中野耕志OM-Dと旅する世界の野鳥

OM-Dシステムの機動力を生かして、写真家・中野耕志が世界を旅しながら野鳥撮影を楽しむ本企画「OM-Dと旅する世界の野鳥」。
計4回にわたって作品を紹介してまいります。中野耕志が撮る世界の野鳥をお楽しみください。

第二回 ケニア

湖沼の周りには明るめの森林も広がっており、とくに森林と草地の境界にはじつに多くの野鳥を見ることができる。かねてから撮影したかったのは、ライラックニシブッポウソウである。その名の通り顔から胸にかけてライラック色の羽衣を持つブッポウソウで、とても美しい。見晴らしの良い低木で待ち伏せし、獲物を見つけては地面に降りて採餌していたので、やや離れた場所から300mm F4.0 PROに2倍テレコンMC-20を組み合わせて撮影した。35mm判換算1200mm F8.0相当だが手ブレ補正が強力なので、手持ち撮影で1/15秒というスローシャッターでもブラさず撮影できるという驚きの性能を持つ。もちろんそこまでのスローシャッターだと成功率は高くはないが、数枚に一枚成功するのだから三脚要らずといってもいいだろう。

こちらはセネガルショウビン。一般的なレンズでは2倍テレコンを使うと画質低下が著しいものだが、このMC-20は画質低下が抑えられているのがありがたい。ただ開放F値が2段暗くなるのでシャッター速度を遅くするかISO感度を上げる必要があるので、状況に応じてMC-14とMC-20をうまく使い分けたい。

ロッジのある疎林で探餌していたハグロオナガモズ。右のオスが昆虫を捕らえたあと、左のメスに給餌。肩にかけたカメラを脅かさないようゆっくり向けて静かに撮影した。

後頭部に見事な飾り羽を持つホオジロカンムリヅル。日本でも動物園で見られるが、ケニアではもちろん野生で、動物園で見る個体よりもはるかに美しい姿に魅了された。木陰の薄暗いところにて40-150mmで撮影したが、PROレンズは開放絞りから非常にシャープな描写が得られるので、画質向上のために絞る必要がない。

標高約2,000mの森林で見かけたシロボウシクロキンパラ。林内を歩きながらの野鳥撮影では、三脚は歩行の妨げになるしセッティング中に野鳥が飛び去ってしまうことも多いので、手持ち撮影のほうが快適だ。とまっている野鳥を撮影するときのAFモードはS-AF、AFターゲットモードはスモールターゲットに設定して確実に目にピントを合わせている。AFターゲットが広いと、この写真のように手前に枝が葉があるとAFが引っ張られる可能性があるためだ。