Photo Recipe(フォトレシピ)
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冬の港湾に集う海鳥たち
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撮影・解説 : 写真家 佐藤 圭
2025年1月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
冬の北海道道北
北海道道北の留萌地方では、冬になり西高東低の気圧配置がきまると、強い北風が吹き続け海が荒れる。
そうなると外洋で暮らしている海鳥たちが港の中に羽休めにやってくる。
そのまま、春まで滞在する海鳥もいて賑やかだ。
私は、この時期の海鳥観察をとても楽しみにしている。
留萌地方は北海道の西に位置し、港町が多くあり、海鳥を観察するのに最適なのだ。
港湾に集う海鳥たち
見られる海鳥としては、シノリガモ、クロガモ、ウミアイサ、ウミウ、ヒメウ、コオリガモ、ハジロカイツブリ、スズガモ、ホオジロガモ、カモメ類など。
稀に、珍鳥と言われる海鳥も現れるので、常に目を凝らして観察するようにしている。
出会える珍鳥は、ミミカイツブリ、カンムリカイツブリ、ケイマフリ、ウミガラスなどだ。
さらに想像をしてないような珍鳥も現れることもある。
それを狙う海鷲(オオワシ、オジロワシ)も現れ、とても賑やかだ。
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港に佇む海の王者オオワシ。
港に集まる海鳥や、漁師が落とす雑魚などを狙っている。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F9.0 1/1600秒 ISO 800 ±0.0 EV
内蔵テレコンON
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灯台とオオワシ。吹雪でも野鳥たちには関係ない。
寒さに負けて帰宅せずに極寒の中の命の息吹を捉えたい。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*
Aモード F5.6 1/400秒 ISO 1600 ±0.0 EV
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港に行くと、かなりの確率で出会えるウミアイサ
馴染みの顔だが、チャンスがあれば丁寧に記録しておこう。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F7.1 1/640秒 ISO 1600 +0.3 EV
内蔵テレコンON
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こちらも留萌近郊では馴染みのシノリガモ
局所的に生息しており北海道では希少種だ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
544mm相当*
Aモード F4.5 1/3200秒 ISO 3200 -0.7 EV
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絶滅危惧種のヒメウ
ウミウ、カワウに似ているが小柄で嘴(くちばし)が真っすぐである。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F7.1 1/800秒 ISO 1600 +0.3 EV
内蔵テレコンON
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出会えると嬉しい小型のカイツブリ類のハジロカイツブリ
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F5.6 1/800秒 ISO 1000 ±0.0 EV
内蔵テレコンON
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こちらは、ハジロカイツブリに似ているが、頬の部分の柄が不明瞭のため、ハジロカイツブリではなく、かなり珍しいミミカイツブリと識別出来る。こんな珍しい野鳥も突然現れる。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F5.6 1/800秒 ISO 2000 ±0.0 EV
内蔵テレコンON
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留萌地方では数年に一度現れる絶滅危惧種のケイマフリ。
全国的に大人気の野鳥だ。
アイヌ語で赤い足が名前の由来だが、冬の足はさほど赤くない。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
800mm相当*
Aモード F4.5 1/500秒 ISO 1000 ±0.0 EV
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食事中のホオジロガモ。この時は、イカを捕食していた。
野鳥がなにを食べているのかを観察するのも面白いので、拡大して確認してみよう。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F5.6 1/2500秒 ISO 400 ±0.0 EV
内蔵テレコンON
やっぱり便利!プロキャプチャーモード
風向きや、水の流れなどで居場所が変わる。
魚の動きによっても左右する。
その動きを読み、撮影する駆け引きも面白い。
海鳥は、水に潜って魚などを捕食するので、潜る瞬間を捉えたい。
そこで、OM SYSTEMのカメラの機能で有効なのが、プロキャプチャーモードだ。
潜る瞬間は予備動作がなく、突然潜るので予測が難しい。
しかし、プロキャプチャーモードを使う事で、潜った後にシャッターを押しても、潜る過程を遡って記録してくれるので潜る過程を逃さず記録することが可能だ。
潜った後の足の形や、獲物はなにを捕ったかなど細かく記録や観察するのは楽しいので、ぜひ、使ってみてほしい撮影方法だ。
海面の表情も風や天気により変わるので、シンメトリーだったり、吹雪の中だったり色々な情景も楽しみたい。今回は海鳥ならではの3つシーンを、プロキャプチャーモードを使って撮影した作品とあわせて紹介する。
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潜水するケイマフリ
海鳥の多くは潜水して海の中を泳ぎ、魚や海藻などを食べる。
潜水する瞬間は、飛翔する瞬間と同じく撮影のタイミングが難しい。
OM SYSTEMのプロキャプチャーモードを使用すれば、潜った瞬間にシャッターを押すと、潜る前のシーンから記録されているので、有効な使い方だ。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
712mm相当*
Aモード F4.5 1/640秒 ISO 1000 ±0.0 EV
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ウミアイサの羽ばたき
ウミアイサの毛繕いからの羽ばたきシーン。
毛繕いした後は、水を切るために羽ばたきをするので、毛繕い中は集中し、羽ばたきの瞬間を記録しよう。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F5.6 1/1250秒 ISO 1000 ±0.0 EV
内蔵テレコンON
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ホオジロガモの飛翔。
海鳥は潜水に特化した野鳥なので体が重たく、飛び立つには海面を走り助走が必要だ。
水を跳ね上げ飛び立つさまは、とても可愛らしく美しい。
レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PRO
1000mm相当*
Aモード F9.0 1/1000秒 ISO 800 ±0.0 EV
内蔵テレコンON
港を巡ってみてみよう
このように、港をくまなく探せば色々な海鳥たちの営みに出会えるだろう。
宝探しのような気持ちで港を巡ってみてみよう。
注意点としては、港は漁師さんの仕事場なので、邪魔にならないようにするのと、その場所のルールに従おう。
野鳥も港で羽を休めているので、追いかけまわさずに適度な距離を保ち観察してほしい。
*35mm判換算焦点距離
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佐藤 圭
1979年、北海道留萌市出身
動物写真家/SLASH写真事務所代表
北海道の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌などに写真を提供しているアルパインブランドMILLETアドバイザー
2022年 世界の果てまでイッテQ!(日本テレビ)出演
2023年 嗚呼!!!みんなの動物園(日本テレビ)出演
著書
『山の園芸屋さん エゾシマリス』(文一総合出版)
『佐藤圭写真集 秘密の絶景in北海道』(講談社)
『鳴き声できずなを結ぶ エゾナキウサギ』(文一総合出版)