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冬。光と影の物語。

写真家 林 幸恵

撮影・解説 : 写真家 林 幸恵

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instagram:@yukiehayashiphotography
Facebook:Yukie Hayashi photography

2026年1月公開

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レンズをご紹介

はじめに

短かった秋から冬の足音を感じるようになり、これから冷え込みが増していきます。
冬ならではの天候や気温の低下での撮影は様々な地域性もあいまって冴え冴えした凍てる風景だけではなく、この季節ならではの光と影が織りなす美しい風景に出逢います。

冬の光と影の物語 を楽しみましょう。

撮影の注意点

防寒対策

  1. 自身の対策

    指先が冷えるとカメラ操作がしづらくなるので、手袋はもちろん手のひらに小さなカイロを持って時々握ったり温めるなど指先対策をします。
    靴も冬のボアブーツなどを履いたり中敷きやカイロなどを活用し、冷えて足の動きが悪くならないようにします。
    滑りやすい雪道・凍てた場所などは軽アイゼン等もあると安全です。
    雪の反射は瞳によくありませんので、サングラス(UV)を活用すると良いです。
    濃い色のサングラスは実際の色がわかりづらいので、購入の際は気を付けましょう。

  2. 機材の防寒対策

    夜明けの撮影待ちの時間などはカメラに厚めのカバーなどかけておくと良いです。
    電池の予備は、上着のポケットに入れるなど冷えないように保護対策をして持ち歩きます。
    三脚は濡れたまま収納すると凍って伸縮出来なくなるので、その都度水分が付いたら乾拭きするようにします。
    カメラ・レンズが曇らないように、寒い処から車など暖かい処に戻す場合は、そのまま戻さずカメラケースなど何かにくるんで徐々に室温に慣れさせます。

冬の作品表現

特に雪や霧氷の晴天日陰は青っぽく写るので、自分がどのようなイメージで表現したいか(冷たさ・厳しさ、逆に寒さの中のぬくもりなど)イメージを持つようにしてホワイトバランス・露出補正などで調整します。冬風景の冷たさや質感の冴え冴えした美しさは、カリッとしたシャープなピントが欲しいものです。絞りは絞り込むようにし、光と影やPL(偏光)フィルターも活用しコントラストを意識しメリハリのある作品表現をしてみましょう。
やさしさやぬくもり、明るさを感じる冬風景は、色彩やボケを意識し露出や絞りなどを調整してみましょう。

霜・霧氷

近くに川や池・湖など湿った大気や霧・雨上がり、などの湿度がある条件で、気温が急激に低くなると草むらや樹々が凍り付くのが霜・霧氷です。そのような条件になりやすい場所(特に高地・寒冷地・開けた場所・盆地など)を日ごろから探しておくと良いです。天候や気温などから予測も出来て何度か通えば、よりよいタイミングで作品づくりが出来ます。
特に朝夕の僅かな時間、逆光で狙うとプリズム効果(虹色)が出る場合があります。

  1. 草花の場合・・・真上から作画する場合は平均的に美しく霜・霧氷が付き、ポイントとなる部分の形状が美しい部分にピントを置きます。冷たさやカリッとした質感描写をするために、絞り込みます。
    横から作画する場合は、背景が煩雑にならないような場所で、ポイントとなる部分の形状が美しい部分にピントを置き、絞りは開放近くにします。
    また開放近い絞り設定での深度合成を使用して背景をすっきり見せるのも良いです。

  2. 樹々の場合・・・日の出と共に短時間で溶け舞い上がったりしてしまうので、事前に樹の並びの良い場所を選んでおきます。また日が昇ってから最初に光が当たる場所などを認識しておくと、何ヵ所か撮影できる確率が上がります。太陽光が当たってきて逆光の場合、キラキラ舞っていくので、早いシャッター速度での明るく神秘的な作品づくりが可能です。
    PL【偏光】フィルターを使用し、青空と霧氷を対比させるのも美しいです。

