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写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROで撮影した愛犬の写真

愛犬との日常をカメラと一緒に楽しもう!

写真家 松本 宏

撮影・解説 : 写真家 松本 宏

2025年2月公開

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

はじめに

ワンちゃんの可愛い姿を綺麗に撮りたい!それが私のカメラを始めたきっかけです。
愛犬の写真はやみくもに撮影してもなかなか思い通りに撮れませんが、普段からいくつかのテクニックを意識しながら撮り続けていけば、だんだんとイメージ通りの写真が撮れるようになっていくものだと思います。
毎日のお散歩で見慣れた近所の景色も素敵な作品にすることができますので、是非カメラを持って出掛けてみてください。

撮影意図に合わせたレンズ選び

レンズによって写る範囲と被写界深度は変わり、作品として伝えたい意図も違ってきます。
普段のお散歩ではワンちゃんは基本的に自分の近くにいるので、レンズは標準と呼ばれる画角より少し広角から中望遠あたりを使用する事が多いです。
OM SYSTEMのレンズの中でも特にボケの描写が素晴らしいF1.2 PROシリーズの3本は、毎日の見慣れた散歩道も印象的な作品に変えてしまう私のお気に入りレンズたちです。

今回はこの3本のレンズで撮影した作品をご紹介したいと思います。

17mm(34mm相当*)

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROは、やや広がりのある画角とパースペクティブ効果(遠近感)で背景を強めに伝えたいときに使用します。とっさの撮影にも対応しやすくスナップ撮影としても使いやすいので、とても使用頻度の多いレンズです。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*
Aモード F1.2 1/500秒 ISO 200 +0.7 EV

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*
Aモード F1.2 1/160秒 ISO 500 ±0.0 EV

25mm(50mm相当*)

M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROは、レンズ1本で出掛けるときによく使用します。見た目に近い自然な視点で撮りたいときや、撮り方によっては他2本のレンズの画角のように撮影することもできる万能レンズです。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
50mm相当*
Aモード F1.2 1/1250秒 ISO 200 ±0.0 EV

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
50mm相当*
Aモード F1.2 1/1600秒 ISO 200 +0.7 EV

45mm(90mm相当*)

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROは、背景を効果的に大きくボカしたいときや、望遠の圧縮効果で愛犬と背景との距離を詰めたいときに使用します。M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROとあわせて2本一緒に持ち出すことが多いレンズです。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
90mm相当*
Aモード F1.2 1/125秒 ISO 200 +1.0 EV

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
90mm相当*
Aモード F1.2 1/1600秒 ISO 200 ±0.0 EV

事前準備(設定)が大切

愛犬の撮影で難しいのはコミュニケーションが人間と同じようにいかないことです。
愛犬の行動の予測や制御に集中できるよう、事前に最低限の設定は準備しておきましょう。撮影にもたついて愛犬にストレスがかからないように、またマナーとして周りに迷惑がかからないように、余計な手間をかけず素早く撮影することが大切です。

露出モード

私は日常の撮影ではAモードをよく使います。背景を決め、絞りを決め、露出補正、構図を整えてから「待て」の状態で撮影します。ドッグランなどで走る姿やフラッシュを使用する時は、Mモードを使うことが多いです。

Aモードであってもシャッター速度は重要です。じっとしているのが苦手なワンちゃんもいますので、被写体ブレを起こさないようにISO感度でシャッター速度のコントロールをします。「ISOオート低速限界」の設定があるカメラであれば、ISOオート時に設定されたシャッター速度より遅くならないようにしてくれるので便利です。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

AF方式は「待て」の状態で撮る場合は「S-AF」でも良いですが、「C-AF」にしておけばワンちゃんが動いてもAFターゲット内でピントを追従してくれます。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*
Aモード F1.2 1/800秒 ISO 200 ±0.0 EV

目にピントを合わせる

愛犬撮影は目にピントを合わせるのが基本です。
斜めを向いているときは手前の目に合わせます。特にF1.2のようなレンズで被写界深度を浅くして撮る場合は、手前の目にピントが合っていないと全体がピンボケの印象になってしまいますので注意しましょう。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

AFターゲットは小さくして目の上の縁にピントを合わせるのがコツです。AFターゲット枠が大きいと鼻に合いやすいので注意しましょう。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
50mm相当*
Aモード F1.2 1/160秒 ISO 200 -1.3 EV

AI被写体認識AF(動物)

AI被写体認識AF(動物)が搭載されているカメラをお持ちの方は、とても便利なので是非使ってみてください。ワンちゃんが動いたり、どの位置にいたりしても自動で顔や目を認識してくれます。
先の説明ではAFターゲットは小さくしましたが、この設定を使用する場合はAFターゲットを大きくしてみましょう。AFターゲットを大きくする事で、AFターゲットの中でワンちゃんが動き回っても、カメラが愛犬を自動的に認識して追従してくれるため、撮影がスムーズになり愛犬にストレスがかかりにくくなるからです。このような便利機能は積極的に使用することをお勧めします。

