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望遠ズームレンズを使って紅葉撮影を楽しもう

清家 道子

撮影・解説 : 清家 道子

2026年10月公開

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はじめに

秋になると、いよいよ風景撮影のシーズンがやってきます。紅葉をはじめ、色づき始めた木々など、この季節ならではの美しい風景を撮影できる機会が増えてきます。
風景写真は広角レンズを使うイメージが強いかもしれませんが、実は望遠ズームレンズも秋の風景撮影と相性がいいのです。
目の前に広がる風景の中から印象的な部分を切り取り、自分が感じた美しさを一枚の写真に凝縮することができます。
今回は、望遠ズームレンズを使うことでどのような秋の風景を撮影できるのかを解説していきます。

望遠ズームレンズの利点

望遠ズームレンズの大きな特徴のひとつは、風景を「切り取る」ことができる点です。広角レンズではどうしても多くの情報が画面に入りやすくなりますが、望遠レンズなら、風景の中から自分が見せたい部分だけを選び、余計なものを整理することができます。紅葉の中から美しく色づいた木だけを狙うなど、被写体を絞り込むことで、より印象的な写真に仕上げることができます。

もうひとつの特徴が、望遠ズームレンズならではの「圧縮効果」です。遠くにある木々や山などが画面の中で近づいて見えるため、複数の被写体を重ねた密度の高い構図を作ることができます。また、望遠ズームレンズなら、立ち位置を大きく変えなくてもズームすることで構図を調整できるのも魅力ですね。撮影する場所や光の状況に合わせて焦点距離を変えながら、その場で最適な構図を探すことができます。

秋の風景は、紅葉が見頃を迎えるまでの変化も大きく、同じ場所でも訪れる時期によってまったく違った表情を見せてくれます。だからこそ、望遠ズームレンズを使って風景を細かく観察し、その瞬間にしか撮れない秋の一枚を探してみるのもおすすめです。

実践編

それでは実際に撮影したものを振り返ってみましょう。

1. 望遠レンズで風景を圧縮する

9月の阿蘇の風景です。この季節になると稲が色づき秋の気配を感じることができます。ここでは望遠ズームレンズを使い、遠くに広がる田園風景を大きく切り取ります。
手前の森から、田んぼ、集落、そして奥の山間部まで、距離の異なる風景が幾重にも重なり、スケールの大きさを感じることができますね。
望遠レンズには、遠くにある被写体同士の距離感を圧縮して見せる効果があります。そのため、広角レンズでは小さく離れて見える田んぼや集落が、画面の中で密集したように表現できます。「広く写す」のではなく、「遠くの風景を重ねて見せる」。これが望遠レンズを使った風景撮影の面白さです。ここでは細かな部分まで表現できるようハイレゾショットにて撮影しました。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
164mm相当*, Mモード, 1/160秒, F10, ISO 250
手持ちハイレゾショット撮影

2. 望遠レンズで紅葉を切り取る

紅葉の季節は、木々が一斉に色づくことで美しい風景が広がります。しかし、実際に撮影してみると、さまざまな木や枝が重なり、「どこを切り取ればいいのか」と迷うこともあります。そんなときに活躍するのが望遠レンズです。この写真では、赤く色づいたモミジの背景に、細く伸びる白い枝を重ねています。望遠レンズで画角を狭くすることで、広い風景の中から印象的な部分だけを切り取り、複雑に重なり合う木々を一枚の画面にまとめました。赤と白、葉っぱの黄色、そして背景の緑という色の対比によって、秋らしい鮮やかさも引き立っています。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
288mm相当*, Mモード, 1/30秒, F8.0, ISO 800

3. サイド光を生かして切り取る

紅葉の森では、赤や黄色に色づいた葉だけでなく、葉を落とした木々の枝も秋らしい風景を作る重要な要素になります。この写真では、望遠レンズを使って森の一部分を切り取り、さまざまな木々が重なり合う様子を画面いっぱいに収めています。
一見すると複雑に見える枝も、望遠レンズで狙うことで、背景の鮮やかな紅葉と組み合わせた一枚の絵として表現できます。特に、黄色からオレンジ、赤へと変化する色彩が重なることで、奥行きのある美しい秋の風景になっています。
広角レンズで森全体を写すのではなく、「どの部分を切り取れば美しく見えるか」を探しながら撮影するのがポイントです。望遠レンズなら、少し離れた場所からでも構図を細かく調整できるため、自分だけの秋の風景を見つけることができます。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
152mm相当*, Mモード, 1/13秒, F9.0, ISO 200