エレガント

霜が付いていなければ、何気なく通り過ぎる草むらも霜が降りたら宝石のように輝く美しい草むら。気温が上がり、太陽の光が射せば宝石の魔法がとけていきます。この作品の大きな葉っぱはスカンポ。白い小花に見えるのはヤエムグラ。霜の質感を損ねないようなカリッとした露出。そして絞り値は絞り込みます。葉脈が美しい模様を描き出し、小花模様との対比がおもしろいです。どちらも葉っぱ。形も模様も違った植物の存在に改めて気付く瞬間でもあります。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*, Aモード, 1/5秒, F22, ISO 200

シックな装い

この作品は倒れた葉牡丹を横から見たものです。一般的にはバラに似た葉っぱの上部を愛でるものです。ウロコのように見える葉に霜が付いておりレースのようで、葉脈のくすんだ赤紫色が差し色となってシックに魅せたくて、露出をコントロールしています。霜の質感を出すためと葉脈以外の色を抑えめに露出はアンダーに。そして造形美を意識した見せたい部分のみのフレーミングを心がけました。この時期切り取りや冬ならではの気象条件で何気なく見ているものが美しく変化する自然の素晴らしさを是非発見し切り取っていただきたいです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*, Aモード, 1/6秒, F22, ISO 250

足元の小さな水たまりから、田園・湖面・渓流や北海道など大海原の流氷と多様な被写体があり、撮影者の発想やイメージでも多様な表現がなされるのが氷です。マクロから望遠まで、ロングで迫力ある切り取りをしたり、クローズアップで凍てついた氷の造形美を表現出来ます。
氷も厚みがあるので、真上からでも開放では撮らず冷たさや凍てた美しさを表現したいのでカリッとしたピントで絞り込むようにします。
斜めからでも同様で絞り込むか深度合成などカメラ機能も使用してみます。氷に凹凸がある場合で早朝・夕方の斜めの光が氷に当たっているなら、アンダーめだと氷の盛り上がった部分の模様と盛り上がっていない部分がコントラストになり際立ちます。
PL(偏向)フィルターを使用し色や雰囲気を確認します。
特に朝夕の僅かな時間、逆光で狙うと角度によりプリズム効果(虹色)が出る場合があります。

幾何学模様

氷の不思議。この氷は黒いキャンバスを鋭利なナイフで切りつけたような模様。朝の光が盛り上がった模様に当たりました。露出をアンダーにすると光があたった部分が強調されます。氷と光の芸術。絵画を見ている時間です。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
170mm相当*, Aモード, 1/250秒, F16, ISO 250

こちらは氷による光の反射を、タイムラプスで撮影したものです。

川の流れのように

氷の創り出す模様を見ていると色や形・光や陰などの要素で様々なものに見えてきます。この作品は、幾重ものウエーブから川の流れを連想しました。氷ほど撮影者のイメージで多様な表現方法で表現される被写体はありません。この時晴天日陰で適正露出ではもう少し青っぽかったものを明るめに。太めの線が白くなり、波の光のように見えます。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*, Aモード, 1/1.6秒, F16, ISO 250

光と風

この作品は大きな湖面でも氷は張った氷でその一部分を切り取った作品です。張り切れなかった湖面に光と風がささやき、眩い輝きになった瞬間です。露出はアンダーめに。氷が重なる縁の薄い部分は白くなります。作品の手前の白い線は上下が重なった薄い氷の部分で美しい線を描いています。氷の厚い部分は灰色に。PL(偏光フィルター)を効かせれば水面は黒く落ち明暗さが生まれました。昼間の時間帯でも露出を変えるだけで月夜の風景にも見えるのです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
300mm相当*, Aモード, 1/500秒, F16, ISO 320