目にキャッチライトを入れる

目に関してもう一つ、瞳に映る光「キャッチライト」を入れることが大切です。キャッチライトが入るだけで存在感が際立ち、いきいきとした表情になります。
特にお顔が黒いワンちゃんはキャッチライトが入らないと表情がわかりにくくなってしまうので必ず意識して撮影しましょう。作品が格段に良くなります。
撮影のコツは日影での撮影。日向だと眩しい顔になり顔の中に強い影が出やすいのですが、日が影っている場所から空の見える方向を向いてもらうと、キャッチライトが入りやすく柔らかい光で優しい描写になるのでおすすめです。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

ワンちゃんが向いている方向に明るい空や光るものがあれば、目にキャッチライトが入ります。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
90mm相当*
Aモード F1.2 1/250秒 ISO 200 +2.0 EV

愛犬の目線を基準にしてカメラを構える

カメラの設定以上に大事なのが構えるポジション(位置)とアングル(角度)です。背景の写り方がまったく違うので作品の印象が大きくかわります。
ワンちゃんは低い位置にいるので見下ろす構図になりやすいですが、それだと背景がいつも地面になってしまいます。そのような写真が多い人は愛犬目線を基準に撮影してみてください。目線の位置が下がることで背景に奥行きができ、自然とバリエーションが増えていくと思います。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

カメラのモニターを見やすい角度に動かすと撮りやすくなります。画面が見えづらいときはメニュー内のモニター調整で明るくしてみましょう。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
90mm相当*
Aモード F1.2 1/80秒 ISO 200 +1.0 EV

連写で撮影する

一枚一枚狙って撮れることも大事なのですが、上手く撮れない時間が長く続くとワンちゃんも飽きてしまいますし飼い主も疲れてしまいます。特に動き回るシーンは難しいので連写を使うのがおすすめです。また、狙って撮れないような表情を捉えることもあるので、撮影時はとにかくたくさんシャッターを切って後からよいカットを選ぶくらいの気持ちで撮影すると良いと思います。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

ドライブモードは「高速連写SH2」や「連写L」などAF追従が可能な高速連写モードを使用しましょう。「SH1」や「連写H」はAF固定になるので注意。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*
Aモード F1.2 1/3200秒 ISO 250 +1.0 EV

飼い主と一緒に撮影する

三脚があれば、ご自身とワンちゃんを一緒に撮ることができます。三脚は小さくて軽いもので大丈夫なので荷物に余裕があるときは是非試してみてください。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

ご自身が入る位置を想定して構図を決め、「セルフタイマー」や「インターバル撮影」機能を使って自動的に撮影することができます。撮影開始時間やコマ数など細かい設定が可能です。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
90mm相当*
Aモード F1.2 1/80秒 ISO 200 +1.0 EV

ワイヤレスリモコン (RM-WR1/RM-WR2)の対応機種であれば、リモコンを使うことでご自身のタイミングでシャッターを切ることが可能です。またスマートホンフォン用アプリ「OI.Share」では、スマートホンフォンの画面を見ながら遠隔撮影をすることも可能です。

フラッシュを使う

撮影に慣れてきた人はフラッシュを使うのも効果的です。苦手意識を持たれる方も多いですが、コントロールできるようになると作品の幅とクオリティが広がるので是非使って欲しい機材です。

注意:近距離で目の前から強い光を何度も当てるのは、目に良くなかったりストレスになることがあるのでやめましょう。

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

夕方の綺麗な光は見慣れた景色もドラマチックにしてくれます。逆光で影になってしまうワンちゃんもフラッシュを使えば明るく写すことができます。このときフラッシュにはディフューザーを取り付けて光を柔らかくし、左手に持ってカメラより高い位置からワイヤレス発光しています。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*
Aモード F5.0 1/250秒 ISO 200 ±0.0 EV

写真家 松本 宏がM.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PROで撮影した愛犬の写真

自宅での撮影もフラッシュは効果的です。天井に向けて発光させるバウンス撮影を行えば、薄暗い部屋でも柔らかい光に包まれて綺麗な作品になります。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
34mm相当*
Aモード F5.0 1/250秒 ISO 200 ±0.0 EV
※エレクトロニックフラッシュFL-700WR + ワイヤレスコマンダーFC-WRを使用

最後に

一番大事なことはワンちゃんも飼い主も撮影を楽しむことだと思います。上手く撮れなくても、たくさん褒めて、遊んで、おやつをあげて、お互いその日の散歩が楽しければ大成功です。設定や撮り方は意識してさえいれば自然に覚えていくので、散歩のたびに少しずつスキルアップしていくはずです。愛犬との日常をカメラと一緒に楽しんで、かけがえのない日々をたくさん写真に残していきましょう。

*35mm判換算値

松本 宏

松本 宏

1976年、神奈川県生まれ。舞台制作活動を行うかたわらカメラ販売の仕事を十数年経験。愛犬を綺麗に撮りたい気持ちで一眼レフを購入し、カメラの奥深さに魅了される。
その後カメラマンとしてスチール撮影や映像制作、カメラセミナー講師などの活動をしている。
著書「今すぐ使えるかんたんmini オリンパス OM-D E-M10 MarkIV 基本&応用撮影ガイド」(技術評論社)

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

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