4. 写り込みを切り取る

晩秋になり木々の紅葉も終わりに近づくと、地上の風景だけではなく水面に映り込んだ景色も美しいです。そこに風が吹いたり、水がゆっくり流れたりすると、映った木々の姿が縦に伸びたり、横に揺れたりして、実際の風景とはまったく違った表情を見せてくれます。このとき大切なのは「水面にできた模様を切り取る」という考え方です。広角レンズで周囲の景色まで入れてしまうと、「池に映った紅葉」という説明的な写真になることがあります。そこで望遠ズームレンズを使い、映り込みの一部分だけを大きく切り取ります。風景そのものではなく、色と形を撮る感覚で構図を探すと楽しいと思います。水彩画のような幻想的な表現が楽しめますよ。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
400mm相当*, Mモード, 1/20秒, F8.0, ISO 200

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
343mm相当*, Mモード, 1/50秒, F7.1, ISO 200

5. 風がある時、ない時の違い

風がある時とない時で水面の風景は一変します。鏡のように写り込みを撮りたい時は無風の時が良いですが、少し風が吹いていても水のゆらめきの面白さがあります。スイレン(睡蓮)の葉っぱにピントを合わせて、好みの風が吹くたびにシャッターを押しましたが、風が強くなりすぎると葉っぱが動いてしまうので気をつけながら撮影しました。少しだけC-PLフィルターを効かせて葉っぱの色味を出しながら撮影しています。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
254mm相当*, Mモード, 1/100秒, F7.1, ISO 400

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
254mm相当*, Mモード, 1/100秒, F7.1, ISO 640

6. C-PLフィルターの使い方

C-PLフィルターは水面の反射を抑えたい時や紅葉などの色彩をはっきり見せたい時に使いますが、この写真のように水に浮かんだ紅葉を撮るときはC-PLを使った方がいいのか外したほうがいいのか迷うところですよね。C-PLフィルターは効かせすぎると水面の反射がなくなりすぎてしまうのです。水に映った青空の色を残したい、でも紅葉の色もはっきりと表現したい…。こんな時はファインダーを確認しながら少しだけC-PLフィルターを効かせてみましょう。微調整しながら、どんな表現にしたいのか明確に考えながら使用することをおすすめします。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
100mm相当*, Mモード, 1/6秒, F10, ISO 200

7. 絞り開放でぼけを表現する

望遠レンズはピントの合う範囲が狭く、前ぼけ後ろぼけが表現しやすくなります。すっかり見頃を過ぎた紅葉も、まだ綺麗な色が残っている葉っぱを探し、そこにピントを合わせて後は「ぼけ」として仕上げれば作品になります。こういう状況では逆光を狙うときれいなぼけになりますので立ち位置を考えながら撮影しましょう。

レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 50-200mm F2.8 IS PRO
373mm相当*, Mモード, 1/500秒, F2.8, ISO 320

8. 望遠ズームレンズを使う時の注意点

望遠レンズはどうしてもブレやすくなるのが特徴です。手持ち撮影するときは手ぶれ補正をONにして撮影し、シャッターを押した後は必ずファインダーかモニターで拡大してピントが合っているかを確認しましょう。三脚で撮影する時も心配な時は2秒タイマーで撮影するかリモコンでシャッターを押すことをお勧めします。また、風がある時は影響を受けやすいのでフードを外しておくと良いでしょう。

終わりに

いかがでしたか?望遠ズームレンズが一本あれば秋の始まりから晩秋の落葉の風景まで、自分の好きな世界だけを切り取って作品作りができますね。今年も秋の撮影を楽しんでください。最後までご覧いただきありがとうございました。

*35mm判換算値

清家 道子

清家 道子

福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となり、九州を中心に撮影活動している。主なフィールドは九州の渓谷、森、久住周辺の山など。企業カレンダーを手がける他 新聞、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。
2020年よりYouTube 清家道子チャンネルで風景写真、風景動画などを配信中。
αアカデミー講師 OM SYSTEMゼミ講師。

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