Photo Recipe(フォトレシピ)
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OM SYSTEMで撮る風景写真
~春編~
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撮影・解説 : _____mimosa.619_____
インスタグラマー・Webライター
instagramアカウント:@_____mimosa.619_____
2022年5月公開
記事内で使用したカメラと
レンズをご紹介
はじめに
春の花々が咲き始め、カメラを持ってお散歩するのによい季節です。
身近な風景も、ファインダー越しに見ると、今まで気が付かなかった新しい魅力に気が付けるかもしれません。
今回は、私が住む富山の春の風景とともに、撮影のポイントを紹介していきます。
桜並木×日本アルプスの山々
富山の春は、アルプスの山々にはまだ雪が残り、里には色とりどりの春の花が咲く季節です。
この写真は、富山県朝日町の舟川べりで撮影した春の四重奏です。
望遠レンズを使用して、この1枚に富山の春をギュッと詰め込んでみました。望遠レンズの圧縮効果を生かすと、手前と奥の被写体の距離が近く見え、最も遠くにある山の迫力もぐんと増します。撮影場所から奥の朝日岳までは、すぐ近くに見えますが、実際は20㎞ほど離れています。
また、今回は絞りをあけて撮影しており、手前の被写体をぼかすことで、チューリップ畑→菜の花畑→桜並木→残雪の山に視線を誘導しやすくしています。
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カメラ: OM-D E-M1 Mark II
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
150mm相当
1/2500秒 F2.8 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
桜並木×水田
山の上に、桜並木を照らす月が昇り、昼間とは違った幻想的な雰囲気の舟川べり。
水田に映る桜並木を広角で撮影しました。春になると水を張った田んぼが増えますが、朝や夜は、比較的、風が穏やかなことが多いので、水鏡を撮影するチャンスです。
構図は二分割構図で撮影しました。二分割構図とは、上下または左右を均等に2つに分割する構図です。風景写真に適しており、安定した落ち着いた印象になります。
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カメラ: OM-D E-M1 Mark II
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
24mm相当
1/5秒 F4.0 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
桜並木×遊覧船①
日本の春に外せないのが、桜のある風景です。
この写真は、富山市中心部の桜の名所 松川べりで撮影しました。桜吹雪が舞う、桜トンネルの中を、赤色が目を引く遊覧船が通ります。
桜の花がすぐ近くまでのびている位置で、花の隙間から絞り開放で撮影することで、ふんわりとした印象に仕上げました。また、街中なので、周辺に高い建物も多いのですが、桜のボケでうまく隠れるようにしています。
桜吹雪は、散った花びらが目立つ暗い背景を選んで撮影してみましょう。シャッタースピードは1/500より速く設定すると、花びらが止まって見えます。
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カメラ: OM-D E-M1 Mark II
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
212mm相当
1/2500秒 F2.8 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
桜並木×遊覧船②
この写真も先ほどと同じ松川べりで撮影しました。
近くの展望台から、桜並木を見下ろすようにカメラを構え、桜の木の間にちょうど遊覧船が通過するタイミングでシャッターを切りました。
上から撮影することで、満開の桜で川の水面がほとんど見えなくなり、淡いピンクの水しぶきの中を遊覧船が進んでいるように見えました。
普段、桜並木は下から見上げることが多いと思いますが、上から見下ろすことで、雰囲気がガラッと変わって新鮮です。普段と違った目線で見ると、身近な場所でも新しい発見があるかもしれません。
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カメラ: OM-D E-M1 Mark II
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
200mm相当
1/2000秒 F4.0 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
桜×展望台
この写真も松川べりで撮影したもので、桜の向こう側に見える建物は、市役所の展望台です。
夜になると桜並木がライトアップされ、昼間とは違った雰囲気に見えます。
人通りが多く、三脚を使用しての撮影が迷惑になりそうな場所だったので、カメラとレンズの手ぶれ補正を活かして手持ち撮影を行いました。シャッタースピードは1秒に設定し、夜桜や夜景とともに、通過する車のヘッドライトやテールライトをレーザービームとして撮影しています。
カメラとレンズの組み合わせによっては、シャッタースピードを数秒に設定しても、手持ちでブレなく撮影できるので、三脚が設置できないシーンでも思い通りの撮影ができます。
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カメラ: OM-D E-M1X
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当
1秒 F5.0 ISO 800 ±0.0EV
Mモード
桜並木×路面電車
富山市は路面電車が走る街なのですが、この松川べりの桜並木の近くでも路面電車が見られ、桜並木や遊覧船とのコラボレーションも楽しめる場所です。
この2枚は同じ場所の夜と昼の写真です。
同じ場所でも、時間帯が違うだけで、印象が変わりますよね。
夜の撮影は、昼間に比べて、シャッタースピードを遅くしないと綺麗に撮影できないシーンが多いです。
