長浜ローカルフォトとは

「写真でまちを元気に!」をモットーに、滋賀県長浜市内に住む人やその暮らしぶりを、写真を通じて地域内外に発信。
長浜ファン(関係人口)を増やすとともに、長浜に暮らす人のまちへの誇り(シビックプライド)を高め、
まちが元気になるきっかけをつくります。
2016年、長浜市の地方創生事業として、写真家MOTOKOさんの指導のもと、
写真で長浜のまちを元気にする人材を育てる「長浜ローカルフォトアカデミー」がスタート。
3年間の修行を経て2019年「長浜ローカルフォト」として自立。
現在、メンバー9人が日々長浜の人や暮らしぶりをカメラで切り取り地域内外に発信しています。

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メンバー

  • 田中 香織

    田中 香織Kaori Tanaka

    代表。1967年京都府生まれ。出産後、整体院を開業、現在数店舗経営。長浜の「街・人・神事・祭り・暮らし」の素晴らしさに感銘し、伝えられる写真を撮り続けている。

  • 竹中 昌代<

    竹中 昌代Masayo Takenaka

    1975年長浜市生まれ。長浜市木之本町に暮らす2児の母。地元老舗の菓子屋に勤務の傍ら、フォトグラファーとしてポートレート、WEB写真撮影依頼もこなす。フォトマスターEX。

  • 山内 美和子

    山内 美和子Miwako Yamauchi

    1975年長浜市生まれ。4児の母。大学卒業後、地元にUターン。現在アウトドアレジャー施設や観光物産業に従事。また地域のまちづくりプランナーとしても活動中。

  • 居川 美保

    居川 美保Miho Igawa

    1978年長浜市生まれ。3人の育児に精励しながら、保健師として市内の病院に勤務。写真日記として、子どもの成長を中心に家族写真を毎日撮り続けている。

  • ミカミ ユキ

    ミカミ ユキYuki Mikami

    1986年東近江市生まれ。都会のアパレルメーカー勤務を経て、現在シェアスペース“湖北の暮らし案内所どんどん”でキュレーターとして活動。

  • 渡邊 嘉久

    渡邊 嘉久Yoshihisa Watanabe

    1963年長浜市生まれ。銀行勤務などを経て漆塗り職人の道へ。長浜産漆の研究や昭和初期に製造が途絶えた漆器の復刻、曳山をはじめ市内外の文化財修復にも携わる。

  • 川地 米亜

    川地 米亜Maia Kawachi

    1979年神戸市生まれ。メーカー勤務などを経て結婚後、夫の地元である長浜に移住。現在は英語翻訳、WEBライティング等フリーランスのリモートワーカーとして活動中。

  • 田中 仁

    田中 仁Hitoshi Tanaka

    1970年長浜市生まれ。 勤務先の株式会社黒壁では広報を担当。撮影からビジュアルデザインに至るまでこなすデザイナー。趣味のクラシックカメラも修理してしまうほどの機械好き。

  • 川瀬 智久

    川瀬 智久Tomohisa Kawase

    1971年長浜市生まれ。長浜市勤務。前身の長浜ローカルフォトアカデミープロジェクトの立ち上げから携わる。その他長浜のローカルメディア「長浜くらしノート」を運営。

滋賀県長浜市

進取の気性とまちづくり

羽柴(豊臣)秀吉が、初めて城持ち大名となって開いた城下町のある長浜市は、平成の2度の大合併を経て、現在人口11万人のびわ湖北部圏域の中心都市として発展を続けています。
日本で3番目の鉄道開通、滋賀県下初の小学校、銀行をつくるなど、長浜市民には、文明開化の先取りをしてきた進取の気性があります。
その気性は、黒壁ガラス館による中心市街地商店街の復興に結びついています。
昭和の終わり、車社会による郊外商業集積に買い物客が集まり、中心市街地商店街の存亡が危ぶまれるような状態になりました。このため、長浜市民有志が立ち上がり、行政とともに、中心市街地にあった「黒壁銀行」の愛称で親しまれてきた旧国立銀行を改修し、文化性・芸術性・国際性・競合が少なく市場性や将来性があるものを検討した結果、平成元年「黒壁ガラス館」として蘇らせました。人通りの途絶えた中心市街地に活気を蘇らせた黒壁は、まちおこしのモデルケースとして全国的に注目を集め、長浜の知名度を上げました。