光のカーテン

冬の日本海側の天候は、すっきりした青空は稀。雲が多く時雨れることもしばしばです。
その冬の天候で素敵な現象が、こうした光のカーテン、とか天使の梯子と呼ばれる刻々と変化する光のショータイムです。上部の曇天のグレーでメリハリと冬の日本海の重々しさを表現すると共に、天上から降り注いでいる光を表現しています。大きな船の手前の小舟に小さく見える人影もポイントになっております。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROMC-20
160mm相当*, Aモード, 1/1250秒, F8.0, ISO 800

海辺の蝶

OM SYSTEMの広角レンズは寄れに寄れるレンズとして重宝しています。 広角マクロ撮影での波打ち際の朝。最短撮影距離が20cmの12-40mmのPROレンズで、魅せたい貝殻の影と背景に朝の海辺に入る光をいれての作画です。手前の朝の光に輝く砂浜の波の跡と背景の波のボケた風景も対比させています。広角マクロでの表現は背景を生かした作品づくりにもってこいです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
24mm相当*, Aモード, 1/1250秒, F2.8, ISO 500

光の道

日の出が遅くなる冬になると海辺の鳥撮影に出かけます。この日はユリカモメが一羽朝ごはんを探して時折砂浜をついばみながら砂浜を歩いていました。鳥撮影はやはり望遠レンズ。近寄りすぎて逃げられないよう、40-150mmのPROレンズにMC-20を装着して手持ちでも持ち続けていられるように軽量に。ユリカモメと光の道が重なればドラマチックな背景になるので重なる処まで静かに歩いて狙います。ブレないよう感度も上げて撮影しています。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROMC-20
360mm相当*, Aモード, 1/3200秒, F5.6, ISO 800

砂浜を歩くユリカモメの様子。動画でも記録しておくと、喜びもひとしおですね。

白鳥

冬の水辺などでの白鳥の作品づくりは、望遠レンズの圧縮効果やボケ味を利用します。シルエットでの表現は表情や形を想像する・魅せるなどおもしろさがあると作品を深く楽しめます。また冬のキラメキ感もプラスされるとワクワク感も感じられます。やさしさやぬくもりを感じられる色彩は明るめにイメージすると良いです。被写体となる鳥たちの仕草も大切で、白鳥たちを良く観察することで、情感を感じられる作品となります。

視点

大丈夫。彼らは白鳥を捕まえる為に近づいているわけではありません…という小さな網を手に持っている人間たちの背景…私の妄想視点です。さてさて妄想は広がります。
真中のカワウは「なんだなんだ!えっなんか人間が近づいてくるよ!」と子供から大人まで様々な妄想が浮かびそうな一コマです。望遠レンズの圧縮効果で人と鳥たちの距離が縮まり、シルエットになった人・鳥ポイントたちの仕草から想像が膨らみます。撮る側と使う機材で独自性と多様な表現が生まれおもしろくなるのです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROMC-20
600mm相当*, Aモード, 1/100秒, F18, ISO 250

やさしい時間

夕暮れの光の美しさは特に白が青に染まっていく様に不思議を覚えます。この原稿を書いていて、白鳥の白と雪の白が似ていることに気がつきました。太陽光で撮影すると晴天日陰は青色に見えるのです。光の波長によって色彩に変化をもたらすことは知っていても、白い生きものも染まるのだ、と今更ながら不思議です。この美しい色彩の魔法は光と影の魔法でもあるのです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
146mm相当*, Aモード, 1/160秒, F2.8, ISO 800

氷柱

水の変幻

渓流での水しぶきが長い時間かけて創り上げた氷柱です。このような場合は凍てついて冴え冴えした美しさを表現したいので、絞り値は絞り込みカリッとシャープに魅せます。 絞りを絞り込むとシャッター速度が遅くなり流れがふわっと、もやっとして氷柱との質感との対比となります。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
240mm相当*, Aモード, 5秒, F16, ISO 250

