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ライブコンポジット機能で蛍を撮影しよう

清家 道子

撮影・解説 : 清家 道子

2026年5月公開

カメラアイコン 記事内で使用した
レンズをご紹介

はじめに

初夏になると里山の川や森の中で蛍の乱舞が始まります。
被写体の中で最も撮るのが難しいのは蛍かもしれません。私もアマチュアの時代どうやって撮っていいか分からずとても苦労した思い出があります。
まるでクリスマスイルミネーションのような幻想的な蛍の光を撮るにはいつくかのポイントがあります。

撮影の準備編

1. 明るいレンズを使う

できればF2.8以上の明るいレンズを使うと蛍の光も明るくはっきりと撮ることが出来ます。

2. 比較明合成で蛍の光を重ねる

一見たくさん飛んでいるように見えても一枚の写真にしてみると分かりにくいのが蛍の光です。そのため連写してたくさん撮ったものを比較明合成するのが一般的な方法です。
OM SYSTEM のカメラには撮影経過を見ながら、カメラの中で比較明合成ができる「ライブコンポジット」という機能があります。この機能を使うと何枚でもカメラの中で蛍の光を重ねることが出来ますし、たった1つのRAWデータとして仕上げることが出来ます。
(一般的には多くの枚数の蛍の写真をパソコンで比較明合成するとJPGデータになります)

ホタルの撮影でライブコンポジット機能(比較明合成)を使う場合、1コマあたりの露出時間(シャッタースピード)の設定は10秒から30秒程度を目安に、使用するレンズ、撮影場所の明るさやホタルにあわせて都度調整してみましょう。

3. ピントを合わせるときは木など動かないものに合わせる

蛍にピントを合わせようとする人もいらっしゃいますが、風景の中の蛍の光を撮るので全体の構図の中でわかりやすい被写体にピントを合わせておきます。
そのためにやや早い時間帯から場所と構図を決めてピントを合わせておくといいでしょう。

4. 薄暮の時間から撮り始める

やや空の青さが残る薄暮の時間から撮り始めると、全体の風景のイメージが残った状態で写真を撮ることが出来ます。真っ暗になると蛍の光は撮れますが風景が分かりにくくなる場合があります。ただし月明かりがある場合などは遅くなってからでも撮ることが出来ます。

5. 三脚はしっかりしたものを

長時間カメラを動かさずに撮影しますので三脚はしっかりしたものを使います。雲台のネジ、三脚のナットの緩みがないかなどチェックしておきましょう。真っ暗になると自分の三脚がどこにあるか分からなくなるので蛍光テープを貼っておきます。

6. 撮影がスタートしたらLED照明などを点けない

蛍の撮影で同じ場所に他のカメラマンがいることもあります。照明は周りの迷惑になりますので撮影が始まったら照明やライトは点けないようにしましょう。背面液晶モニターも暗くなるととても眩しくなるため裏返しておきます。画像チェックはファインダーだけで行います。状況によってはファイダーの窓の光も気になる場合がありますので黒っぽいタオルなどを準備しておいてカメラにかけて撮影します。

※ヒメボタルの場合は光を嫌う習性があります。しっかりと準備をして撮影を行いましょう

ライブコンポジット設定

① モードダイヤルを回して、撮影モードをBにします。

② リアダイヤルを回して、画面左下の表記が「LiveComp」になるように設定します。

③ MENUボタンを押して、1コマの露出時間を設定します。

④ 撮影準備としてシャッターボタンを一度押します。
「コンポジット撮影できます」と表示されたら、準備完了です。

⑤ シャッターボタンを押して撮影を開始します。
撮影を開始すると、経過時間、1コマ露出時間x撮影コマ数、設定した1コマの露出時間毎に撮影状況が表示されます。

⑥ 撮影状況を見ながら、仕上がったと思ったタイミングでシャッターボタンを押して撮影を終了します。

動画で確認する

OM-5 Mark II 焚火撮影(ライブコンポジット設定)

実践編

それでは実際に撮影したものを振り返ってみましょう。

1. 里山のゲンジボタルは川の流れのように撮る

ゲンジボタルはヒメボタル(姫蛍)に比べて光が強く、活動する時期も長いので撮りやすいです。里山の横に流れる川などに飛んでいることが多く、地域によっては川の水がきれいになり、年々蛍の数も増えている印象があります。ここでは畦道にピントを合わせてライブコンポジット機能で重ねて撮影しました。レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROを使用。とても明るいレンズなので蛍撮影にはよく使うレンズです。蛍の光が川のように流れているイメージで撮影しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*, Mモード, 25秒, F1.2, ISO 800
ライブコンポジット撮影

