Photo Recipe(フォトレシピ)
「花」を楽しむレンズ別撮影術
2023年2月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
お花の撮影に使うレンズについて悩んだ事はありませんか?もちろん全てのレンズでお花撮影を楽しむ事は出来ますが、使い分けに迷った時、参考になるようにそれぞれのレンズについて特徴を書き出してみました。
- 定番のM.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro & M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroについて
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROなどの望遠マクロについて
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO II 標準ズームと言われるレンズについて
まず最初はなんと言ってもマクロレンズ!
OM SYSTEMには2種類のマクロレンズが用意されています。M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 MacroとM.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、このレンズ達の特徴は寄れる、つまり大きく撮れる事です。もちろん普通の単焦点レンズとして使っても何ら差し支えはありませんが、性能を活かすなら是非クロスアップで使いたいものです。
早速ガッツリ寄って、と行きたい所ですがその前に、30mmと60mmの焦点距離による描写の違いを確認しておきましょう。注目する点は背景の広さとボケ具合、焦点距離が長くなるにつれ背景の範囲が狭くなりボケ量が増しているのが分かります。(3枚目は比較参考用40-150mm)
つまり30mmマクロは背景をそれとなく説明したい時や空の広がりを写すのが得意、一方60mmマクロは背景をシンプルに単純化するのが得意、と言う事になります。
M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macroの作例
30mm F3.5マクロはその撮影倍率よりも背景を活かした作品が狙い目、周りの状況を入れ込む事で撮影場所やその時の空の感じまで表現出来ます。
M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macroの作例
60mm F2.8マクロは明るい開放値と長い焦点距離で背景をシンプルにぼかすのが得意。とろけるようなボケ味でシャープな切れ味の主役を引き立てます。
マクロレンズでの注意点
撮影最短距離
いくら大きく寄れると言っても限界があります。撮影最短距離の確認は必須です。
- 30mm F3.5 Macro…0.095m これはレンズ先端から1.5cmくらい。
- 60mm F2.8 Macro…0.19m これはレンズ先端からおよそ9cm。
万能選手の望遠マクロ撮影
ここでは代表的な2本のレンズを紹介致します。
いずれもその焦点距離にしては撮影倍率が高く、そのままクロスアップが狙えます。どちらも「ボケ」の扱いがポイントです!
M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROの作例
また、被写体までの距離に制限がある場合にはズームレンズの特徴を活かした構図の試行錯誤も楽しい。
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PROの作例
35mm換算600mmと言う超望遠でありながら、その撮影最短距離はレンズ先端から約1.15m(最短撮影距離1.4m)まで近づいて撮影ができるテレマクロ機能、これを活かし距離のある被写体のクロスアップを狙います。
この2つの作品はいずれも300mmという超望遠の被写界深度の薄さを利用し、前後をボカして主役を浮かび上がらせてみました。特に開放値付近では被写界深度が極端に薄くなるのでピント合わせは慎重に…5軸手ぶれ補正の性能を試すのもいいですが、三脚の使用をお勧めします。
標準ズームレンズで撮る花
標準ズームレンズとは25mm前後の広角から準望遠域までを含んだズームレンズです。今までの経験を生かせば、このレンズでもお花撮影を楽しむ事が出来ます。ポイントは画面内のお花の大きさをズームで合わさず、身体を前後して合わせる事、広角側を使うのか望遠側を使うのか、決めてかかれば失敗はありません。
ボケ量の調整
各レンズの特徴を述べながら、同時に被写界深度とボケ量の大切さをお話ししてきましたが、常に絞り開放が良いかと言えばそうではありません。以下でコントロールの仕方をお話しします。
下の5枚はそれぞれ絞り値を変えながら背景の変化を見たものです。被写体と背景の距離の関係から、開放値ではボケ量が大きく、背景が単純になり過ぎると判断し、本番の絞り値はF7.1としました。もちろんこれは個々人の判断でOK、自分の気持ちのいい所で決めて下さい。
プレビューボタン
このボケ量の変化を視認出来る方法を次に上げておきます。通常、ファインダー像は絞り開放での画像を見ていて、見たままに写らない事も…それを設定絞りの像にするには「プレビュー」機能を使います。
イチイチ押して確認するのが面倒と言う方には、プレビューロックも可能。一度押すとロックされ、もう一度押すと解除されます。設定方法は以下。
番外編 OM-D で楽しむ深度合成
これまでレンズ別「花」撮影術についてお話ししてきましたが、最後にカメラ側で楽しむ機能のご紹介です。マクロ撮影では近接撮影が多くなるため、どうしても被写界深度が浅くなりがちです。そこを被写体には全ピンで背景はボケ量の多い薄いピント、こんな不思議な映像を実現した興味ある機能です。先代より強化された合成能力も秀逸です。
作例1
作例2
カメラの設定方法
ちょっと違和感の残る画像になることもありますが、それが新鮮で今まで見た事の無い視覚を表現できます。使い方によっては「花」撮影に大きな可能性が生まれるはず、是非とも楽しんで頂ければと思います。