Photo Recipe(フォトレシピ)
感動的な日の出・朝日の写真の撮り方
2022年11月公開
記事内で使用した
レンズをご紹介
感動的な日の出・朝日の写真の撮り方の特集記事です。日の出・朝日の撮影に必要な装備から、カメラアクセサリー、スマートフォンアプリまで、作例を交えて紹介しています。
1. 基本的な撮影テクニック
早起きは三文の得といわれているが日の出撮影は三文の得どころか感動的な瞬間を体験させてくれる。 特に初日の出となれば感動も倍になることまちがいなしだ。そんな感動的な被写体を求めて筆者も朝日を撮影に行った。ちなみに朝焼けの色もよく、空気感の出る秋~晩秋、春霞の柔らかい雰囲気が出る春先が特にオススメだ。
まずは一番肝心な①の当日の天候だが最近ではピンポイントで天候がわかるこのアプリあたりが便利だろう。スマートフォンで瞬時にその場所の天候もわかるので今いる場所から撮影場所を変更するときにも便利だ。
次に②の日の出の時間だが日の出の時間ギリギリに着いたのでは下のような日の出前の神秘的な薄暮のグラデーション作品はまず撮れない。できれば日の出の1時間くらい前に現地に到着したい。ましてや星も撮ろうということになれば前の日の夜から車中泊がオススメだ。確実性を狙うならば前の日にロケハンすれば万全だ。最近ではグーグルのストリートビューでも擬似ロケハンが可能なのでこちらのサービスも重宝する。
日の出の時間や日が昇る位置を調べるのにはこのホームページが便利だ。
日にちを入れるだけで瞬時に日の出時間と太陽の出る位置まで教えてくれる便利なサイトだ。
こよみのページ:http://koyomi8.com/
もう一つ、③の日の出がどの位置から出るのか把握できる便利な道具をご紹介したい。
スマートフォンアプリのSun Seekerだ。
Sun Seeker: 3D Augmented Reality Viewer
このアプリを使用すると下の写真のように非常に簡単に日の出位置をある程度推測することができる。また、その日だけでなく、撮影の前のロケハンに行かなくとも太陽がどれくらいの位置から上がるのかがわかるマップ機能もあり、かなり便利なツールだ。
ただ、多少ジャイロの関係で位置がずれていることがあるので注意したい。そういうときは、現地の方の情報が確実なのだが現地の方が側にいない場合は、よりリアルに推測できる道具を紹介しよう。
それは昔から船舶に必需品のコンパスグラスだ。
これは光学式ファインダーを覗きながら方角がわかり、肉眼よりも大きく望遠で見えるので遠くの細かな灯台などの形もよくわかり、同時に構図を決めるのに非常に重宝する。
明視野照明(LED)つきとLED無しのがあり、星景撮影もする場合はLEDありがいいかもしれない。価格はLED無しが15,000円前後、LED有りが、19,000円前後。一度買うと長く使えるので非常に重宝する筆者一番のおすすめアイテムだ。
④の撮影場所についてだが最近はインターネットのグーグル検索等で簡単に調べられる。初日の出を狙うならこちらのサイトを参考にすれば良いだろう。
2. 日の出を撮るときの準備
次に撮影に行く前に用意する装備や機材等をご紹介したい。
まず冬の朝はかなり冷え込むので防寒着は必須だ。
厚めのダウンジャケットなどはもちろんのこと、手袋も最近ではスマートフォン対応のものがコンビニなどで気軽に販売しているので購入しておこう。手袋をしたまま「OI.Share」を使用してスマホから遠隔操作でシャッターが切れるのでシャッターを切る際の手ブレ防止にも有効だ。
しっかり足元も固めたい。ヒートテック素材のインナーを着ると体も動きやすいし防寒にもなる。最近では防風ジーンズという風を通さないジーンズもあり、こちらもかなり使える防寒着だ。
次に三脚だが、筆者は、従来からあるアルミよりも軽くて頑丈なカーボン三脚を愛用している。できるだけ経が太く伸長が長くなる三脚が頑丈でお勧めだが、目的にあった三脚をチョイスしたい。太い三脚はブレに強いが大きく重くなりやすいし、長すぎる三脚は高い位置からのアングルは狙えるが縮長が長くなるので持ち運びに不便となる。三脚ばかりが重くなったり、かさばるのは避けたいところだ。カーボン三脚は軽いので下の写真のように風でブレないように三脚のエレベータ下部にエンドフックを取り付けてそれにカメラバッグなどを吊るすとブレ防止に役に立つ。
