ダイナミックな鳥の姿を捉える!
OM-D E-M1 Mark II 野鳥撮影レポート

3.「AFリミッター」でC-AF時の中抜けを防ぐ

OM-D E-M1 Mark IIのC-AF時の動体捕捉、動体予測の精度が高まったことで、飛んでいる野鳥を撮る際に、「オールターゲット」を積極的に使えるようになった。このとき、カスタムメニューのA1にある「AFターゲット表示」を「On2」に設定したい。「On2」ではピントが合っている箇所が緑色のターゲット枠で表示される。これは「動体追従クラスター表示」と呼ばれる機能。「オールターゲット」で撮影中、カメラがどこにピントを合わせているか、あるいは今、どこにピントが合っているか、リアルタイムに確認できるので、安心して動体撮影を行えるようになる。

「オールターゲット」は、空や海など、背景のコントラストが低かったり、背景までの距離が十分あったりする場合は、狙った被写体を捕捉してくれる。ただ、背景に森や木立、人工物などが入ると、背景にAFが合ってしまうこともある。このピントの「中抜け」を減らすためには、カスタムメニューのA1にある「C-AF追従感度」をマイナス方向に補正するとよい。初期設定では±0になっており、通常はこれでいいが、AFが他の被写体に移りやすいと感じたときは、-1、-2に設定することで改善することがある。逆に「C-AF追従感度」を+1、+2に設定するとAFが敏感になり、被写体が前後に素早く移動してもAFが追従しようとする。これは、動きの激しい野鳥を撮るときに有効だ。

また、被写体の前後の動きが激しく、なおかつ背景にコントラストの高い木立や人工物が入るときに効果的だと感じたのが「AFリミッター」だ。一部のレンズにある「フォーカスリミットスイッチ」を撮影者が自由にカスタマイズできるようにした機能で、AFが合う距離を0.1m単位で設定できる。例えば、草原の上を舞うように飛ぶ鳥を撮るとき、「5.0〜50.0m」に設定して撮ると、AFが手前の雑草と背景を無視するため、AFが予期せぬ所に合うことがなくなる。AFの中抜けがなくなると、AFのリカバリーも速くなり、撮影成功の確率が高まることを実感した。

なお、「AFリミッター」のON/OFFをスムーズにするため、カスタムメニューの「ボタン機能」の設定を使い、任意のボタンに割り当てると、メニューを開かなくても切り替えられ、非常に便利だ。

「オールターゲット」使用時は、「動体追従クラスター表示」を使いたい。シャッターボタンを押している間、ピントが合った部分のAFターゲット枠が緑色に点灯し続ける。C-AFでは被写体の動きにともないAFターゲット枠の点灯も移動する。

「動体追従クラスター表示」を機能させるには、カスタムメニューのA1にある「AFターゲット表示」を「On2」に合わせる。なお、初期設定の「On1」は、ピントがあった瞬間、AFターゲット枠が緑色で表示され、すぐに消える。

動きの激しいクロハラアジサシを超望遠レンズで追うのは大変。「動体追従クラスター表示」を使うと、ピントが合っているか否か、どこにピントが合っているのかファインダーで確認できるので、連写し続けず、ここぞというタイミングでシャッターを切るような撮り方も快適に行える。

後ろに柵や建物が入るシーンでは、ピントが背景に合ってしまう心配がある。そんなときは「AFリミッター」でAFが働く範囲を絞り、ピントの中抜けの発生を防いだ。C-AFがクロハラアジサシから外れることがあっても、ピントを大外しすることはなく、すぐにリカバリーできた。

カスタムメニューのA1にある「C-AF追従感度」。マイナス方向に補正するとAFが粘り、他の被写体にピントが移りにくくなる。逆に、プラス方向に補正するとAFが敏感になり、被写体が前後に素早く移動してもAFが追従する。

カスタムメニューのA1にある「AFリミッター」。AFリミッターを設定すると、任意の撮影距離の被写体にしかピントが合わないので、AFの中抜けが減り、AFが外れたときのリカバリーも速くなる。ここでは「5.0〜50.0m」に設定し、鳥の姿が小さくなる50m以遠は切り捨てた。なお、レンズにAFリミッターの機能があるときは、レンズの設定が優先される。そのためM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROでは、レンズのリミッターをOFFにする。