2. 北極星を探してホタルと絡めて撮る

こちらもゲンジボタルです。背後には月がありやや明るい星空です。北極星がちょうど正面にあったので光の光跡と蛍を一緒に撮ってみました。
月明かりがあると空が真っ暗にならないのでこのような撮影はやりやすくなります。M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROの広角端(35mm判換算24mm)なのでやや広めの空と蛍の乱舞を組み合わせることが出来ました。ライブコンポジット機能は背面モニター以外にファインダーでも合成具合の進捗を確認しながら撮ることができるのでとても便利です。そろそろこのくらいにしようかな、と判断して撮影を中止しました。星の光跡との動きと一緒にうごめく蛍の光は夜の命を感じさせられます。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
24mm相当*, Mモード, 30秒, F2.8, ISO 1250
ライブコンポジット撮影

3. 小さな渓流とホタル

蛍の撮影で大事なのはピントの位置です。広い風景の場合は、ある程度全体に合っていれば問題ありませんが、このように寄った風景の場合は、どこに合わせるかが、とても重要になります。このときは小さな流れを見つけ、川の流れの中にカワニナがいたので「ここに出るはず」と予測を立てて準備しました。(蛍を撮るときは有名な場所でも良いのですが蛍の習性を理解しておくと自分だけの蛍の写真を撮ることもできますね)
ピントは岩の上のシダに合わせています。ただし風がある場合などは、風で揺れるので適していない場所です。ここは森の中で比較的早い時間に暗くなるので、薄暮の時間になると早めに撮影をスタートさせました。ゲンジボタルの数はそれほど多くはありませんでしたが、小さな渓谷にそっと光を添えるように乱舞する姿に趣を感じました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
24mm相当*, Mモード, 20秒, F2.8, ISO 1250
ライブコンポジット撮影

4. フィッシュアイを使って夜空を大胆に入れる

蛍の撮影ではレンズを変えてみるとまた違った雰囲気を表現することが出来ます。ここではM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROを使用し、夜空を思い切り大胆に配置し、水の張られた田んぼ、空をめぐる光跡、そして右手には蛍の流れです。撮影中に数匹の蛍がこちらの様子を伺いに飛んできてくれたのがラッキーでした。月のない日は広角レンズで思い切り空を絡めると一味違った蛍写真になりますね。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当*, Mモード, 30秒, F1.8, ISO 1000
ライブコンポジット撮影

ヒメボタルについて

蛍の種類の中で最も撮影が難しいのがヒメボタルです。ゲンジボタルに比べると遥かに光が弱く、飛ぶ期間も短く予測が難しいです。でもヒメホテルの乱舞に出会えるとその美しさに感動します。まるで魔法のように竹林を光らせ、夢のような光景を見ることが出来ます。ただ写真に撮るのは本当に難しく、なかなか納得できるものが撮れるようになるには何度か経験が必要かもしれません。ただ撮れた時の感動はひとしおです。ぜひ今年はヒメボタルに挑戦してみましょう。

5. 最も難しいヒメボタルは明るいレンズをチョイスする

ヒメボタルの光はとても弱いのでM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROが一番明るくておすすめです。ここでは手前の竹にピントを合わせています。この日は風がなかったので、葉っぱが揺れずに撮影することが出来ました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*, Mモード, 25秒, F1.2, ISO 800
ライブコンポジット撮影

6. カメラポジションを変える

蛍を撮るときはアイレベル(三脚を立てて自分の目線で撮る)で撮ることが多いのですが、三脚を短くしカメラポジションを低くしても違う印象の蛍を撮ることが出来ます。ある程度撮影が終わったら普段撮ることのない高さで撮ってみると発見があります。ぜひ試してみてくださいね。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*, Mモード, 30秒, F1.2, ISO 1250
ライブコンポジット撮影

さいごに

いかがでしたか?
撮影方法やレンズ選びの他に、撮影マナーの大切さも理解できたかと思います。

ヒメボタルの場合、撮影地のほとんどは有名地、もしくは他のカメラマンが多い場所なので、照明を絶対に点けないなどのマナーが必要になります。またヒメボタルも繊細などで光があると逃げる習性があります。ライトは点けない。背面のモニターは裏にしておく。そして場合によってはファインダーの光さえも眩しくなることがあるためカメラに掛ける布があれば安心です。三脚がどこにあるか分からなくなるほど暗い場所が多いので三脚には蛍光テープを貼っておきましょう。早めに帰る場合は周りの人に声をかけて迷惑にならないように帰ることも大事です。
皆さまもぜひ撮影マナーを守って、美しく幻想的なホタルたちの光跡撮影に挑戦してみましょう。

*35mm判換算値

清家 道子

清家 道子

福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。主なフィールドは九州の渓谷、森、久住周辺の山など。企業カレンダーを手がける他 新聞、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。
2020年よりYouTube 清家道子チャンネルで風景写真、風景動画などを配信中。
αアカデミー講師 OMゼミ講師。

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