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OM SYSTEMで秋の星空を撮りに出かけよう

北山 輝泰

撮影・解説 : 星景写真家 北山 輝泰

Official Home Page:Starry Works

2022年9月公開

カメラアイコン記事内で使用した
レンズをご紹介

この記事について

みなさん、こんにちは。星景写真家の北山です。この記事では、星景写真で撮るべき「星空」の情報を季節ごとにお伝えしています。今回は、秋に撮るべき星空についてご紹介いたします。みなさんもOM SYSTEMを持って、星空の下へ出かけましょう!

秋の星座の覚え方

みなさんは「秋の星座」と聞いてパッと思い浮かぶ星座はありますか?代表的なものを挙げるとアルファベットのWの形で例えられる「カシオペヤ座」や、秋の四辺形として紹介される「ペガスス座」などがありますが、夏や冬などの華やかさに比べると、少々印象が弱いのは否めません。ですが、星座の覚えやすさで言えば、実は秋が一番覚えやすいと言えます。

先ほど挙げた「カシオペヤ座」は、ギリシャ神話に登場するエチオピアのお妃「カシオペイア」が星座になったものです。カシオペイアの夫、つまりエチオピアの王は「ケフェウス」と言いますが、夜空ではカシオペヤ座のすぐ隣に位置しています。暗い星で構成されているため少し分かりにくいですが、尖った屋根の家のような形をしているため、比較的見つけやすいでしょう。

カシオペイアとケフェウスの娘は「アンドロメダ」と言い、星座では「アンドロメダ座」としてカシオペア座のすぐ下に位置しています。アンドロメダは皆が羨むほど美しく、母親であるカシオペイアは、海の妖精ネレイドでも敵わないと自慢します。それがネレイドの祖父である海の神ポセイドンの耳に届いたことで怒りを買ってしまい、報復としてエチオピアに化け鯨を送り込みます。その騒動を収めるためにアンドロメダが生贄となることが決まりましたが、たまたま通りかかった勇者「ペルセウス」が化け鯨を倒したことで、アンドロメダとエチオピアの国は守られました。ペルセウスは後にアンドロメダの夫になりますが、夜空でもアンドロメダのすぐ隣にペルセウスがいて、二人仲良く寄り添っているのが分かります。ちなみに、ペルセウスの愛馬こそが「ペガスス」で、ペガスス座としてアンドロメダ座とペルセウス座のすぐそばにいます。

このように、秋の星座は一つの大きな家族として見れば大変覚えやすいため、星座を覚えたいという方は秋の星座から覚えてみるのがいいでしょう。ちなみに、星座は一つずつ覚えるよりも、今回のようにギリシャ神話を基礎として覚えると忘れにくくおすすめですよ!

秋の星座をまとめて撮影するには「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」や「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」などの広角域焦点距離レンズがあるといいでしょう。また、地平線付近から空の高いところまでを撮影する必要があるので、北東から東が開けているところで撮影するようにしましょう。

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真1

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当※
Mモード F1.8 15秒 ISO 1600 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真2 星座名入り

秋の被写体

先ほどご紹介したカシオペヤ座の近くには、アンドロメダ銀河と呼ばれる大きな渦巻状銀河があります。私たちが住む天の川銀河の隣にある銀河ですが、距離ではおよそ230万光年も離れています。

アンドロメダ銀河は、150mm相当※程度の望遠レンズでもはっきりと写すことができるため、天体写真の入門のような被写体です。まずはカシオペア座を含む広い範囲を撮影し、アンドロメダ銀河の場所を特定することができたら、画角の中央に補足しつつ徐々にズームしながら撮影していくのがよいでしょう。そのため、標準域から望遠域の焦点距離までをカバーすることができる「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」がおすすめです。アンドロメダ銀河を少しでもはっきり撮影したいと思ったら、大気の影響を受けにくい空の高いところにある時を狙うべきですが、標準域焦点距離の画角で星景写真的に風景と一緒に撮影するのも面白いでしょう。撮影は、地平線付近まで沈んできたときを狙うことになりますが、11月上旬以降の夜明け前に撮影するのがおすすめです。できればポータブル赤道儀などを使い、星を追尾しながら撮影するのが良いでしょう。

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROで撮影した星空の写真3 アンドロメダ銀河

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当※
Mモード F1.8 20秒 ISO 3200 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROで撮影した星空の写真4 アンドロメダ銀河

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
80mm相当※
Mモード F2.8 30秒 ISO 6400 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PROで撮影した星空の写真5 アンドロメダ銀河

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
250mm相当※
Mモード F2.8 60秒 ISO 1600 ±0.0EV

黄道光を狙ってみよう

最後にご紹介したいのは「黄道光(こうどうこう)」と呼ばれる天文現象です。黄道とは太陽の通り道のことを指しますが、黄道には彗星や小惑星が撒き散らしたチリや氷のつぶが多数漂っています。これらに太陽の光が当たり反射することで、光の道のように黄道が浮かび上がることがあり、これを黄道光と言います。肉眼ではおぼろげにしか分からず、撮影することで存在を確認することができますが、市街地近くなど空が明るいところでは他の明るさに埋れてしまうため、できるだけ空が暗いところに行く必要があります。また、黄道光を見るには太陽の光が必要になるため、深夜だと見ることができません。夜明け前の東の空か、日没後の西の空など、星はたくさん見えるけれど、まもなく薄明が始まる、または終わるような時間帯に撮影するのが良いでしょう。

このように一定の条件が整わないといけないため、気軽に撮影することはできませんが、写った時の感動は一入(ひとしお)です。日本では、10月~11月の秋、冬の星座のオリオン座が昇ってくる時間帯から明け方まで、東の空を定点撮影していると黄道光が浮かび上がる様子を撮影することができるでしょう。黄道光は、空の広範囲を撮影する必要があるため、「M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO」や「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」などの広角域焦点距離レンズが必要になります。

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真6 黄道光

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
16mm相当※
Mモード F2.8 25秒 ISO 6400 ±0.0EV

写真家北山輝泰がM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROで撮影した星空の写真7 黄道光

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
14mm相当※
Mモード F2.8 50秒 ISO 6400 ±0.0EV

まとめ

今回は秋の星座の覚え方と、秋に撮るべき「アンドロメダ銀河」と「黄道光」についてご紹介しました。OM SYSTEMの機動力を生かして、みなさんも色々な場所で星空撮影に挑戦してみてくださいね!星景写真家の北山でした。またお会いしましょう!

※35mm判換算焦点距離

北山 輝泰

北山 輝泰(きたやま てるやす)

1986年東京生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中、授業で天体望遠鏡を 使った撮影を行なったことがきっかけで、宇宙への興味関心が強まる。卒業後、福島 県鮫川村に移住し、村営の天文台で星空のインストラクターをしながら、本格的に天 体写真と星景写真を撮り始める。その後、天体望遠鏡メーカーに就職。2017年に星 景写真家として独立をし、国内、海外問わず、各地で星空の撮影を行っている。また、天文雑誌「星ナビ」のライターとして、定期的に執筆活動も行なっている。オーロラ、皆既月食、皆既日食など様々な天文現象を見て行く中で、この感動をより多くの人と共有していきたいという想いを持ち、2018年に「NIGHT PHOTO TOURS」を立ち上げる。自身が代表を務める傍ら、講師として、夜をテーマにした様々な撮影ワークショップを企画・運営している。

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