その特徴を活かし、1枚目はシャッタースピードを遅くして、連写で走る路面電車を流し撮りしました。
流し撮りとは、被写体の動きにあわせてカメラを動かしながら撮影し、被写体はブレないようにピントをあわせ、周りの景色や背景は流れるように撮影する方法です。
流し撮りには、乗り物や人、動物などの動く被写体で、動きが一方向に決まっているものがおすすめです。
SモードやMモードで、被写体の動く速度や、周りの景色や背景をどのくらい流したいかによって、シャッタースピードを調整しましょう。
また電車など、被写体との距離が固定されている場合は、慣れるまでピントを固定する置きピンで連写撮影すると成功率が上がります。
2枚目の昼間の写真ように、被写体の動きを止めて撮影したい場合は、シャッタースピードを速く設定して撮影しましょう。
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カメラ: OM-D E-M1X
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
200mm相当
1/6秒 F2.8 ISO 800 -0.3EV
Sモード
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カメラ: OM-D E-M1X
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
194mm相当
1/2000秒 F2.8 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
チューリップ×ブルーインパルス
桜の季節が終わると、本格的なチューリップシーズンの到来です。
この写真は昨年2021年のとなみチューリップフェアで撮影したものです。チューリップと2つのタワー、そしてブルーインパルスを正面から撮影されるカメラマンが多かったようですが、あまり見ない構図で撮影しようと、フィッシュアイレンズを装着し、タワー横でカメラを構えました。
フィッシュアイで撮影することで、足元のチューリップの花壇から、日暈に向かって飛んでいくブルーインパルスまで、すべてをとらえることができ、斬新な切り取りになりました。
人と違うオリジナルな切り取りをしたいときや、変化を持たせたいシーンでもフィッシュアイが活躍します。
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カメラ: OM-D E-M1X
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当
1/800秒 F20 ISO 500 ±0.0EV
Mモード
チューリップ×夕日
チューリップを風景として撮影する際は、時間帯や構図にも拘ってみましょう。
この写真は、夕方のチューリップ畑で撮影したものです。チューリップは、富山県の県花でもあり、春になるとたくさんのチューリップ畑を見かけます。
晴れた日の朝や夕方、太陽の位置が低い時間帯に撮影すると、チューリップの優しい雰囲気を引き出すことができます。この写真は、望遠レンズを装着し、絞りは開放で、太陽の方向に向かって逆光で撮影しています。
太陽そのものを入れてしまうと、光が強すぎますが、太陽がギリギリ入らない構図で撮影すると、夕日に照らされるチューリップを柔らかい印象に仕上げることができます。
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カメラ: OM-D E-M1 Mark II
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
300mm相当
1/800秒 F2.8 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
チューリップ×ローアングル
小人になったような目線でチューリップを見上げてみると、普段とは違った世界が広がります。
この写真は地面に近い位置から、フィッシュアイでチューリップを撮影しています。フィッシュアイのほか、広角レンズでもこのような構図で撮影できます。
広角レンズで撮影する際は、メインとなる被写体から離れすぎないほうが、メリハリや迫力が出ます。今回は、絞りを絞って撮影し、チューリップの花びらの隙間から太陽の光条をのぞかせて、ポイントにしました。
このような構図で撮影する際は、膝丈ほどの花がおすすめです。春はチューリップのほか、菜の花などでもチャレンジしてみてください。
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カメラ: OM-D E-M1 Mark II
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
16mm相当
1/200秒 F18 ISO 200 ±0.0EV
Mモード
鯉のぼり
最後は、最近見かけることが少なくなった鯉のぼり。
これは、富山市の中心部の屋根の下を泳ぐ鯉のぼりです。路面電車が通る街の雰囲気に溶け込むようなイメージに仕上げました。
雨の日の撮影でしたが、防塵防滴のカメラと場所を選べば安心して撮影できます。傘を持った人や雨で濡れた地面を入れて、雨の日ならではの雰囲気を楽しんでみましょう。
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カメラ: OM-D E-M1X
レンズ: M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
62mm相当
1/250秒 F2.8 ISO 500 ±0.0EV
Mモード
まとめ
今回は富山の春の風景とともに、撮影のポイントを紹介しました。ぜひ、皆さんの身近な風景の撮影の参考にしていただけると嬉しいです。
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_____mimosa.619_____
富山県南砺市出身、富山市在住。フルタイムで働く一児の母。休日に小学生の息子と近くをお散歩しながらの撮影がメイン。4年前に初めてカメラを購入し、同時にInstagramを開始。生まれ育った富山の四季や街並み、花、鉄道、野鳥など、心惹かれるものは何でも撮影し投稿している。身近な被写体も、こんな視点で見ると楽しい!と思えるような切り取りを目指し、日々、アンテナを高く張る。
OM SYSTEMアンバサダー
instagramアカウント:@_____mimosa.619_____