Photo Recipe(フォトレシピ)
一枚の傑作写真を撮影するために
撮影・解説 : 写真家 佐藤 圭
2026年1月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
はじめに
私が暮らす北海道留萌地方は、北海道有数の豪雪地帯で、厳冬期は越冬する小鳥の飛来は少ない。餌となる植物の種子などが雪の下に埋もれてしまうため、雪の少ない地域に飛来するためだろう。
なので私は小鳥を探しに道南や道東へ探鳥に向かう。雪が少ないので車の移動も楽だ。
海岸に自生する野草の種子や、海に打ちあがる種子などを食べながら移動しているため、海岸に小鳥の群れが飛んでいないかを、くまなく探すのだ。
ハギマシコについて
今回は、赤紫のお腹が美しいハギマシコをテーマに、その傑作写真を撮影するまでの撮影プロセスについて語って行こう。
彼らは、海から打ちあがる植物の種子や、海岸に自生する野草の種子を求め飛来している。そのため、食べ物を探し砂浜を何キロも移動する。
それについていかなくてはならないため、超望遠でありながら手持ちで撮影が出来て、小型軽量のOM SYSTEMのカメラやレンズ達が欠かせないのだ。重たい三脚を何時間も抱えて砂浜を歩き回るのは現実的ではない。

まずは観察から始めてみよう
ハギマシコは群れで行動し、時に数百羽もの大群で行動する。
群れになることで、タカやハヤブサなどの天敵の襲来をいち早く気が付くことができる。砂浜に、数百羽の群れで集まっていることもあるが作品にするのは、なかなか難しい。まずは離れた場所から観察を始めてみよう。
狐の足跡の中で食事をするハギマシコ。数が多すぎて、どの子を主役にするべきか迷った時にはシンプルな情景にいる一羽を探してみよう。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*, Aモード, 1/5000秒, F5.6, ISO 1000
砂浜で食べ物を咥えている。海から流れ着いた種子などを食べている。砂浜に打ちあがった海藻や枝などを上手くボカすことにより、主役が浮きたつ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/2500秒, F5.6, ISO 1000
真っ白な雪原に降り立った。
雪が少ない地域では、美しい雪原を見つけるのが難しい。あらかじめ綺麗な雪原を見つけておき、野鳥を探すときに綺麗な雪原を踏まないように気を付けよう。足跡のせいで画にならない場合があるからだ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/1000秒, F5.6, ISO 400
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/1000秒, F5.6, ISO 400
数百羽のハギマシコの群れに混ざって行動していたユキホオジロ。
この時は、2羽いた。嬉しい誤算だ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/4000秒, F5.6, ISO 1000
砂浜に打ちあがるジェリーアイス
美しいジュエリーアイスと呼ばれる氷が砂浜に打ちあがった。しかし残念ながら、ハギマシコたちは綺麗な氷の場所には、なかなか行かない。なぜなら、綺麗な氷だけが打ちあがった場所には、食べ物が打ちあがっていない場合が多いからだ。枝や、海藻などが沢山打ちあがった場所に食べ物がある。氷が打ちあがるタイミング、ハギマシコの動き、太陽の位置、風向きなど変化する条件の中で、自分がどんな写真を撮りたいのかイメージしてみよう。
新しい氷が打ちあがった。その付近を飛翔するので、上手く氷と絡めて狙ってみた。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*, Aモード, 1/4000秒, F4.5, ISO 800
通過する群れ。曇りのため、氷の輝きや光り方が少し物足りない。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/640秒, F5.6, ISO 400
氷の隙間にある種子などを探しに来た。透明度が高い氷だ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/1600秒, F5.6, ISO 800
OM SYSTEMの野鳥撮影といえば、プロキャプチャーモード。
シャッターを反押し状態で待機し、飛び立ったのを確認しシャッターを押すと、飛び立つ前から遡って記録してくれるという機能で、ハギマシコの飛び立ちを狙った。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*, Aモード, 1/2500秒, F4.5, ISO 400
一枚の傑作写真を撮影するために
観察を続けていると、飛ぶ方向や、止まる植物なども分かって来る。風向きなども関係してくるので、フィールドの状況を常に感じてほしい。
曇りから晴れになり、海岸の氷が光を浴び輝き出した。
それを背景に、玉ボケを狙った。逆光の条件だったが、ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROの光学性能のおかげか、ゴーストフレアが出ない。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
700mm相当*, Aモード, 1/10000秒, F5.6, ISO 1000
『宝探し』
ハギマシコが餌を探す、傑作写真を狙う私、背後には輝く氷の宝石。
それぞれの宝が詰まった一枚となった。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*, Aモード, 1/5000秒, F5.6, ISO 1000
このように、一枚の傑作写真を撮影するために、何度も失敗や、試行錯誤を繰り返し作り上げるのだ。特に野鳥は難しい被写体なので、何度も挑戦し、自分なりのオリジナリティ溢れる作品を作って欲しい。
最後に
撮影に集中するあまり、野鳥にストレスをかけていないかどうかは常に心がけたい。
ハギマシコを追いかけすぎると逃げてしまうし、警戒させると、どんどん離れて行ってしまう。自分も小鳥や植物になったような気持ちで自然に溶け込んでみよう。
狐や鷹のようなハンターになったような気持ちで撮影すると、その意図は間違いなく小鳥たちに伝わります。野鳥ファーストを忘れずに。
*35mm判換算値
佐藤 圭
1979年、北海道留萌市出身
動物写真家/SLASH写真事務所代表
北海道の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌などに写真を提供している
アルパインブランドMILLETアドバイザー
2022年 世界の果てまでイッテQ!(日本テレビ)出演
2023年 嗚呼!!!みんなの動物園(日本テレビ)出演
著書
『山の園芸屋さん エゾシマリス』(文一総合出版)
『佐藤圭写真集 秘密の絶景in北海道』(講談社)
『鳴き声できずなを結ぶ エゾナキウサギ』(文一総合出版)


