Photo Recipe(フォトレシピ)
OM SYSTEMで撮る富山の風景写真 ~秋編~
2022年10月公開
記事内で使用した
カメラとカメラとレンズをご紹介
はじめに
朝晩が過ごしやすくなり、ずいぶん秋らしくなってきました。今回は富山の秋の風景とともに、撮影のポイントを紹介していきます。
立山 (室堂平周辺)
立山黒部アルペンルートの中心地、標高2,450mの室堂平。
ここは、北海道の大雪山と並んで日本で最も早く紅葉が楽しめるスポットと言われています。平年は9月中旬から紅葉が始まり、9月下旬~10月上旬にピークを迎えます(2022年は気温のせいか、少し遅れています)。ケーブルカーと高原バスで室堂までアクセス可能なので、トレッキング初心者でも楽しめる場所です。
1枚目は、室堂ターミナルから10分ほど歩いた場所にある、みくりが池の写真です。池全体を画角に収めるには広角レンズが必要で、この写真はM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROを使用しています。小さくて軽いので、山歩きにも便利なレンズです。風の弱い朝のほうが水面のリフレクションは綺麗ですが、澄んだ青空と白い雲に惹かれて、午後の時間帯に撮影しました。
2~4枚目は、室堂ターミナルから45分ほど歩いた場所にある雷鳥沢キャンプ場周辺の写真です。2枚目は、少し低い場所にあるキャンプ場を上から見下ろすように撮影したもの、3枚目はキャンプ場まで下りて撮影したものです。美しい山々に囲まれた場所に、宿泊者のカラフルなテントが並び、キャンプ場の周辺には、真っ赤に紅葉したチングルマの葉が絨毯のように広がります。4枚目のようにクローズアップしてみると、チングルマの可愛らしい綿毛も見られます。山歩きをしていると広大な風景に目が行きがちですが、足元に咲く高山植物をさがしてみるのも楽しいです。レンズは3枚とも、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを使用しました。1本で広角~望遠域の広い焦点距離をカバーでき、レンズ交換が難しい場所でも大活躍してくれます。
5枚目は、帰り際にすれ違った登山者の隊列です。これから山に挑む登山者が一列で進む様子が印象的だったので、山や空の雄大さがわかるように撮影しました。人が入ることで、自然の大きさが一目でわかる写真になります。
称名滝
立山の弥陀ヶ原台地から流れ落ち、落差日本一を誇る称名滝。
夏編(OM SYSTEMで撮る富山の風景写真 ~夏編~)でも紹介しましたが、私が称名滝で最もおすすめしたいのが、紅葉シーズンです。紅葉の見ごろは10月下旬~11月上旬で、駐車場から滝までの道のりも見渡す限りの絶景です。
1枚目は、滝の正面の称名橋から撮影した写真です。落差350mの段瀑と、色とりどりの紅葉、青空、称名川のエメラルドグリーンをバランスよく配置しました。PLフィルターがあると、紅葉を鮮やかに撮影することができます。
2枚目は遊歩道から下の称名川付近を、3枚目は展望台から反対方向の山肌を切り取った写真です。メインの滝以外にも美しい景色がたくさんあり、心揺さぶられた場所を切り取ってみました。2枚目は、1本だけ真っ赤に色づいた木に惹かれ、その木が主役となるよう撮影しました。
3枚目は、山肌に光が差し、紅葉の美しいグラデーションが浮かび上がった瞬間を撮影しました。山肌だけを切り取るとぼやけた印象になったので、建物を入れてメリハリを出し、童話の世界のようなイメージで撮影しました。
4枚目は滝の近くの展望台から撮影した写真です。山地に生育するヤマハハコという白い花を手前に配置しています。ダイナミックな滝のすぐそばに咲く小さな花は、どこか心が癒されるような存在。共存しているのが面白いと感じたのでこの構図を選びました。このような小さな発見でも、定番スポットでちょっと人と差がつく写真が撮影できるかもしれません。
