Photo Recipe(フォトレシピ)

旅行で活躍!私の夏色スナップ

撮影・解説 : 写真家 クキモト ノリコ
2025年7月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
はじめに
今年の夏、みなさんはどこかへ撮影旅⾏へ⾏く予定はありますか?
最近の夏は暑過ぎてそもそも出かけることを躊躇ってしまうかもしれませんが、それでもやはり夏ならではの写真撮影を楽しみたい⽅も多いはず。今回は、夏に役⽴つOM SYSTEM のカメラの機能や設定をご紹介します。
夏の⾊の仕上がり設定
夏のイメージも「強い光と鮮やかな⾊」や「⼣暮れのやわらかな光と⾊」など様々な顔があります。そんなイメージを表現する際に、OM-3やPEN E-P7などに搭載されている「カラープロファイルコントロール」機能がおすすめです。カメラ前面にあるダイヤル1つで、さっと変更する事ができますよ。
バスを降りてふと⾒上げた先に⼤好きなお花、プルメリアが咲いていました。快晴の⻘空とピンクのプルメリア、そしてバス停の屋根も含めたグリーンは、まさに⻘く抜けた空と強い⽇差し、鮮やかな緑とお花のイメージにピッタリ!これらを鮮やかに表現するため、カラープロファイルのプリセット3(COLOR 3)を選びました。12色の彩度を全体的に高くしているのもポイントです。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
24mm相当*
Aモード 1/640秒 F5.6 ISO 200
カラープロファイルコントロール(COLOR 3)
朝、外に出ると夜半の⾬が残っていたのか、プルメリアに雫が乗っていました。しっとり、少し深みのある⾊に仕上げたかったので、カラープロファイルのプリセット2(COLOR 2)を選択。この時のレンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0PRO でしたが、このレンズは望遠側でも最短撮影距離が(センサー面から)23cmと被写体にかなり寄れるため、脇役を背景に入れて、主役のお花を画⾯に⼤きく捉えるとともに、雫にピントを合わせることができました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
90mm相当*
Aモード 1/500秒 F4.0 ISO 400
カラープロファイルコントロール(COLOR 2)
写真の作品性を高めるために欠かせない色作り。カラープロファイルコントロール機能を使えば、12色の彩度やシェーディング、ハイライト&シャドウを細かく調整して、狙った色合いの作品を作り上げることが可能です。
少し設定が難しいかも…という方も安心。カラープロファイルコントロールには4つのプリセットが搭載されています。それぞれのプリセットの選ぶだけでも、フィルム風の色づくりから柔らかい色調まで気軽に楽しめますよ。
ブラウン系でまとめられた少しシャビーな雰囲気の海沿いのレストランは、むしろ彩度を抑えて落ち着いたやわらかな印象にしたくて、カラープロファイルのプリセット4(COLOR 4)で撮影しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
24mm相当*
Aモード 1/640秒 F5.6 ISO 200
カラープロファイルコントロール(COLOR 4)
夏の⼣⽅のビーチを散策中、正⾯から歩いてきたサーファーたちを撮影。細かなディテールが潰れないようにコントラスト低めのモノクロプロファイル4 (MONO 4)を選択しつつ、全体としてざらっとした印象にしたく、粒状フィルム効果を(低)から(中)に変更しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
90mm相当*
Aモード 1/4000秒 F5.6 ISO 640
モノクロプロファイルコントロール(MONO 4)
モノクロプロファイルコントロールにも4つのプリセットが搭載されています。それぞれのプリセットの選びだけでも、フィルムカメラで撮影したような本格的なモノクロ写真に仕上げる事ができます。
⾼台の遊歩道から⾒下ろすと、海⽔浴客で賑わうビーチが眼下に広がっていました。
アートフィルターの「ジオラマ」で撮影することで、本物の⾵景がまるでミニチュアの世界のように。ジオラマは彩度が⾼くなる効果があるためカラフルでポップな印象が強くなり、より⼀層ミニチュア感が強くなりました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
26mm相当*