長浜独自の文化

市民が支える長浜曳山まつり

長浜八幡宮の例祭「長浜曳山まつり」は、秀吉が長浜を治めたときから始まったとされ、400年を超える歴史を誇り、2016年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。
最大の見所は、歴史の名工たちが作り上げた豪華絢爛な曳山とその舞台で奉納される子ども歌舞伎となります。
この華やかな曳山まつりを400年支えて続けているのが、地域の「山組」です。山組には、3世代の役割があり、子ども役者はやがて「若衆」となり、次の子どもを支え、歌舞伎執行の中心となります。そして、45歳で若衆を卒業した人は「中老」となり、山組の管理や祭りの運営に関わります。また、曳山が動いているとき、狂言の開始前と終了後に、笛・太鼓・摺り鉦を用いて演奏されるのが「しゃぎり」で、子どもたち中心に演奏されます。
このように、まつりの舞台裏には多くの住民が関わっており、地域の連帯や人とのつながりといった地域コミュニティの活性化にも寄与しています。

祈りとくらしの文化が息づく観音の里

長浜市北部を中心に、130を超える観音さまが伝わり、集落の数に匹敵するほど多くの観音像が今なお村人たちによって大切に守られています。戦国時代、戦乱の焼き討ちにあった際は、村人たちが観音像を川底に沈めたり、地中に埋めたりして難を逃れ守ってきたと伝えられています。
地域の暮らしに根付き、そこに住む人々の信仰や生活、地域の風土などと深く結びついた独自の文化を「観音文化」と定義し、その価値を改めて見直すとともに、全国にその魅力を発信しています。

自然を楽しむ

長浜市は、周囲は伊吹山系の山々と琵琶湖に面しており、中央には琵琶湖に注ぐ姉川や高時川、余呉川等により形成された豊かな湖北平野が広がっています。
このため、山や湖を生かして登山、ハイキング、キャンプ、湖水浴、カヤックなど様々なアウトドアが楽しめます。
また、賤ヶ岳、小谷山からの眺望、びわ湖の夕焼け(日本の夕日100選)、余呉湖(鏡湖)のリフレクションなど自然が織りなす絶景に遭遇でき、写真に収める楽しみが体感できます。さらに、市内の琵琶湖湖岸は、魚や水生生物の宝庫で、これらを餌とする野鳥がたくさん集まり、「水鳥の楽園」と呼ばれ、冬にはコハクチョウやオオワシが飛来し、周辺は多くのカメラマンで賑わいます。

長浜のモノづくり

長浜市には、風土や暮らしの中から培い、先人から受け継がれてきた技がたくさんあります。とりわけ、雄大なびわ湖があるこの地は、豊富な水と適度な湿度、そしてかつては広大な桑畑が広がり、養蚕が盛んであったため、浜ちりめん、輪奈ビロード、浜紬、楽器糸などシルク産業が地場産業となっています。
また、長浜曳山まつりの曳山の保存・修復には、仏壇制作の伝統的技術を受け継ぐ塗師や錺金具師、社寺建築に携わる宮大工など、地域の職人が代々担っています。
食では、味噌、漬物といった家庭でのなじみのあるものから、酒、醤油といった発酵醸造を生業としたものなど発酵食品が深く根付き、一般家庭から酒や醤油作りの職人まで、伝統の技を受け継いでいます。

魅力的なコミュニティ

市内には、自治コミュニティから市民活動まで、様々な分野、目的において人のつながりを大切にしたコミュニティがたくさんあり、それぞれが長浜市の魅力となっています。
長浜ローカルフォトが見つけた魅力的なコミュニティや場を紹介します。

