1.野鳥撮影に革命をもたらす600mmレンズ
高い光学性能と防塵防滴性能を持つプロフェッショナルレンズシリーズ「M.ZUIKO PRO」の5本目のレンズとして登場した「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」。焦点距離は300mmで、35mm判に換算すると600mm相当の超望遠レンズとなる。開放F値がF4.0と明るい点もうれしい。野鳥撮影では500mm(35mm判換算)以上の焦点距離が必要な場面が多く、「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」は野鳥を撮るOM-D、PENユーザー待望のレンズだと言える。
「M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO」の大きな特徴がレンズに搭載された光学式手ぶれ補正機構。OM-D(E-M1、E-M5 MarkII)とPEN-Fのボディ内5軸手ぶれ補正機構と協調させることで、6段の補正効果が得られる「5軸シンクロ手ぶれ補正」を実現している。
これは手ぶれを防ぐために1/1000秒以上のシャッター速度が必要な長焦点のレンズであっても、「5軸シンクロ手ぶれ補正」を使えば、6段遅い1/15秒でも手ぶれせずに撮れることを意味する。これまでは三脚が必要だった暗い条件でも、「5軸シンクロ手ぶれ補正」を使えば、手持ち撮影しても手ぶれの無いシャープな写真が撮れることになる。
このレンズは「M.ZUIKO PRO」だけあって描写性能に隙が無い。望遠レンズの描写に影響を与える色収差や色にじみを抑えるため、蛍石に近い光学特性(青から赤に至る波長域で屈折率の変化が非常に少ない)を持つ「スーパーEDレンズ」を贅沢に3枚も使い、高い解像力を実現した。この解像力の高さは内蔵EVF(電子ビューファインダー)を覗くだけでも感じられるほどだ。
実際に野鳥を撮ってみると、羽の細部までしっかりと解像し、画面から羽毛の質感が伝わってくるほど。強力な手ぶれ補正もシャープな写りに大きく寄与している。しかも絞り開放から周辺部の光量落ちや画質の低下が見られない。
最短撮影距離は1.4m、レンズ先端から約1.15mまでピントが合う。野鳥を撮る場合、3〜10mの撮影距離が一般的だが、警戒心の薄い個体が突然、接近してくることもあり、最短撮影距離が短いことは非常にありがたい。

OM-D E-M1(HLD-7付き)に装着したM.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

- 絞り値:F7.1
- シャッター速度:1/320秒
- OLYMPUS OM-D E-M1
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
梅の花蜜を吸いにきたメジロ。約3mの距離で捉えた。被写界深度が浅いためにF7.1まで絞ったが、近距離では目にピントを合わせても尾羽はボケてしまっている。

ジョウビタキの顔の部分を拡大。体毛、口もとのヒゲもしっかりと解像し、質感が感じられる。

- 絞り値:F5
- シャッター速度:1/1600秒
- OLYMPUS OM-D E-M1
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
5mほど先の木にとまるジョウビタキのオス。動きまわる小型も鳥も手持ち撮影ならば、素早く捉えることができる。

三脚座が付いた標準スタイル
手が大きい方であれば、左手の手のひらに三脚座を載せ、指先をレンズ前方とフォーカスリングに添えるようにするとしっかりと構えられる。

デコレーションリング使用時
手が小さい方や少しでも機材を軽くしたい方は、三脚座を同梱のデコレーションリングDR-79に交換すると構えやすくなる。重さも約200g軽くできる。
三脚座を外した場合、露出する固定用の突起部を隠すデコレーションリングDR-79を取り付ける。


M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO側面のスイッチ、ボタン類
上からフォーカスリミッタースイッチ、IS(手ぶれ補正)スイッチ、L-Fn(ファンクション)ボタン。フォーカスリミッターはAFが働く焦点域を絞り、AFの効率を上げるためのもの。標準の「1.4m〜∞(無限遠)」、近接撮影のための「1.4〜4m」、遠くの被写体を狙うための「4m〜∞」の3つのポジションがある。
IS(手ぶれ補正)スイッチでISのON/OFFのコントロールを行う。
L-Fn(ファンクション)ボタンには、カメラのカスタムメニューで任意の機能を割り当てることができる。

- 絞り値:F8
- シャッター速度:1/320秒
- OLYMPUS OM-D E-M1
- M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO
突然、足下に飛んで来たスズメ。約1.5mの至近距離だったが、しっかりと撮ることができた。