Aモード 1/1000秒 F9.0 ISO 500
アートフィルター:ジオラマI
瀬⼾内の海に⾯した絶景駅で、声を掛けて後ろ姿を撮らせてもらいました。⻑く伸びる影からわかるように時刻は⼣⽅。瀬⼾内のやさしい海の⾊と傾いた陽射しのオレンジ⾊を感じられるようにアートフィルター「デイドリームII」で仕上げてみました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
38mm相当*
Aモード 1/640秒 F9.0 ISO 640
アートフィルター:デイドリームII
旅におすすめ!⾼倍率ズームと単焦点レンズのコンビ
旅レンズとしておすすめしているセットに「⾼倍率ズーム+単焦点」があります。⾼倍率ズームで広⾓から望遠まで広い画⾓をカバーしつつ、解放F値が暗い点を明るい単焦点レンズでカバーする作戦で、荷物を軽くしたい⽅にオススメです。
夜の町を煌々と照らしながら練り歩く弘前のねぷたを、アートフィルターの「ポップアートⅡ」で撮影。彩度はしっかり上げてねぷたの華やかさを出しつつも暗部は暗く落ちることで、夜の雰囲気と⼈物のシルエットがはっきりと浮かび上がりました。
⾼倍率ズームの望遠域で3台のねぷたをぎゅっと圧縮、F 値が⼤きくシャッター速度が遅くなってブレやすくなることからISO 感度は5000まで上げて撮影しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-200mm F3.5-6.3
200mm相当*
Aモード 1/160秒 F6.2 ISO5000
アートフィルター:ポップアートII
沿道の固定席からの撮影で画⾓が変えられない単焦点レンズは、これ1 本だと写真にバリエーションを持たせにくい点は否めません。⼀⽅で解放F値が⼩さく絞りを⼤きく開くことで暗い中でもシャッター速度を稼ぐことができ、ISO 感度は1250 まで下げることができました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 20mm F1.4 PRO
40mm相当*
Aモード 1/640秒 F1.4 ISO1250
アートフィルター:ポップアートII
⼈物が⼊るスナップ撮影において何かと気を遣う昨今は、SNSなどネットへの掲載時にはやはり後ろ姿やシルエットなど、個⼈の特定には配慮をすることでトラブルを避けたいところです。⼀⽅で、公の場での⾵景の中に⼈が写り込むことはなんら問題なく、⼈物を⼊れて撮ること⾃体がいけないわけではありません。その匙加減が難しく感じられるかもしれませんが、⼈物が特定できるような場⾯では撮影の前後に声をかけるなど、コミュニケーションを取ることでトラブル回避に繋げたいものです。
夏の強い光と影を味⽅につける
夏の強い陽射しは「THE 夏」のイメージを体現するには⽋かせない要素のひとつです。その⼀⽅、カメラの特性として画⾯内に⼤きな輝度差(明暗差)がある場合、どちらかに露出を合わせるともう⼀⽅が⽩く⾶んでしまったり⿊く潰れたりすることがよくあります。
そんな場⾯で活躍してくれるのが「ライブGND」機能です。搭載されている機種は限られますが、カメラ内にハーフND フィルターの効果が内蔵されており、画⾯内の明るい部分にだけND フィルターを重ねることで明暗差を減少させ、⽩⾶びや⿊つぶれを抑えられる、という優れもの。しかもモニターやファインダー内で効果や境界位置を調整しながら撮影できる、というとても便利な機能です。
OM SYSTEM OM-1 Mark II_ライブ GND(グラデーションND)機能紹介【OM SYSTEM公式】
NDフィルターの濃さをND2/ND4/ND8から選択でき、またND効果のある・なしの境界ラインの強弱も3段階から選べること、しかも明暗差に合わせてフィルターの位置や⾓度をボタンとダイヤルで調整できることから、様々な撮影シーンで活躍してくれます。尚、似た名前の機能として「ライブND」がありますが、こちらは画⾯全体にND効果がかかるということ、また使⽤できる撮影モードがS またはM モードに限定される、という違いがあります。特に後者の点において、この「ライブ GND」はP/A/S/Mすべてのモードで使⽤できるため⾮常に使いやすい機能です。
海辺のカフェでビーチを眺めながらカウンター席でコーヒーブレイク。このような場⾯では背景に露出を合わせると室内部分が真っ暗に……。そこでライブGND の出番、明暗差の境界線がはっきりしているので、境界ラインの強弱はMedium を選択。フィルターの濃さはND4を選択して、室内の影になっている部分の明るさは上げつつ、外の真夏のビーチは明るくなりすぎずに撮影することができました。