霧氷

冬化粧

厳冬期の山間部で、目線の常緑樹に出逢うことは少ない。そんな中美しく霧氷の付いた樹を見かけて、40-150mmのPROレンズのF値開放のボケ効果で、前景と背景がやわらかくボケて太陽の光のやさしさを表現することが出来ました。冬季でやさしい光を表現するときは、気持ち明るめの補正で霧氷全体が白飛びすぎないようわずかな質感を残すようにします

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
180mm相当*, Aモード, 1/500秒, F2.8, ISO 200

美しく映える冬

霧氷の付いた雑木に朝一番の光が当たった瞬間です。
手前・真ん中・奥と三段に分かれた色彩を楽しめる作品で、奥の影部分のカラマツ模様が真ん中の樹々を引き立ててくれています。季節により日の出の位置は異なるので、何処から光が当たり始めるかを観察し、それに備えることは大切です。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
200mm相当*, Aモード, 1/50秒, F11, ISO 400

おしゃべりな光

キラキラと背景の丸ボケが虹色(プリズム)になり美しい瞬間。前景の樹々や植物は煩雑でないものを選び、前景から背景が多少離れているとすっきりした印象で表現出来ます。 絞り開放だと丸ボケは少なめ、少し絞ると丸ボケは多少増えるので、背景が煩雑にならない程度に絞りを調整します。虹色効果で夢色の世界を感じられます。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-600mm F5.0-6.3 IS
300mm相当*, Aモード, 1/1250秒, F5.6, ISO 640

キラキラと移り変わっていく背景を動画で残すのも楽しいですね。

雪の白い露出は、+1~1.5くらいを基準として撮影していますが、雪風景の厳しさや冷たさなどの情感を表現したい場合は、少しアンダー露出にわずかに青っぽい仕上がりに表現することもあります。また基準の露出から少しオーバー目の露出やボケ気味の背景はやさしさやぬくもりなどの情感を表現します。雪を被写体とした作品表現では特に露出のコントロールが作品表現に大きな違いをもたらします。

幽閉の渓

この雪深い冬の渓谷は比喩的に人を拒んで心を閉ざしているように見えました。PL(偏光)フィルターでささやかな木々の影を残し川面を暗く落として自身が感じたイメージを表現した作品です。白と黒の世界。明るい雪の白と川面の黒の対比も美しいです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
40mm相当*, Mモード, 1/13秒, F11, ISO 400

追想の孤独

川近くの雪原。早朝の気温の上昇で、辺りは濃霧。濃霧は青々と葉を茂らせ緑の草原であった季節の記憶。その濃霧(記憶)が少しずつ薄くなり、樹の様子が確認出来た処での作品です。山並みを入れて稜線ギリギリのフレーミングにより広がりを持たせ、ポツンとある樹を右に配置し左に空間を作り樹の孤独感を表現しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
80mm相当*, Aモード, 1/80秒, F11, ISO 320

終わりに

OM SYSTEMの機材は寒さには強いので動作の心配はほぼ感じられません。
冬の撮影は人間の身体、特に指先の冷えでのこわばり、ボタン・ダイヤル操作・レンズ交換がしづらくなることが多々あります。また足元も重要で、寒い時期は動作も硬くなりがちです。雪道・凍てた撮影地ではケガのないように、海辺で強風の際の砂には注意し、撮影しましょう。

*35mm判換算値

林 幸恵

林 幸恵

三重県生まれ 関西で写真教室・セミナーを開催。
写真誌・雑誌等へ寄稿、カメラメーカーでの講演・撮影会を行っている。
自然が魅せる色彩の美しさ・大切さを写真で表現することが、自分が生きていく上のテーマとなる。

写真展
2007年「夢色の世界」富士フイルムフォトサロン
2016年「とっておきの時間」富士フイルムフォトサロン

写真集
2007年「夢色の世界」(風景写真出版)
2016年「のはら」 (風景写真出版)

活動
2007年よりフリーとして活動を開始

写真教室フォトスクールとっておき!を写真家米谷昌浩氏と共同主宰 のはらくらぶ主宰
カメラメーカー講師

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