プロスキーヤー/登山家
三浦豪太
Tough×8848m
プロスキーヤー/登山家
三浦豪太
2013年5月23日、世界中がその快挙に沸いた。プロスキーヤーにして登山家、70歳、75歳と2度、世界の最高峰エベレストの登頂に成功した三浦雄一郎氏が、世界最高齢、80歳にして3度目の登頂に成功したのだ。標高8848mへの登頂、その歓喜の瞬間を捉えたのは登頂隊の副隊長、三浦豪太氏の手に握られたSTYLUS TG-2 Toughだった!
今回は特別に三浦豪太氏に貴重なインタビューの時間をいただき、8848m山頂登頂時の感動の瞬間、登山と写真の関係、そして使ったTG-2のパフォーマンスなど、興味深い話を伺うことができた。
まず父が80歳という高齢で8848mの世界一の山にチャレンジし、登頂に成功したのですから、大変な喜びですが、同時に頂上に立ったという証を確実に残さねば、という使命感もありました。登山は普通のスポーツのように誰かが判定し、記録するのではない自己申告の世界。認めてもらうには登頂したという確固たる証を自ら残さねばならず、今回のように顔の写った写真こそが証になるのです。しかし酸素濃度は平地の約1/3、マスクを外して写真を撮れる時間は体への負荷を考えるとわずかしかありません。シャッターを切った後、TG-2の背面液晶で“この1枚”(※1)が撮れているのを確認したときはほっとしました。
(※1 下記に掲載した、8848mの山頂で三浦雄一郎氏が手を振り上げた瞬間の写真。)
高山という非常に厳しい環境の中、確実に動いてくれた信頼性に満足しています。特に低温に対する高い耐性は、試しに出してみたスマホが寒さでたちまち動作しなくなったのとは対照的。頂上ではマイナス25℃以下にもなる過酷な環境ですが、バッテリーの持ちも十分満足でき、今回8日間の登頂行程で合計3本しか消費していません。(※2)もちろんタフなこと、壊れず信頼性が高いことは何より大切。行程中はハードな氷壁のアタックなどもあるうえ、カメラといえど最低限の注意しか払えません。ですが、こすって傷こそ付いていますが、動かなくなるようなトラブルはありませんでした。
(※2 今回は節電のためGPS機能はオフの状態で登頂されました)
登山隊“チームMIURA”は隊長が父の雄一郎、私は副隊長のポジションです。そういった隊の中の役割とともに、父のもっとも近くであらゆるサポートをしたうえで記録の写真も撮っています。倉岡さん、五十嵐さん、そして平出さんといった山岳写真に長けたメンバーが同行し、すばらしい記録を残してくださいましたが、私は岸壁を登っている間も父のすぐ後にいて、一挙一動を見られるポジションに必ずいました。そうだ、そのポジションで“TG-2ならではの強み”で撮った写真がありますよ。
“TG-2の強み”とは片手で操作、撮影が行えることです。ザイルを使って斜面を登ってゆく父の後姿はすばらしく迫力があるし、ぜひ写真に残したかった。私は防寒ジャケットの胸ポケットにTG-2を入れて登っていましたが、取り出してから電源のオン、シャッターを切るまで片手でできるのです。だからこそ登攀中でも撮れた写真があったのです。しかも立ち上がりが早く、撮りたいと感じたそのときに対応してくれました。
下山の時には父の体調のこともあり、可能な限り迅速に比較的安全なC2地点(キャンプ2、6500級)まで下山したかったため、安全に注意したうえで夜間にも移動しました。この写真ではフラッシュは使っていませんが、レンズが明るいためその場の光で撮れています。きっとフラッシュを使ったら手前のザック周辺だけ明るく、奥は真っ暗の写真になるのでしょうね。この写真であれば山岳行の臨場感というか、その時の息遣いも感じられると思います。
今回の登頂達成は応援をいただいた多くの方々のお力を借りての成功と考えています。三浦雄一郎が“チームMIURA”が何を成し得たか、私がTG-2で撮影したものも含めた数々の写真がその証であり、これからもこのトライアルの意義を語って後世に残していくことでしょう。それだけ写真の持つ記録の力は大きいということなのです。
三浦豪太(みうら ごうた)
1969年8月10日生。プロスキーヤー、登山家。三浦雄一郎氏の二男であり、エベレスト登頂隊“チームMIURA”では副隊長を務める。三浦雄一郎氏のもっとも近くで登頂をサポートし、感動の瞬間をTG-2で記録し続けた。
ミウラ・ドルフィンズ http://www.snowdolphins.com/