しかも下の写真のようにレンズポーチなどもぶら下げておくと瞬時にレンズ交換もできるので非常に便利だ。
ここまできたら雲台にもこだわりたい。アングルの自由度を高めるには自由雲台をチョイスしたい。だが安価な雲台ではレバーを締めた時に構図が変わるような雲台が多いので要注意。
三脚に乗せるカメラは軽量なOM SYSTEM OM-DやPENを積載すると非常にブレに強く、軽い装備となり、移動が非常に楽になる。
しかも今回使用したレンズは14-150が中心だったが、苦もなく移動したり、瞬時にアングルを変えられるなどメリットは計り知れない。
筆者も撮影中に真後ろに鵜の群れが偶然飛んできたので、すかさずアングルをかえて撮影した作例がこれだ。人物をシルエットにして添景として変化をもたせた作例も良いポジションにサッと移動して撮影した一枚だ。
車のトランクルームに機材を入れるときも、OM SYSTEMのミラーレス一眼カメラの装備なら、こんなにコンパクトに収納できた。他にも長靴やレインコートなどとっさの天候の変化にも対応できるように準備しておけば万全だ。
3. シーン別撮影テクニック
シーン別撮影テクニック
海から出る日の出の写真は誰もが憧れる存在だと思う。とくに状況によっては海からの反射で綺麗な光景が期待できるのも海からの日の出も醍醐味だ。
今回筆者も海からの日の出の撮影に出かけた時に偶然にも海霧が発生。素晴らしい瞬間をものに出来た。まずはその時の撮影テクニックを紹介しよう。
カメラはOM SYSTEM OM-Dを使用した。日の出用に使いやすくカメラ設定をカスタマイズできるのもOM-Dならでは。今回一番重宝したのがデジタルテレコンモード。
瞬時に倍率を2倍にあげられるのでピントの確認も素早くできる。
筆者は今回の風景撮影は絞り優先モードを使用し、絞りの数値を大きくすることで牡蠣筏から灯台までピントが来るようにした。
太陽が昇る前にこれらの構図、ピントなどを決めておくことは大事。
太陽が水平線から出て、だるま状になるのに2分間のチャンスがあるのでここで構図を決めておくことは大切だ。
残念ながらこの日はダルマ状にならなかったが海霧が発生してドラマチックな日の出になった。これが風景写真の魅力である。
山の朝日の場合
山の日の出の場合、最近は登山人気でカメラを持参する方も増えてきている。軽量なミラーレスカメラとレンズなら、重い荷物を背負わなくてもすむので昔に比べると随分と雲海の撮影などは楽になったなと思う。
まずは山から出る日の出は雲海を絡めるとシンプルな映像で絵になりやすい。
下の写真のように撮影すればお正月の年賀用には使えそうな作品ができる。
撮影方法は海の撮影方法と基本的には同じだができるだけシンプルに構図をまとめることが成功につながる。また天候がその場で悪くても山の天気は変わりやすいので撮影をすぐに諦めず待つことも大切だ。
下の作品のように太陽を入れない作品も趣がある。
4. 上級者向け撮影テクニック
ここではより日の出撮影を楽しんでいただくために、もう一歩踏み込んだ撮影方法をご紹介しよう。
まずはフィルター。ハーフNDフィルターを使用すれば空と海の露出差を解消して下の作品のように幻想的な作品にさせることもできる。
筆者はフィルターの真ん中の境が柔らかく暈している1/2 GLAYを使用している。
レンズの前にホルダーを使用して確実性を上げるのも手だが筆者は写真1のように手持ちで柔軟に使用している。
写真3の作品は左手には太陽が昇っている最中だがこちらのほうが神秘的に見えたのでハーフNDフィルターを使用し撮影した。
次に長時間露光で富士山を背景に日の出前の薄暮と高速道路の車の光跡を同時に撮影。夜明け前しかない貴重なシャッターチャンスをものにした一枚だ。
その他、日の出に絡めた作例を掲載するのでぜひ参考にしてもらいたい。