【オリンパスギャラリー東京】2018年3月23日～28日　内藤忠行 写真展

内藤 忠行 写真展「ある写真家の花見」
オリンパスギャラリー東京　期間：2018 年3 月23 日（金）～ 3 月28 日（水）
午前11：00 〜 午後7：00　最終日 午後3：00　木曜休館　入場無料

【写真展内容】
桜をテーマに選んだのは丁度30 年前だった。それまで日本から遠く離れた未知なる地平を旅し、想像を絶する自然や生きものたちの色や形、そこに暮らす人々の習俗や文化に感動し、その魅力を伝えてきた。20年ほど続いた異郷への旅は創造の引き出しを多様にし、日本を見る鏡となり、四季のある日本のモダンな美が恋しくなった。自らのアイデンティティを掘り下げ、潜む美感を探求したくなった。日本に回帰し最初に選んだのは桜だった。桜は千年以上に渡ってあらゆる分野の人々が表現してきた。ビジュアルは文学に比べると表現が浅いと云われ続けている。私もそう思っていたから挑戦する決心をした。写真は新参者だけど写真にしか出来ない表現があるはずだ。しかし桜にレンズを向けて見ると引いても寄っても自分のスタイルを表現することは出来なかった。桜表現の難しさを実感した。1989 年、再び春が巡って来た。一 年経っても解決方法は見つからず、東京の桜は散り去った。真夜中、曖昧に撮った散乱したコンタクトを眺めている時だった。突然天から降りて来たように脳の中にシンメトリーが浮かんだ。「ZEBRA」で探求したシンメトリーを桜で応用するなんて全く考えもしなかった事だ。翌日いくつか試作をしてみると4 面が出会うところに表出する図像に驚かされた。16 面にすると１種類の写真なのに4 つの異なる図像が現れる。
美的でありながら霊的であり宇宙的でもある。そこは正面には見えない妖艶なエロスも潜んでいた。1989年4 月20 日、三春の滝桜から角館までシンメトリーを想定した桜ざんまいの撮影となり、着物の形をした「T字型12 面シンメトリーの桜」は3/100mm の誤差も許されぬ手でシンメトリーを繋ぎ合わせる難作業となり完成に1 年を要した。7 点が東京都写真美術館に収蔵された。それから20 年あまり、庭、蓮、骨、雲を撮る。その間カメラはデジタル化が進み、新たな写真の創造へと向かっている。しばらく桜と距離を置いて来たが、いたたまれず再び桜に向かった。和歌や俳句、能、梶井基次郎、坂口安吾の小説、ピカソのキュビスム、マックス・エルンストのコラージュ、マイルス・デイビスのミステリー等が私の中で渾然一体となり、妄想的な「桜の森」を徘徊しているうち「ある写真家の花見」となった。

出展作品数：約50 点

【作者略歴】
内藤 忠行（ないとう ただゆき）
1941　東京・浅草に生まれる
1970　サンケイ新聞出版局 写真集「日野皓正の世界」
1977　泰流社 写真集「NABESAN」
1980　Photohouse OM 写真集「アフリカの旅」
1981　神戸新聞事業社 写真集「地球風俗曼陀羅」毎日デザイン賞受賞
　　　 レコード制作「MASAILAND」「DRY&WET」「NIGHT TRIP」
1982　晶文社 写真集「アフリカの歌」
1985　レコード、CD 制作 ソニー「TIMELESS」
　　　 レコード、CD 制作 MCA「ZEBRA」
1989　情報センター出版局 写真集「ZEBRA」
1990　扶桑社 写真集「SAKURA-COSM」
1991　JICC 出版局 写真エッセイ集「Synchro Vibes」
1992　筑摩書店 写真集「わが心のアフリカ」（ライアル・ワトソン共著）
1993　Photohouse OM ビデオ「脳の縞」
1997　ソニー ハイビジョン監督「The Song of Africa」
1998　デジタローグ CD-ROM「京の庭」ニューヨークADC 銀賞受賞
　　　 世界文化社 写真集「宇宙のかたち　日本の庭」
2000　デジタローグ CD-ROM「マンダラ・コスモロジー」
2001　デジタルビデオ作品「ZEBRA」
2003　幻冬舍 写真集「色はことのは」（末永蒼生共著）
2005　評言社 写真集「ブルー・ロータス」
2007　世界文化社 写真エッセイ集「日本の庭」再販
　　　 JICC 出版 「Synchro Vibes」再販
　　　 世界文化社 写真エッセイ集「美を生きる」（千住博共著）
　　　 宝島社 「シンクロ・バイブス」再販
2014　LITTLE 社 写真集「EMERGE」
2015　鶴岡八幡宮 写真集「INORI」
2016　Photohouse OM 写真集「ある写真家の花見」
2016　Photohouse OM 写真集「I Loved Him Madly」

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