第2回 オリンパスプラザ FOCUS展

オリンパスプラザ FOCUS展とは

オリンパスのカメラを使って表現力、創造性に富んだ作品を生み出すフォトグラファーに、発表の場を提供する写真展です。オリンパスプロ会員(OGPS会員)からの推薦により、年間2名をプロサロンにて選出いたします。

第2回 FOCUS展 折戸信行写真展「幽玄」

日々の散歩で見かける 何気ない風景
そんな中で カメラを向けてみたら驚くような美しい世界が出現
光とクモの糸との共演でした
魅せられて数年
驚きの世界を ご高覧頂ければ幸いです

写真展のご案内

  • 会場:オリンパスプラザ東京 クリエイティブウォール
    開催日時:2018年8月24日(金)~ 8月29日(水)
    11:00 - 19:00
    最終日は15:00まで

出展者インタビュー

1.写真を始めたきっかけと、現在に至るまでの経緯は?  20年ほど前に癌を患い、手術後のリハビリとして家の近所を散歩していました。そのとき偶然川辺でカワセミを見かけ、その姿を写真に写してみたいと思ったのが最初のきっかけです。高校卒業後に奮発して買ったフィルムカメラを持ち出し、野鳥を撮り始めたのです。やがて妻の勧めで庄司先生(庄司桂子氏)の写真教室に通い始めてからは、他の生徒の皆さんの作品から刺激を受け、野鳥以外の被写体にも興味が湧いていきました。
 日の出を撮っていたある日のこと、ふと蜘蛛の巣が目に留まりました。光を受けて輝く美しさにたちまち魅了されてしまい、これを写真に収めようと決意したのです。初めは巣の全体像を収めていましたが、蜘蛛の巣を見つけづらい冬に、枯葉の先にかろうじて残っていた一筋の糸を撮ってみたところ、一部をクローズアップで切り取る面白さに目覚めました。それ以来2-3年ほど、このような手法で撮り続けています。

2.どうやって撮影しているか、撮影のときどんなことを大切にしているか教えてください。  天候さえよければ、ほぼ毎日早朝6時~8時くらいに家の近場で撮影に出ています。蜘蛛の巣は近所の公園の木々や草花、道中の柵、よく見れば家の中にだってある被写体。
しかし、同じ形や輝きを持つ巣は一つとしてありません。良いなと思う巣を見つけたら、一期一会の出会いを大事にして様々なアングルから何パターンも撮影し、試行錯誤を重ねます。位置や角度がわずかに変わるだけでも印象は変わりますし、肉眼での印象と、ファインダーを覗いたときの印象が全く異なることも多く、撮れば撮るほど様々な仕上がりになります。その中でも「その糸が一番輝いている、美しく見える瞬間を捉えてあげたい」という思いが、自分を撮影へと駆り立てているようです。

3.使っている機材は?  「OM-D E-M5 Mark II」と「M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro」です。今回展示した作品も全て、この組み合わせで撮っています。山に登って撮影する中、元々持っていた大きな一眼カメラでは体力が奪われてしまうため、小さくて軽いことに魅力を感じて手に入れました。三脚は一切使わず手持ちで撮影しているため、同じ姿勢を保つのは体力的にもハードなのですが、軽さに助けられています。機材がコンパクトなため、小さな隙間に入っていくこともできます。
電子ビューファインダーの特徴である、表示された色合いがそのまま作品に反映される点も便利です。屋外撮影なので、防塵防滴であることも心強いです。

4.展示についてお聞かせください。ご自分の作品を一斉に展示してみて、いかがでしたか?  蜘蛛の巣、糸が持つ多様な表情を見せられるように心がけました。「幽玄」という言葉は、作品を集めて見たところ背景色の暗い作品が多く、作品の雰囲気をよく表していると感じ、タイトルに選びました。
 自分の作品を展示する機会は、今回が初めてです。A3サイズの作品を20点、額に入れて展示したものを初めて見たときは、何だか自分の作品ではないような気すらしました(笑)。自画自賛のようですが、素直に「綺麗だな」と感じてしまい、蜘蛛の糸という被写体の魅力を再認識したような思いです。

5.今後取り組みたいテーマなどはありますか。  「一番輝いて見える瞬間」を求めて、引き続き蜘蛛の糸を撮っていきたいと思います。それに加えて、蜘蛛自身の姿も撮影したいと考えています。ハナグモのような小さくて可愛らしい種類のものが糸を吐き出す瞬間や、ジャンプする瞬間なんかを捉えられたら。
 また、健康維持の目的も兼ねて、山の風景撮影も行っていきたく、体力づくりに励んでいます。カメラのおかげで、こうして外の世界に繰り出すきっかけが生まれています。

出展者プロファイル

折戸 信行(おりと のぶゆき)1947年、岐阜県出身。1966年に上京し、東京の電機メーカーに就職。
2001年、手術後のリハビリで散歩していた最中に見かけたカワセミの美しさに心を奪われる。
その姿を撮ってみたいと思ったことを機に写真を始め、カワセミ、ヤマセミをはじめとする野鳥、昆虫、クモの糸を撮り続けている。
2008年より、NHK文化センター八王子写真教室に入会、庄司桂子氏に師事。
【入賞歴】
東京写真月間
2011 入選 シモバシラ
2013 協賛会社賞 クモの巣
2015 入選 トンボ
2016 協賛会社賞 雷鳥

推薦者コメント

折戸さんには、月刊誌『フォトコン』で間もなく200回を超える連載「一生懸命フォトグラファー列伝」に登場いただきました。その中で、大病後のリハビリの中で出会ったカメラが人生の転機となったと振り返っています。そして、運動療法で毎朝4キロ歩くときにクモの糸が朝日を浴びて美しく輝く姿に惹かれ、その撮影が日課となりました。折戸さんにとって写真は人生の一部。キラキラと輝く虹色のクモの糸は、希望の光。だからこそ、この作品は同病の人に生きる力を与える強いメッセージでもあるのです。御社写真展へ推薦させていただきます。
月刊誌『フォトコン』編集長 藤森 邦晃

藤森邦晃(ふじもり くにあき) 1976年、長野県諏訪市生まれ。父親の影響を受けて、中学の頃より写真を始める。
99年、日本写真企画入社。2008年から『フォトコン』編集長となる。
また、ハウツー本などの別冊や写真集の制作、小説の編集などを多く手がけるほか、各種フォトコンテストの審査員を務める。

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