中心にその自然な表情、仕草を記録。「光」にこだわり、鳥たちの暮らす環境、その空気感を大切に撮影を続けている。著書に写真集「BIRD CALL」青菁社 「鳥の骨格標本図鑑」文一総合出版(共著) 写真集「鳥の肖像」がある。日本野鳥の会 日本自然科学写真協会(SSP)会員