Photo Recipe(フォトレシピ)
『多重露出』で旅の思い出を幻想的な作品に
撮影・解説 : 写真家 市ノ川 倫子
Instagram : @tomocco.12
2026年3月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
はじめに
普段お使いのOM SYSTEMのカメラを使って、カメラの中で写真を重ねて作品を作る「多重露出」で世界を表現してみませんか。多重露出は多重露光ともいわれ、フィルムカメラの時代からある表現方法の一つです。写真を重ねることで1枚の写真で表現するのとはまた違う、新しい世界が現れます。今回は旅先で切り取った風景を重ねて、思い出をより幻想的な世界観で表現してみましょう。
多重露出の撮影方法
OM SYSTEMのカメラでの多重露出の機能は3つあります。1つは撮影時の多重露出、そして2つ目は再生時の画像合成、3つ目のCPボタンを使用した多重露出の撮影方法はOM-3やOM-5 Mark II等に搭載されている機能です。お持ちのカメラの機種を確認しながら、お好みの方法で撮影してみてください。
撮影時の多重露出
MENU画面から多重露出(新旧メニュー共に、カメラ2のマークから選択可能です。)
※設定が分からない場合は、取扱説明書から「多重露出」で検索


再生画像から多重露出
① MENUの多重露出撮影から、再生画+多重を選択、使用する画像を選択します。 ※RAW画像のみ選択可能です。
ここでは例として、カラスの写真を選択します

2枚目の写真として、青空を組み合わせてみます。カメラの液晶やファインダー上には、青空を背景に①で選択したカラスのシュルエットが同時に映ります。この時、カメラの向きを変える、ズームレンズで画角を調整するなどして、カラスの輪郭にあわせて雲の形などを調整する事も可能です。

撮影を行うと2枚の写真が合成され、青空とカラスの写真が出来上がります。

CPボタンからの呼び出し

OM SYSTEM OM-3 多重露出撮影
写真を組み合わせてみよう
1枚1枚は現実を映しているのに、重ね合わせることで非現実の世界が浮かび上がってきます。今回の作品はフランス、パリの街並みをテーマに、1つの作品に3枚の写真を合成しています。どんな写真を合成したのかも想像しながら、本記事を読んで頂けると嬉しいです。
旅先で見る風景は普段日常で見ているものと違い、どこを切り取っても新鮮です。ヨーロッパの街並み、おしゃれなカフェの店内、クラシカルなホテルの内観など・・・重ね合わせることで奥行きのある表現が生まれます。撮影の際はお店のスタッフの方に撮影していいか一言聞くのを忘れずに。店内の他のお客様への配慮も大切です。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
多重露出(3コマ)
彫刻やモニュメントなど、その国ならではの出会いからイメージを膨らませて。アートフィルターのドラマティックトーン、モノクロやセピアで色味を押さえて撮影してみると、より想像力をわきたてる一枚に仕上がります。
騎馬像を主役にし、戦いの前の少し不穏な空気も感じさせる、ミステリアスで力強さのある作品に。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
多重露出(3コマ)
アーチ型の建物、造形が印象的なロートアイアンなど、その国ならではの目に留まったものを組み合わせて。アートフィルターはヴィンテージを選択、人のシルエットが入ると印象が強まります。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
多重露出(3コマ)
旅先で出会った人や素敵なレストランのロケーションを重ね合わせて淡いトーンでまとめ、記憶が儚く薄れゆく中でも留めおきたい大切な思いを残しました。
一緒に行った方や旅先で出会った方などが入るとその時の空気感も見る度に蘇ってくるようです。
見知らぬ方を撮影したい場合は、事前に撮らせていただけるかのお声がけが大切。特に海外では、黙ってカメラを向けるとマナー違反になることもあります。
そっと撮らせていただいた写真がとても素敵でSNS等に使用したい場合も、ご本人に使用しても大丈夫か聞いてみましょう。
コミュニケーションを取ることで、お互い気持ちよくいられます。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
多重露出(3コマ)
少しアウトフォーカスなものと組み合わせてみたりしても。多重露出で重ねれば重ねるほど、境界線があいまいになっていくのは時間の流れが一枚に凝縮されているかのようです。縦・横も自由に組み合わせて。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
多重露出(3コマ)
漆黒の夜空に浮かび上がる、ライトアップされたエッフェル塔の息をのむような美しさに見とれてシャッターを切りました。
教会で出会った、荘厳なステンドグラス越しに届く輝きを重ね、心に残った光を掛け合わせることで自分の中に浮かび上がってきたパリの夜の静謐さと美しさを心象風景のように描きました。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
多重露出(3コマ)
おわりに
旅先で出会うものは新鮮で、普段より多くのものに目が向き、興味がわき、シャッターを切る機会が増えると思います。同じ場所に行ってもそこで見たもの・感じたものはあなただけの世界です。その世界を表現する手段として、多重露出を使った描き方を紹介しました。旅の思い出を、あなたらしい一枚の世界に閉じ込めて。
市ノ川 倫子
2013年より写真を撮り始める。どこかで見たことのある遠い記憶、子供の頃の空想や絵本のページの中の世界など、心の中を写真で映し出すように作品を制作している。主な個展、"Even if the sky cracks and lies drop”(2024年、Sony Imaging Gallery)、「遠い聲」(2024年、金柑画廊、目黒)、“blurs.”(2022年、金柑画廊、目黒)、“JARDIN”(2021年、ナインギャラリー、外苑前)、“PRESAGE”(2020年、ギャラリー子の星、代官山)、「しのぶれど」(2020年、OM SYSTEM PLAZA[旧オリンパスプラザ東京]、新宿)等。
Instagram : @tomocco.12