長浜生活文化研究所

長浜生活文化研究所は、⻑浜市の何気ない日々の暮らしを様々な切り口で研究し、その暮らしの魅力、楽しみ方を「長浜くらしノート」として伝えていくローカルメディア。WEBやガイドブックでの発信の他、体験型のワークショップも行っています。さらに、市内のこだわりの商品を生産者の顔が見える形で紹介する「長浜くらしノートストア」もプロデュースしています。

長浜くらしノート

湖北のくらし案内所「どんどん」

湖北に暮らすわたしたちが肩の力を抜いて、ちょっとだけ背伸びをして、楽しみなこれからを談義したり、挑戦するときのよりどころにしている秘密基地のようなシェアスペースです。まちなかを流れる米川沿いのひっそりと路地奥にたたずむ場で、多くの若者が集っています。

湖北暮らしの案内所 どんどん

The Tweed Picnic NAGHAMA

長浜に住む若者や長浜を縁に集まる人々が中心になって開催するコミュニティイベントで、ツイードをドレスコードとして、おしゃれして情緒あふれる長浜の街を自転車で散策を楽しみます。毎年秋に豊公園の湖畔を拠点に開催され、素敵なお店も並び、まさに青空の下、ピクニック気分で1日ゆっくり楽しめます。

ツイードピクニック長浜

Book Café すくらむ

木之本地蔵院の参道沿いにある食と本をツールに世代や地域を超え、人と人が繋がるスペース。本を読みながらもの思いにふけるもよし、ゆったりとひとりで珈琲を飲むもよし。
世代や性別を越え、自由に空間を楽しむことができる場です。
木之本町で活動する複数の女性グループが「風情ある古民家から地元の食文化の発信」、「交流の場づくり」、「本のある暮らしの提案」をテーマに集結し、活動しています。

食×人×本のまちづくりBook Cafe『住暮楽・すくらむ』

ONE SLASH

長浜市西浅井町で子どもの頃から仲が良かった20~30代の若者6人が立ち上げた、地域を元気にする活動を行うコミュニティ。RICE IS COMEDY(お米づくりは喜劇だ)やゲリラ炊飯など、活動の核にあるのは「面白さ」。イベントだけでなく、農業、不動産業、飲食店、アパレル、ウェブなどにも活動領域を広げ、地域のネガティブな課題をポジティブに変換し、地元の魅力を伝えてファンを増やしています。

COMEDY BURGER

長浜ローカルフォトの活動

住民のシビックプライドを取り戻す

「ひとがまちを動かす」と言うように、まちを元気にするのはそこに暮らす人そのものです。
人口減少や少子高齢社会の影響で、集落の過疎化や地域コミュニティの低下が危惧されるなかでも、住民が地域に「愛着や誇り(シビックプライド)」を持ち、「心の過疎」を防ぐことで、人の活力が生まれ、それが集落の活性化につながります。
長浜ローカルフォトでは、写真の力でシビックプライドが生まれるようなお手伝いができればと考えています。

SUGANAMI Photo Project -2019-

長浜市余呉町菅並。滋賀県北部の豪雪地に35世帯が暮らす限界集落です。山々に囲まれ、余呉型民家といわれる三角屋根の家屋が並び日本の原風景とも言える美しい景観が今なお残されています。一方、深刻な高齢化と過疎化により、民家が取り壊されている課題があることも事実です。
私たちにできることは何かー。ここに暮らす人々の笑顔や日常を、写真を通じて伝え、菅並のことに関心をもってもらうきっかけになれば……。それがプロジェクトの始まりでした。
最初は見慣れない訪問に、怪しまれ写真に写ることことも拒まれましたが、約半年通うことで、徐々に打ち解け、お家の前で、畑で、行事のさなか、挨拶し会話に混ぜてもらい、ファインダー越しに笑顔をとらえることができました。
集大成として、写真パネルを集落屋外に設置。集落の人とその暮らしぶりを鑑賞してもらう集落まるごと写真空間に仕立てた「屋外写真展」を開催。県内外から約2,000人の来場者が菅並集落にも訪れました。住民からは「写真のおかげで菅並が賑やかになった」、「素敵に撮ってもらえて嬉しい」などと喜びの声がたくさん聞け、この地域での暮らしや景観の魅力に、誇りや愛着を感じてもらえました。
また写真集を制作し、集落内全戸に配布。一般向けにも無料配布の告知をしたところ全国から100冊以上多数の申込をいただき、多くの長浜(菅並)ファンを得ることができました。