黒部峡谷
紅葉の季節に外せないのが黒部峡谷です。
トロッコ電車が走る黒部峡谷鉄道の沿線、トロッコを降りた先の秘境ともに紅葉が美しい場所です。
今回紹介する2枚は、どちらもトロッコの出発地点の宇奈月駅付近から撮影したものです。
1枚目は、河原から赤い2本の橋を見上げるように撮影したもので、2本の橋の間にトロッコ電車を配置しました。撮影した日は雨が降っていましたが、雨の日は紅葉がしっとり艶やかで、晴れた日とはまた違う美しさが表現できます。
また、霞んだ山も幻想的な雰囲気となりました。晴れた日に比べて暗いので、動く被写体を撮影する際はシャッタースピードや露出に注意が必要です。この写真の場所は、駅付近でトロッコ電車のスピードがあまり出ていないため、シャッタースピードは遅めの設定でも被写体を止めて撮影できています。SモードやMモードに設定し、被写体の動く速さにあわせてシャッタースピードを調整するようにしましょう。
2枚目は、展望台から撮影したものです。橋から奥のトンネルに向かって収束点ができる放射線構図となるので、奥行きが感じられる写真となります。山肌の紅葉をどれだけ入れるか、向かってくる電車の先頭をどこに配置するかで印象が変わるため、バランスに気をつけて撮影しました。
秋の花風景
秋になるといろいろな花が見頃を迎えます。
花畑での撮影は単調になりがちなので、撮り方を少し工夫してみましょう。
生き物たちを主役に撮影してみると、生き生きとした写真になります。
今回は、秋の花畑にやってきた蝶の写真を3枚集めてみました。蝶の飛翔を狙う際は、連写に設定します。置きピンで止まっている蝶にピントを固定し、飛翔のタイミングを見計らってシャッターを切ると成功率が上がります。
プロキャプチャーモードが搭載されているカメラの場合は、それを使って撮影すると、シャッター半押し状態から撮影を開始できて、一瞬のチャンスを逃しません。翅がぶれないように、シャッタースピードは1/1000秒より速い設定にします。
1枚目は、呉羽山公園都市緑化植物園の彼岸花とモンキアゲハです。蝶と同じ目線の低いアングルでカメラを構えて、手前の彼岸花で前ボケを作り、複数の蝶が舞う神秘的な雰囲気を引き立てました。
2枚目は、三峯グリーンランドのフジバカマとアサギマダラです。海を渡り2,000㎞近くの旅をする蝶として知られ、秋になると日本列島を南下します。食事中のアサギマダラは近づいても逃げないので、フィッシュアイで至近距離まで寄って構図を決め、飛翔するタイミングを待ってシャッターを切っています。
3枚目は、IOX-AROSAのキバナコスモスとモンキアゲハです。キバナコスモス畑の通路に2頭が入っていくところが見えたので、しゃがみ込み、望遠レンズで奥行きの出る構図で撮影しました。絞りは開放で、主役が際立つようにしています。
4枚目・5枚目は、となみ夢の平スキー場の秋桜畑で撮影しました。
4枚目は秋桜の隙間から、絞りは絞り気味にしてフィッシュアイで撮影しています。被写体にかなり寄れるレンズなので、近づいたほうが花の大きさにメリハリがつき、ダイナミックな切り取りができます。
5枚目は、日中見えなかった立山連峰が夕方見えてきたので、立山連峰を背景に秋桜を撮影しました。望遠レンズの圧縮効果で、50㎞以上離れた立山連峰が近くに見えるように撮影しています。この写真のように、花風景とその地域のシンボルを組み合わせて、見慣れた風景に季節感をプラスするのもおすすめです。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、秋の花やこれから見頃となる紅葉を中心に撮影のポイントをご紹介しました。
いよいよ本番を迎える秋の撮影に、少しでもヒントとなれば嬉しいです。
※35mm判換算焦点距離