Photo Recipe(フォトレシピ)
海鳥を撮影してみよう(野鳥の楽園・天売島編)
2024年9月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
野鳥の楽園 天売島
私が住んでいる北海道道北、留萌市の海岸から沖をみると、ポツンと二つの島が浮かんでいる。天売島と焼尻島だ。
天売島は、春と秋には数多くの渡り鳥が中継地として立ち寄り、野鳥の楽園として知られていて、日本中、いや世界中から野鳥愛好家が訪れる。
そんな天売島で繁殖をしている貴重な野鳥たちがいる。
国内では天売島でのみ繁殖し、オロロン鳥の愛称で呼ばれているウミガラス、赤い足が可愛いケイマフリ、数十万羽の群れで集結するウトウ。
この天売島を代表する海鳥三種について語っていこう。
三種の海鳥
海鳥の外見の特徴としては、ケイマフリは、真っ赤な足が特徴でブーツを履いているようで可愛い。
名前の由来は、アイヌ語で「ケマフレ=赤い足」からきている。
鳴き声も美しく、海のカナリアとも呼ばれている。
ウトウは、オレンジ色の嘴(くちばし)でよく目立ち、その上にツノのようなものがあり迫力がある。
ウミガラスは、黒と白のコントラストが特徴でペンギンのような姿だ。
目も黒いのでピントを合わせるのが難しい。
「オロローン、オロローン」と鳴くことからオロロン鳥とも呼ばれている。
三種に共通しているのは泳ぎが得意で、海の中を羽ばたくように移動することが出来る。また、魚を獲ることに特化している。
この三種の海鳥は、本来、海の沖合で暮らしているため、船などに乗らないと出会うことができない。
冬に海が大荒れになると港に避難してくるものもいるが極稀だ。
しかし、春になると繁殖をするために天売島にやってくる。
ウミガラスは、群れで断崖絶壁の洞窟にコロニーを作る。
ケイマフリは、断崖絶壁の岩の隙間に巣を作る。
ウトウは、断崖の上部の土に穴を掘り、その中で子育てをする。
似たような三種の海鳥だが、上手く棲み分けて子育てをしている。
展望台と天売ブルー
私が、その鳥たちを観察するのに大好きな場所は天売島の赤岩展望台だ。
海面から100mほどの断崖の上に設置された展望デッキで、真っ青な海を一望でき、常に風が吹いており、とても気持ちが良い。
そこで、ウミガラスや、ケイマフリ、ウトウなどの生活を観察することができる。
天売島は沖合にある島なので海の透明度が高く、海底まで透き通って見える。
天売ブルーをバックに舞う海鳥たちは、とてもフォトジェニックだ。
赤岩展望台から海鳥を撮影するのに使用したレンズは、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROだ。
海鳥たちが遠い海上を漂う場面や、近くの岩場に来ることもあるので、テレコン内蔵のこのズームレンズがとても便利だ。
また、海の玉ボケを狙ったり、綺麗なボケを表現したりするときには、M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROを併用した。
OM-1 Mark IIのAI被写体認識AF(鳥)のおかげで、飛翔して向かってくる鳥たちにも、しっかりとピントを合わせて撮影することができる。
海上には障害物がないため、実に気持ちが良い撮影ができる。野鳥の撮影を始めたばかりの方でも、練習にもなるだろう。
海鳥の生活リズム
ウミガラスは、プカプカ浮きながら数羽の群れになってることが多く、遠くから見るとペットボトルが浮いているように見える。
ウトウは大きな群れで行動し、昼間は島から離れ小魚を探している。
夕暮れになると一斉に島に戻り、空が真っ黒になるほどの大群で埋め尽くされる。
マジックアワーに染まる空をバックに舞う姿は、震えるほど美しい。
ケイマフリは、島周辺で小魚を探し、疲れると営巣地の断崖で休んでいる。
たまに岩を飛び立ちテリトリーを巡回して飛び立つ。
同じ海鳥でも、生活のリズムは異なる。
命を繋ぐ島
とても、稀少な海鳥たちが命を繋ぐ島・天売島。
皆さんも、ぜひ訪れてみてほしい。きっと、素敵な出会いがあるだろう。
羽幌町から、フェリーが出ているので波予報を見ながら計画を立ててみよう。
予報を読み間違うと、海が時化て何日も帰ってこれないこともあるので注意が必要だ。
私が住む留萌市から、さほど距離は無いのだが、海外旅行へ行ったような気分になるので不思議だ。
*35mm判換算焦点距離