左:通常撮影

右:ライブGND撮影
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
24mm相当*
Aモード 1/250秒 F8.0 ISO200
ライブGND(ND04/Medium)
夏にぴったり!OM機ならではの⽔族館撮影
暑い季節はとにかく外での撮影は⾟いもの。そんな時に⾏きたくなるのが⽔族館です。⾝近な⽔族館以外にも、旅先に魅⼒的な⽔族館がある場合や、気象の都合から訪れる機会があるかもしれません。そんな⽔族館での撮影時にぜひ思い出していただきたいOM SYSTEM機ならでは!の機能が「カラークリエイター」です。
カラークリエーターは、写真全体の色味を変える機能で、先ほど説明したカラープロファイルコントロール機能よりも、色味の効果がより顕著になります。
まず暗い上に被写体が動くという点で撮影が難しい⽔族館ですが、それ以外にも⽔中であることと照明の影響でホワイトバランスが合わせにくい、ということを経験されたことのある⽅も多いはず。そんな時にモニターやファインダーで⾊を確認しながらカラークリエイターの設定を変えてみることで、⾒た⽬やイメージなど思い描く⾊の表現が可能となります。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
50mm相当*
Aモード 1/250秒 F1.8 ISO800
カラークリエーター

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II
50mm相当*
Aモード 1/250秒 F1.8 ISO800
カラークリエーター
AI被写体認識AF
シドニー北部にある隠れ家的なビーチはこの⽇、かなりの⾼波でビーチの端にあるロックプールへ濡れずに⾏くことは不可能、地元の⼈も暫く様⼦⾒をするほどでした。⼀⽅でそんなことは気にせず⾶び回るカモメたちを撮影。⾶び⽴つ瞬間から逃さず撮影するためにプロキャプチャーモードを使うとともにAI被写体認識AF(⿃)がカモメにピントを合わせてくれました。荒々しくも綺麗な海とプールの⾊、そして海岸の地形に⽩いカモメたちのコントラストをしっかり出すため、カラープロファイルのプリセット2(COLOR 2)を選択しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0 PRO
108mm相当*
Aモード 1/1600秒 F9.0 ISO400
AI被写体認識AF:鳥
カラープロファイルコントロール (COLOR 2)
⼣暮れ時のビーチで飼い主の⼥性の動きに合わせて⾛り回る⽝。AI被写体認識AF(⽝・猫)の設定で、カメラはしっかりと⽝の姿を追ってくれました。尚、仕上がりはカラークリエイターを選択、ふんわりやさしい⼣暮れ時の空気感を伝えてくれるものとなりました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
90mm相当*
Aモード 1/640秒 F4.0 ISO640
AI被写体認識AF:動物(犬・猫)
カラークリエーター
⾬の夜、AI 被写体認識AF(鉄道)で路⾯電⾞にピントを合わせつつ、仕上がりをアートフィルターからドラマチックトーンを選択したことで、19世紀末に建てられたビルの装飾や濡れた路⾯に滲むライト、そして降る⾬の強さもしっかり写し出しています。防塵・防滴の機材は⾬の中での撮影も安⼼、急な⾬の多い夏場、⾬上がりを狙って撮影に出かけるのもよいですね。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II
34mm相当*
Aモード 1/80秒 F1.8 ISO1000
AI被写体認識AF:鉄道
アートフィルター:ドラマチックトーンI
おわりに
今回は「夏旅とスナップ」をテーマにご紹介しましたが、様々な季節・シチュエーションにも応⽤できるのではないかと思います。ぜひ今年の夏はOM SYSTEMカメラとレンズを連れて夏の旅や⽇々のスナップに活⽤していただけたらと思います。
*35mm判換算値

クキモト ノリコ
学⽣時代に旅と写真に興味を持ち、⼀眼レフカメラを⼿に⼊れる。主にひとり旅で国内外を回り、旅や⽇々のささやかな出来事をSNS 等で発信している。いくつかの職業を経て写真家へ転⾝。現在は『たのしく、わかりやすい』をモットーに、OMシステムゼミのほか様々な写真セミナーの講師を務める。また、地⽅⾃治体による写真コンテストの審査員や、写真雑誌・WEBマガジンでの執筆活動も⾏っている。
公益社団法⼈⽇本写真家協会(JPS)会員
神⼾出⾝・在住。晴れ⼥