カメラアイコンPhoto Recipe(フォトレシピ)

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

冬もマクロ撮影を楽しもう

写真家 清家 道子

撮影・解説 : 写真家 清家 道子

2025年1月公開

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

はじめに

冬は何も撮るものがない…と思っている方が多いかもしれませんが、実はマクロレンズを使えば寒い冬の季節もたくさん魅力的な被写体があります。

そんなにたくさんレンズを持っていかなくてもマクロレンズが1 本あれば、冬の季節の撮影もとても楽しいですよ。

今回は冬ならではのお花や被写体の見つけ方と撮り方を解説します。

冬ならではのお花や被写体

椿は冬の代表的な花ですね。
日本古来の花として知られていますが、実は撮るのが難しい花でもあります。椿の花はそれほど花付きが多くなくてどうしても寂しい印象になることが多く、また花が開いたと思えばすぐにポトリと落ちてしまうために暗い印象の花だと思われている方も多いようです。でも椿は赤い色が美しく冬の山々を彩ってくれる魅力的な花です。全体的に撮ると、まとめにくい花なので、マクロレンズを使って撮ってみましょう。

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

おすすめは雪が積もった時や雨が降っている時です。しっとりと濡れた青みのある葉っぱと赤い花のコントラストは本当に美しく、その中で「しべ」の黄色が際立っています。絞りは開放F値あたり。ピントはしべにしっかりと合わせ、背景の丸ボケを意識して撮影しましょう。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F3.2 1/30秒 ISO 400

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

花の種子も冬ならではです。
春になるとどんな花を咲かせるのかな?そんな事を考えながらマクロレンズで撮ってみるのも楽しいです。ホワイトバランスを少し変えてみながら撮ってみると意外に美しく撮れることもあります。この写真は現像時に少しホワイトバランスを調整して青みを出し、ロマンチックな雰囲気に仕上げました。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F3.5 1/160秒 ISO 250

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

水仙の花も冬の代表的なお花です。
1~2月の寒い時期に頑張って咲いているこの花をみるとちょっと嬉しくなります。撮り方はいろいろありますが、マクロレンズでクローズアップして水仙の花の表情を捉えてみるのもいいですね。この写真のポイントは背景に黒い影を配置していることです。
水仙の花は白く、ガクの色も控えめな黄色なので群生していなければ目立たない花ですが背景に暗い色を持ってくることで白い花が浮き上がって見えますね。カメラの位置を微妙に変えながら、水仙の花が一番美しく見えるように撮ってみてください。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F3.2 1/100秒 ISO 250

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macroでマクロ撮影した写真

サボテンの花も寒い冬に力強く咲いています。
普段はそれほど美しいと思わない事も多いですが近づいてみるとこんなに可愛い表情をしているんですね。肉厚の花びらは存在感があり、まるで美味しそうなデザートのようです。
サボテンは地面などに咲いていることも多く、マクロレンズを使って手持ちで接写して撮ると可愛い一枚が撮れます。冬はどうしても雪景色などばかりになりますが、小さな花々を探しているとすぐそこに来ている春を感じることができます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro
60mm相当*
Mモード F4.0 1/400秒 ISO 200

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

小春日和には蜘蛛の巣を見つけて撮るのもいいですね。
すっかり散ってしまった花の茎に蜘蛛が巣を張って少し暖かな陽射しを浴びていました。
まだ春は先のようですが、さまざまな植物と共存して生きている蜘蛛の力強さと美しさを感じました。背景の丸ボケを意識しながら絞り値をF5.0で撮影しています。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F5.0 1/400秒 ISO 1000

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

こちらも花の種子ですが、冬の植物園や庭園に行くと、春には見られないような楽しいものに出会います。不思議な造形をそのままにマクロレンズで切り取ると小さな生き物が泳いでいるかのような幻想的な写真になりました。こういう被写体を見つけたら、出来るだけ逆光かサイド光を使って撮ると陰影が付いて印象的に仕上がります。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F4.0 1/400秒 ISO 1000

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

冬には色彩が少なくなります。そんな時は個性的な仕上がりの写真を撮影できるアートフィルター機能を使って印象的な写真を撮るのも良いでしょう。私はよくアートフィルターの「パートカラー」を使います。
これは赤の色だけを残しモノクロでまとめたものですが、枯れてしまった薔薇の花の真紅の色だけを残すことでアーティスティックな作品に仕上がりました。枯れた花さえも撮り方によって個性を出すことが出来ますね。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F4.0 1/320秒 ISO 1000 パートカラーI

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

こちらもアートフィルターの「ヴィンテージ」を使って撮影したものです。
冬はヴィンテージがとてもよく似合います。晩秋から冬にかけてのノスタルジックで少し寂しげな雰囲気をこのフィルターは引き出してくれます。
お花だけではなく旅先でのスナップなどにもぴったりのアートフィルターです。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F4.0 1/320秒 ISO 1000 ヴィンテージI

写真家 清家 道子がM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroでマクロ撮影した写真

蕗の花も冬の散策路によく咲いている黄色い花です。
その花の上に蜘蛛の糸があり、木枯らしに吹かれた綿毛の種が付いていました。この種は春になると地面に落ち、何かの花を咲かせるのでしょう。
ピントは綿毛の種に合わせ、背景の蕗の花をぼんやりさせることで蜘蛛の糸と綿毛の種を浮かび上がらせることが出来ました。
絞り開放値がF2.8のレンズだから撮れる被写体ですね。

M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
120mm相当*
Mモード F2.8 1/250秒 ISO 1000

まとめ

冬はどうしても家にこもってしまいますが、カメラにマクロレンズをつけて近所を散策するだけでいろいろな発見があると思います。
ぜひ寒い冬の季節もマクロ撮影を楽しんでくださいね。

*35mm判換算焦点距離

清家 道子

写真家 清家 道子

福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。現在企業カレンダーを手がける他写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。

写真展
2016年「またまの宇宙」をリコーイメージングスクエア
2020年「純色風景」ソニーストア
2022年「光の記憶」ソニーストア
2024年「水の惑星」OMシステムギャラリー

写真集
2016年「またまの宇宙」(日本写真企画)
2017年「TheGiftOfRanunculus」(風景写真出版)

著書
「美しい風景写真のマイルール」 インプレス
「極上の風景写真フィルターブック 日本写真企画
2020年よりYouTube 清家道子チャンネルで風景写真、風景ショートムービーなどを配信中。
OM SYSTEM seminars Speakers
JPS日本写真家教会会員

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

カメラアイコン合わせて読みたい:
フォトレシピ・インタビュー