KANEIHARA Photo Project -2020-

長浜でも北東、岐阜県との県堺にある限界集落「木之本町金居原」に1年間通い、集落の人とその暮らしぶりを写真で切り取りました。限界集落ですが、住民の皆さんはこの地を選んで過ごされています。
産業遺産である土倉鉱山、自然遺産であるトチノキの巨木群といった地域資源、そして「おこない」を始めとする集落の寺社行事など、集落の人の大切な暮らしの”記憶”を記録するお手伝いができれば・・。住んでいたら当たりまえすぎで見えてこない暮らしの魅力を再発見してもらうことで、引き続きそこで“暮らす”ことへの誇りを持って元気になっていただけたら・・・という思いが写真集の発行と写真展の開催という形になりました。
まちなかの写真展では、ご近所から遠方の金居原や県外の方まで、展示された写真を観ながら思い出や暮らしぶり、甦る記憶をもとに、当メンバーとの会話もとても豊かなものになりました。コロナ禍にも関わらず、延べ600人の方に来場いただき金居原の魅力を感じ、一度訪れたいきっかけづくりや、さらに空き家を活用して拠点に置きたいということまで、集落と地域外の人との関係性が生まれました。さらに、制作した写真集は好評で、300冊以上の申し込みをいただきました。

長浜ファンをつくる

長浜の人や暮らしぶりを紹介する、当メンバーも楽しみにしている市内撮り歩きイベント。2020年は、写真家の浅田政志さんを迎えてのトークイベント&ワークショップ「記念写真と三方よし」を国の登録文化財である「長浜旧開智学校」や町家を活用して開催。
浅田さんの作品「浅田家」制作秘話や家族写真への思いを語ったトークイベントや長浜市の伝統産業「ビロード」の製造工場での撮影ワークショップを行い、県内外からのたくさんの参加者に長浜を1日楽しんでもらいました。
また、OMデジタルソリューションズと連携し、オリンパスカメラによる長浜撮り歩きイベントも開催。モノクローム写真で有名な中藤毅彦さんや野鳥フォトグラファー菅原貴徳さんを迎えて、城下町の面影が残るまちなかや、野鳥の楽園であるびわ湖湖岸でコハクチョウを撮影。県外のオリンパスカメラユーザーさんとメンバーが交流しながら、撮影を楽しみました。ユーザーさんのなかで、長浜ファンクラブを作っていただいたりして、講師の先生ともども今も関係を続けています。

ご縁を大切に

ローカルフォトの活動を続けていくなかで、市民、企業、行政の方などたくさんの方から撮影や講座のご依頼をいただきます。
最近では、長浜曳山まつり関係者の方から、コロナ禍の影響でまつり継承の危機感を感じているなかで、改めてまつりの良さを市民に感じていただけるような機運を生みたいと、まつりの舞台裏を紹介し、親しみを感じていただけるような写真・映像展を開催しました。
また、行政からの依頼で、これから赤ちゃんが生まれるご家族を対象に、妊婦さんや赤ちゃんの写真を撮るためのコツや写真映えする産後のおでかけスポットの紹介をしました。
このように、ご依頼は一つのご縁をいただいたものとして、また長浜が元気になることを期待して大切に応対していきたいと考えています。

メッセージ

私たちがファインダー越しにとらえるのは、風光明媚な景色ではなく、有名人でもありません。ただ、その土地になくてはならない人たちです。そんなローカルヒーローや暮らしぶりをこれからも伝えていきます。
また、そういった長浜の元気な姿を見ていただき、少しでも長浜ファンになっていただき、応援していただければ幸いです。

ギャラリー