第7回 オリンパスプラザ FOCUS展

オリンパスプラザ FOCUS展とは

オリンパスのカメラ・レンズを使って表現力、創造性に富んだ作品を生み出すフォトグラファーに、発表の場を提供する写真展です。オリンパスプロ会員(OGPS会員)からの推薦により、年間2名をオリンパスプロサロンにて選出いたします。

第7回 FOCUS展 大石伸彦 写真展「出会い」

「出会い」

カメラを手にしてから世界が変わって見えた。
それまでと変わらない日常だが、素敵な人、美しい街、微笑ましい瞬間によく出会うようになった。
特に人との出会いは、このコロナ禍においてとても貴重で、ましてや人見知りの僕としては奇跡的だ。
カメラは僕にとってただ写真を撮る機会ではなく、人と人を繋ぐツールでもあると思っている。
この写真展では、カメラがあったから出会えた「人、街、瞬間」又、
その中から浅草橋で出会った形見の半纏を着たおじちゃんとの1日をクローズアップして展示しています。
日常の中の特別な場面や、下町で文化を大切に暮らす人達の姿をご覧頂けたらと思います。

写真展のご案内

  • 会場:オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール
    開催日時:2020年11月6日(金)~ 11月11日(水)
    10:00 - 18:00

出展者インタビュー

1.写真を始めたきっかけと、今に至るまでの経緯を教えてください。
 2016年のことですが、真夜中に富士登山をしている最中、それまで迷信だと思っていた「天の川」を自分の目で見ることができたんです。これを誰かに見せ、感動を共有したかったのですが、スマホでは真っ黒な写真しか撮れませんでした。このとき、天の川が撮れるようなカメラを購入しようと決意し、翌年2017年の元旦に「OM-D E-M10 Mark II」を手に入れました。
 その後、テレビ番組で「街スナップ」というジャンルがあることを知りました。そしてある時、今回の展示の推薦人になってくださった写真家のコムロミホ先生が撮影した、パリの街スナップ写真を見て感銘を受け、オリンパスカレッジのコムロ先生の講座で写真表現を学ぶようになりました。以来、日常の中にある素敵なシーンを撮り溜めています。

2.写真を撮るとき、大切にしていることはありますか?
 街の風景だけではなく、街を歩いていて出会った人に声をかけて撮影させていただくこともあります。人物の撮影では、カメラの設定だけでなくコミュニケーションを通じて、その人と距離を縮めながら撮影するよう心がけています。特に、会話の内容や自分の服装に気を配り、人や街の一番良い表情を引き出すことを大切にしています。

3.今回の展示タイトル「出会い」や、レイアウトに込めた想いを教えてください。
 カメラがあれば綺麗な写真が撮れますが、それだけではなく私に「出会い」の機会も与えてくれたと思っています。あの時カメラがなくて天の川を撮れなかったように、カメラがなければその存在に気付くことも、交流が生まれることもなかった人達との出会いの数々を展示しようと決め、今回のタイトルも「出会い」としました。
 そして、人物だけでなく、街の表情を表現できるような、例えばモノクロの陰影を活かした古い町並みや路地裏の写真を入れたり、人物が写っていなくても人の生活感を感じさせるような写真を入れたりすることで、まるでその場にいるような雰囲気を出せるようなレイアウトにしました。

4.今回の写真展を経験して感じたこと、お客様からの反応で印象的だったエピソードはありますか。
 暫く会えていなかった写真仲間や友人、初めましての方、被写体になっていただいた方など、非常に多くの方達に展示を観てもらい、普段聞けない感想をいただけたり、写真に込めた想いを直接お伝えできたりしました。これらは写真展ならではの体験だと感じました。
 今回は肖像写真を多く展示していますが、お客様からは「本当は街で人を撮りたいけど難しい…」との意見を多数いただきました。スマートフォンが普及し、写真を撮ることが当たり前の時代ですが、その半面、肖像権の問題などで人や街を撮ることが難しくもなっています。そんな時代だからこそ、コミュニケーションを取りながら心を込めてシャッターを切ることが大事なのだと思います。

5.これからのご自身の撮影について、どのようなことを考えていますか。
 街で撮影していると、時折自分の頭の中で音楽が流れることがあります。そんな時は、その曲のレコードジャケットを作るようなイメージで写真を撮り続けるんです。そうやって、レコードを集めるような感覚で作品を撮っていけたらと思っています。
 また、街での撮影を通じて出会った方々との出会いや繋がりはこれからもずっと大切にして、写真と共に残していきたいです。

出展者プロファイル

大石 伸彦(おおいし のぶひこ) 神奈川県川崎市出身、横浜市在住。富士登山中に見た天の川がスマホで撮れずカメラ購入を決意し、2017年 OM-D E-M10 Mark IIを手にする。コムロミホ氏講師のもとオリンパスカレッジや撮影会等で写真表現を学ぶ。365日カメラを持ち歩き、日常のドラマチックなシーンを撮りためている。

使用機材:OM-D E-M10 Mark II / OM-D E-M10 Mark III / M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
Instagram:@nov_oishi

推薦者コメント

出会った当時はカメラを購入したばかりでしたが、その時から大石さんの世界観がありました。被写体の見つけ方や捉え方に独特な目線があって、いつも講評に提出する作品に驚かされます。講座を重ねるごとに、元々あったセンスに写真技術が加わり、メキメキと自分の表現を見つけていきました。そして、街との向き合い方がどんどん変わっていくように感じました。大石さんは自称人見知りらしいですが、カメラを持つと、どんどん街に入り、どんどん人とコミュニケーションを取って、大石さん独特の目線で切り取っていきます。
肖像権の問題など街スナップが難しくなってきた今の時代だからこそ、被写体とコミュニケーションを取りながら、撮影することはとても大切なことだと思います。
ぜひ大石さんのフィルターを通した街のドラマを楽しんでいただけると幸いです。
写真家 コムロミホ

コムロミホ 文化服装学院で学び、ファッションの道へ。撮影現場でカメラに触れるうちにフォトグラファーを志すことを決意。アシスタントを経て、現在は広告や雑誌で活躍。
街スナップをライフワークに旅を続けている。カメラに関する執筆や講師も行う。

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